30日、都内・高円寺の座・高円寺2にてプロレスリングwaveの野崎渚が初の主演をつとめた、映画「N~紫の天使」の先行上映と舞台挨拶がおこなわれた。「N~紫の天使」は片桐竜次が監督をつとめ、野崎が「ナギサ」として凄腕スナイパー役を主演。女子プロレスラー「渚」としても活躍する中、作られた社会、操られた世の中に疑問を抱くようになり、孤独な闘いに身を投じていくというストーリー。山本みどり、せんだみつお、ベンガル、小野了、武蔵拳、麻裡阿、鈴木博之、といったベテランキャストがその脇を固める。
舞台挨拶の後、主演の野崎、片桐監督、ラ・フェスタの柴倉社長が取材に応じ、本作の魅力について語っていただいた。(聞き手・戸井猛道)
――今回の映画の企画はどこから立ち上がったのでしょうか?
片桐監督「2年くらい前かな。大阪で柴倉さんと『女暗殺者の映画を作ろう』ということで話してて、柴倉社長の紹介から『野崎渚でいこう』という話になり。ホテルで本人と会って、じゃあそうしようと」
野崎「お食事会をしたときに、急に監督が『この子でいこう!』と言われて。何のことだろうと聞いたら、映画の話だと言われまして。そんなチャンスもなかなかないので、できもしないのに『お願いします!』と言っちゃいました(笑)」
柴倉社長「最初監督からお話をいただいたときは『和製ニキータ』というイメージだったので。どういう世界観を導き出すのかと興味がありまして、食事の席を作ったんですけど、そこで片桐監督が野崎渚に惚れ込んでしまって」
片桐監督「惚れ込んでしまってって…まあ、いいか(苦笑)。エキゾチックな雰囲気もあってね」
柴倉社長「本当に『これだ!』と言われたんですよ。『オレが考えてた映画の主役のイメージにこの子がピッタリだ!』と」
――もともとプロレスはご覧になっていたのですか?
片桐監督「イヤ、初めてでしたね。それでwaveのリングで制作発表をしたのが去年の4月だったね。あるキャストがコロナになったり、彼女が試合でケガをしたりと、いろいろ大変なこともあったけどね」
野崎「撮影が全部終わった後だったからまだよかったですけどね(苦笑)」
柴倉社長「片桐監督もプロレスの知識がゼロだったのに、いきなり野崎渚の後援会長になるくらいの入れ込みようでしたからね」
――片桐監督は「演技指導をおこなわない」という独特な方針だとうかがいました。
片桐監督「演技指導はゼロです。どなたに限らず、自分がそういう主義だから。何回も繰り返すと『ハイしゃべりました、ハイ次しゃべりました』っていう段取りになるから、それを避けて」
野崎「本当に何もしたことがなかったので、不安でしたね(苦笑)。『もっとゆっくりしゃべった方がいい』とか、優しく教えていただきました」
――撮影のエピソードをぜひうかがいたいと思います。
野崎「思い返すと、楽しかった思い出の方が出てきますね。役者の方たちといろんなお話をさせていただいて。銃を持って人を殺めた経験などないので、いちいちテンションが上ってましたね(笑)」
――普段リングでは、対戦相手の選手を強烈に蹴り飛ばされてはいますけどね(笑)。
野崎「あと、コーンロウの髪型を編んだり外したりと、忙しくやったのは覚えてます(苦笑)」
――野崎選手といえば、女子プロレス界でも屈指のビジュアルの持ち主ですが、被写体としてはいかがでしたか?
片桐監督「主役は男でも女でもそうだけど、映像の場合は色気と哀愁が必要だから。そういう意味では合格じゃないですかね」
野崎「おおお~! ありがとうございます!」
片桐監督「単独の主役の場合は、それがないと芝居どうこうよりも映像としてつまらないものになるから」
――プロレスファンからすると、見知った選手たちが登場したり、waveのプロレスバーちゃんすも出てきますね。
野崎「ちゃんすは飲み屋じゃなくてレストランになってますけどね(笑)。そういうところでも楽しんでいただけるのかなと」
――完成作品は今日初めて見られたとうかがいましたが、感想はいかがですか?
野崎「ホント恥ずかしかったです(苦笑)。でも、撮影中はいっぱいいっぱいだったんですけど、『自分が決めた意思で突き進む』というナギサに芯を感じて、見習わなきゃなと自分で自身に感化されたというか」
――それでは最後に、本作の見どころをお願いしたいと思います。
柴倉社長「野崎渚の新しい魅力のイチ面を引き出して、知らしめるしめることができるなら最高だと思いますし、それに少しは近づけたかなと。クールな殺し屋、少女のようなかわいらしい一面、そしてプロレスラーとしての3種類の『ナギサ』を見ていただけるんじゃないかなと思います」
野崎「初めての演技だったのであたたかく見てもらいたいんですが、楽しんでやったつもりではいるので。重く見ずに、気軽に見ていただきたいなと。プロレスの方はまだ復帰の目処も立ってないんですけど、復帰したら映画のナギサのようにやりたいことをドンドン突き進んでいきたいと思います!」