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2023-07-27

10回目の夏を制すのは…? 東京女子プロレス、夏のシングルトーナメント「東京プリンセスカップ」1回戦ダイジェスト【週刊プロレス】

山下vs瑞希

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 東京女子プロレスが旗揚げ直後の夏から毎年欠かさずに開催しているシングルトーナメント「東京プリンセスカップ(=TPC)」も今年で10回目。毎回様々なドラマが見られるトーナメント、同時に今回は団体の10周年イヤーでもある節目の大会。そんな特別な夏を制するのは果たして誰だ。ここでは1回戦終了までをダイジェストで紹介していく。※なお前年度優勝者・坂崎ユカ、前々年度優勝者・伊藤麻希は今年は不参加。

 1回戦は7・15&16&17&22両国KFCホールでそれぞれ2試合ずつ実施。抽選で決定した組み合わせにより、初日から実力者同士による一戦もおこなわれた。まずは実質的に開幕戦となったハイパーミサヲvs宮本もかの一戦。

 キャリア差のある組み合わせとなり、戦前よりミサヲは「これまでのシングルで強い印象がいまのところ残ってない」と現実的なコメントを突きつけていた。だが、キャリア約3年の宮本は急成長中で昨年には自身初のタイトル挑戦も経験。普段からあまり感情を言葉にすることは少ないが、それでもすでに次戦に目を向けていたミサヲに思いをぶつけ、カウンター気味に入ったゼロ戦キックから全身で押さえ込んで3カウント奪取。トーナメント初戦からさっそく番狂わせを起こしてみせたのだった。

 同日のメインは山下実優vs瑞希。ビッグマッチのメインでもおかしくないカードではあるが、山下はこれまでトーナメントと相性が悪く、過去9回出場の皆勤賞ではあるが優勝経験はおろか決勝戦に残ったことも一度もない。一方の瑞希は2019年&2020年と連覇を達成しており、現在はプリンセス・オブ・プリンセス王者でもある。前述の通り“対トーナメント”に関しての実績は歴然…それでも団体を初期から支え、いまでは海外遠征を介して東京女子の名を、そして自身の名を世界に広げ続ける山下の意地が爆発。決して波乱ではなかったものの、山下のこれまでのトーナメント歴をひっくり返すような会心の勝利で2回戦進出。王者撃破という事実も、勢いとしてエースの今後の闘いに乗ってくるだろう。

 2日目は旗揚げメンバーである中島翔子と辰巳リカがそれぞれ勝利。現・IP王者の辰巳は団体の3本のベルトを獲得したグランドスラム達成者で、昨年は渡辺未詩との白昼夢でタッグトーナメント優勝。そのためシングルトーナメントを制覇して、いわく「アルティメット・グランドスラム」の達成に向けて気勢を上げる。初戦は難敵でもあるらくだったが、惑わされることなくホワイトドラゴンスリーパーで勝利。まずは幸先の良い一歩目となった。

 一方の中島は昨年のトーナメントで辰巳を破り、ベスト4まで残った鈴芽を迎撃。もちろん後輩に負けるわけにはいかないが、鈴芽の止まらない進化と一瞬の丸め込みに翻弄される場面も。しかし、最後は滅多に出さないロコモーション式ノーザンライト・スープレックスで勝利。「シンプルにすごく楽しかった」と口にした中島だったが、「奥の手」を出さざるをえないくらい追いつめられたという事実も試合後に十分にうかがえた。

 3日目におこなわれたのは、直近の7・8大田区のビッグマッチでもタッグで激突している上福ゆきと角田奈穂の一戦。角田が東京女子参戦以降、初のタイトル挑戦となった時の相手が上福であり、その際に王者は挑戦者を「普通」と揶揄する一幕も。当時は痛烈なパンチラインとなったが、いまではそのネガティブワードも角田はオリジナリティのひとつとして吸収。新天地で自分らしく闘っていくきっかけとなったカードの再戦は、紙一重で上福が勝利。2回戦へとコマを進めた。

 もうひとつは渡辺未詩vs愛野ユキ。ほぼ同期の2人によるパワフルでパッション全開の一戦は、昨年準優勝の未詩が前回果たせなかった優勝へと前進。愛野にとっては7・8大田区でのIP王座戦とともに、この夏で2つ目の悔しきシングルでの敗戦。それでも「すべて私の強さに変える」と前を向き、ネクストへの気持ちを高めてみせた。

 1回戦最終日となった7・22両国KFCでは、2年前に同トーナメントで激突している遠藤有栖と桐生真弥が激突。先輩後輩という関係性ではあるが、徐々に成長を続けている遠藤が勢いを見せるかのようにキャメルクラッチでギブアップ勝ち。3回目の出場にしてシングルトーナメント初勝利を上げると「優勝して、遠藤有栖の時代にしたい」と力強く宣言。遠藤ら新世代の選手らがどこまで食い込んでいけるか、というのは前回のトーナメントでも主題としてあったが、今年もあらためて大きなテーマになっていきそうだ。

 最終日のメインは昨年の2回戦で実現している荒井優希vs乃蒼ヒカリ。その際はヒカリが実力差を示すかのように勝利しているが、SKE48としての活動もおこなっている荒井もこの1年間で多くの経験を積んで進化。そうして3月の有明でのアジャコング戦で培った様々なバリエーションのFinally(カカト落とし)をヒカリに叩き込み昨年との変化を見せると、最後は正調の一撃で3カウント。リベンジを果たすと「今年はもっともっと上を目指して、みんなの期待に応えて、自分にも打ち勝てる夏にしたい」とコメント。初出場となった2年前は1回戦敗退、去年は2回戦敗退の荒井が3度目のトーナメントでどこまで勝ち上がっていけるかにも注目したい。

 この結果、2回戦(準々決勝)の組み合わせは以下に決定。決戦の舞台は7・29後楽園。キャリア差が目立つ2試合と、同世代による2試合。聖地で勝利をつかみ、ベスト4に勝ち進むのは誰だ。

▼トーナメント準々決勝
◎山下実優vs宮本もか
◎辰巳リカvs中島翔子
◎上福ゆきvs渡辺未詩
◎遠藤有栖vs荒井優希

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