タイガー・クイーンがシングル10戦目にして初黒星を喫した。これまでタッグマッチで敗戦はあったものの、いずれもパートナーがマットの沈んでのもの。デビュー1年10カ月で、初めて3カウントを聞いた。2021年9月のデビュー以来、タイガー・クイーンは山下りな、佐藤綾子、伊藤薫、彩羽匠、ライディーン鋼、高瀬みゆき、ハイビスカスみぃ、沙恵、本間多恵とシングルマッチをおこなってきた。決して格下相手ばかりではなく、各団体のトップクラス相手に白星を重ねてきた。7月2日、大阪・コミ協ひがしなり区民センターで開催されたストロングスタイル・プロレスリングの大会で迎えた相手は彩羽。タイガー・クイーンにとってはシングルマッチでは初めての再戦となる相手だ。
前回の対戦(ストロングスタイル2021年10・21後楽園)ではタイガー・クイーンがタイガー・スープレックス2021で勝利。試合後、彩羽は「強かった。化け物ですね」と言いながらも、一方で「闘っていても感情がわからない。マスクの中の目は涙目でいっぱいでした。きっとそれが彼女の弱さなんだと思います」と語っていた。
もちろんリベンジを誓っていた彩羽だったが、昨年10月に鎖骨を骨折。今年2月に復帰して、ようやく巡ってきた機会に燃えていた。いつものように、コーナー最上段に乗って右手を高く突き上げて入場したタイガー・クイーン。その姿を彩羽は冷静に見つめていた。
試合開始直後は互いに相手の出方を慎重にうかがっていたが、ショルダータックルでタイガー・クイーンをダウンさせた彩羽は、立ち上がろうと両ヒザを着いた状態のところへ得意の蹴りを放っていった。それがタイガー・クイーンの側頭部にヒット。結果的にこの一撃が勝敗を分けることになった。
なんとかリング下にエスケープしたタイガー・クイーンだが意識もうろう。立ち上がろうとしたものの崩れ落ちてしまう。一時はリングに生還したが、彩羽にリング下に放り投げられると、場外戦で一方的に攻撃されてしまう。鉄柱にぶつけられ、観客席に放り投げられてしまう。リングに戻ってからも彩羽の攻撃を耐えるだけ。セコンドについていたコーチ役の日高郁人の声が何度も飛んだが、あの華麗なファイトはなりをひそめてしまったまま。
何とか彩羽をリング下に落として、コーナーからのラ・ケブラーダを決めて反撃開始。リングに戻ってフライング・ボディーアタックを決めて、華麗なファイトを取り戻したかに思えたが、続いてはなったラウンディング・ボディープレスをかわされて失速。直後に彩羽が放ったスワントーンボムを自爆させたものの、それまでのダメージが大きくてすぐには反撃に転じられない。
素早く相手のバックに回って投げ捨てジャーマン、ジャーマン・スープレックスを決めたものの、カウント3は奪えない。続いて狙ったタイガー・スープレックスを阻止されると、パワーボム、ライガーボム、右ハイキック、トラースキックと畳みかけられ、ランニングスリーでマットに叩きつけられた。そのまま彩羽が押さえ込んだ位置がロープに近かったので、ブレークに持ち込むかと思われたがカウント3が数えられた。
初黒星を喫したタイガー・クイーンだが、これほどまでに一方的にやられたのは、過去の虎戦士の闘いを振り返っても浮かんでこないほど。それほど完膚なきまでにやられていた。
敗れたタイガー・クイーンは日高の肩を借りて引き揚げ、試合後も無言のまま。一方の彩羽は、「クイーンとシングルを最初にしたとき、完敗して。あの時から自分はもがいてきた。ケガもしたけど、その中で復帰する目標として、クイーン勝たなきゃいけないっていう目標も一つあった。その中で今日、シングルが組まれたわけなんですけど、別に勝てて、自分はクイーンよりも相当なプレッシャーがかかってた。なぜなら1回負けてるから。だから今回、自分が勝てたのはそのプレッシャーの重さだったりとか、立場のものだったりすると思う。まだまだウチらの闘いは、ここで終わるわけじゃない。今日の試合で自分も満足してない。本気の虎の怖さ、見せてみろよ」とメッセージを投げかけた。
これまでは初代タイガーマスクの華麗なファイトばかりを追いかけていた感が強かった。しかし初代は、“虎ハンター”小林邦昭とケンカ腰でやり合った一面も持ち合わせていた。そこにストロングスタイルの本質がある。
これまでは序章でしかなったタイガー・クイーン。初対決の試合後に語った彩羽の言葉と合わせ、初めてマットの辛酸をなめたことで今後、どのような闘いを見せるか。いよいよ第1章が幕を開ける。
橋爪哲也
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