“崖っぷちプリンセス”石川奈青がハードコアマッチに初挑戦する。相手はデスマッチ&ハードコアの先駆者、世羅りさ。プロミネンス9・6新木場1st RING大会のメインイベントで両者の3年ぶり2度目となるシングルマッチがハードコアルールでおこなわれることが決まった。

コロナ禍真っ只中の2020年5月4日、無観客試合でデビューした石川はたび重なるケガや病気で欠場と復帰を繰り返しながら、それでもプロレスラーとして戦い続け、“プリンセス””冒険家”といった明るく楽しいキャラクターでみんなから愛されてきた。
転機は今年3月。前代未聞の上層部批判を繰り広げたうえ、デビューしたアイスリボンを退団、フリーに転向した。
その初戦でまさかのスターダム参戦が実現した(5・12品川)。前代未聞の“中野たむ対決”で大きな話題を呼んだが、現ワールド・オブ・スターダム王者との“世紀の一戦”は完敗に終わり、試合後、“ニセたむ”は悔しさとふがいなさから号泣した。ショックもあったのだろうか。そんな“たむ対決”後、石川は表舞台から姿を消す。その後、JTO7・17後楽園に参戦。あーみん&神姫楽ミサとのKISSmeT PRINCESSで2カ月ぶりのリングに上がったが、この試合のあと、石川はまたも姿を消した。SNSが得意ではないこともあって、まるっきり音沙汰がなくなってしまった。

そんな石川が久々に姿を見せたのが8月12日。世羅の会見にまさかの乱入を果たしたのだった。
ハードコア志願の若手を公募したものの、まるで反応がない業界に怒り心頭だった世羅は「ハードコア、やれるの?!」と乱入してきたかつての後輩に迫ると、暴走プリンセスは「石川! 後輩! ハードコア! やりたい!」となぜかカタコトで応戦し、ペットボトルの水を口に含んで世羅に噴射! 公衆の面前で“聖水噴射”を食らって逆上した世羅は石川をタオルで絞めあげたうえで「石川奈青とシングルマッチ、ハードコアでやります。9月6日楽しみにしていてください」と決断。この流れを受けて、石川にとって初のハードコア挑戦、フリー3戦目が電撃決定した。
しかし、石川はなぜハードコア初挑戦を決意したのだろうか。
デビュー以来、石川が“過激な戦い”に身を投じたことはない。それどころか、明るく楽しくカワイイ、真逆のポジションにいたと言っても過言ではない。それでも「ツラいとか苦しいとか痛いとか、そういうのって生きる上でも避けられないじゃないですか。せっかくプロレスをやるんだから、そういうのを全部体で感じたいんです」と語った石川。世羅との戦いは想像を絶する痛みやツラさ、苦しみを全身で味わうハードな一戦になることが予想されるが、そんな闘いを通して彼女は何かをつかみ取ることができるのだろうか。プロミネンス9・6新木場での世羅戦は彼女の今後を大きく左右する一戦になりそうだ。

そんなハードコア初挑戦を決めた石川との一問一答は以下の通り。
――5・12品川の中野たむ対決、7・17後楽園のJTO参戦に続く、9・6新木場のプロミネンス参戦が決定! さっそくなんですが、試合がない間は何をしてたんですか?
石川 そっちですか(苦笑)。…修行してましたよ。
――修行、絶対してませんよね?
石川 してます。いまもそうですよ、生きてること自体が修行なので。生きることは修行、人生はハードコア。
――9月6日は世羅りさ選手と一騎打ち。試合形式はハードコアになりました。
石川 ハードコア初めてですね。でも、ずっとやりたいなとは思っていたので。
――やりたいと思ったキッカケは?
石川 一番の理由は(アイスリボン)所属時代に世羅さんたちがやっていたのをすぐ近くで見て、いつかやりたいなって。こういうタイミングとは思ってなかったですけど、ちょうど(対戦相手を)募集してたので。気概のある後輩出てこいと。気概と言ったら石川しかいないでしょ。
――確かに必要以上に気概があるのは認めますが…。SNSで呼びかけていたんだからSNSで返せばいのに、わざわざ会見に乱入して対戦をアピールしました。
石川 やっぱり現場が基本ですから!
――SNSが苦手なだけでは…?
石川 そうとも言いますが(苦笑)。とある筋から情報をキャッチしたので、これは行くしかないなと。そしたら世羅さんもお話の分かる方で、やってやると。

――水をブッかけられて、黙っていられる世羅さんじゃないですからね。ただ、ほんとにハードコア挑戦が決まってしまいましたが?
石川 ありがとうございます! 決まった以上はやるしかないですよね、石川はそういうやつなんで。
――ハードコアは完全に初挑戦ですよね?
石川 そうですね。小さいアイテムとかも使ったことないと思います。だからまだ(ハードコアで闘う)イメージはしづらいんですけど、うれしい気持ちは強いです。
――うれしい?
石川 言葉が難しいんですけど、日常生活を送るうえでもいろんな〝痛み〟ってあるじゃないですか。体もそうだし、心にも。だけど、私はその痛覚をオフにして生きがちなんです。
――意識的に感じないようにしていると?
石川 感じないというか、感じてもしょうがないからって思っちゃうんですけど、でもリングの上はそうはいかなくて。ダイレクトに痛みを感じるし、ハードコアだったら、より直接的な痛みを感じられそうというか。だから嬉しい。生きてるって燃えるというか。わかります?
――わかりません(苦笑)。
石川 ですよね(笑)。なんて言ったらいいんだろう。私がプロレスを好きな理由も痛みを感じられて、物理的に表現されるところにあるんです。私自身も感じられるし、(ファンにも)目に見えて感じてもらえるというか。プロレスってうれしいとか楽しいももちろんあるけど、ツラいとか苦しいとか痛いとかも当然あって、そういうのって生きる上でも避けられないじゃないですか。せっかくプロレスをやるんだから、そういうのを全部体で感じたい。ハードコアっていう試合の痛みの初めてが(第一人者の)世羅りさだったら最高じゃないですか。どうせやるなら世羅さんに〝はじめてを捧げたい〟って思ってたので。
――必要以上に意味深なセリフにも聞こえますが…。ハードコアということでアイテムが必要になってくるかと思いますが、すでに何か考えていますか?
石川 逆に石川と言えばなんですか?
――え? …お酒ですか? デカいジョッキをもって自撮りしているイメージが強いです。
石川 いいですね。石川らしいアイテムを用意していきますよ。

――9・6以降に関しては?
石川 9月6日の試合が終わってからですね。ご存じの通り、器用ではないので。決まった目の前の一戦を全力でやって、その後のことはその時に思ったこと、その時出た感情で。それがプロレスだと思うので。
――場合によってはまた2カ月も3カ月も鳴りを潜める可能性も…?
石川 どうなんでしょう、ふふふ。
――5月がニセたむという新境地、7月がKISSmeT PRINCESS復活という石川奈青の物語の節目にもなる一戦でした。今回はハードコアという新しい闘いになりますが?
石川 プリンセスとか、冒険家もそうなんですけど、プロレスラー石川奈青の延長線上だと思うんです。でも今回のハードコア挑戦は、石川の中のひとの延長上にあると思うんです。もちろん新しい挑戦ではあるし、プロレスラー石川奈青として挑戦するんですけど、気持ち的にはより自然というか、より中のひとを出せるかなって。自分のなかで、こういうふうにやるぞ!って思いやすいというか。
――その小難しい感じも、久しぶりに石川さんに会えたなって感じられていいですね。しかも今回は、たむ対決同様にメインイベントに組まれるようです。世羅さんを相手に石川奈青のプロレスを思い切り見せてほしいですね!
石川 世羅さんも、私と同じようにもう捨てるものが何もない方だと思うので。
――7月に離婚されたばかりですしね…。
石川 失うものがない同士、思いっきりやり合って、この試合を通して何か得られたらいいなって思います!

「プロミネンス第16戦~吾亦紅~」
★9月6日(水)東京・新木場1stRING(19:00)
▼SMS第2弾・邂逅ハードコアマッチ
世羅りさvs石川奈青
※SMSとは「S→世羅りさ、M→見つめ直し、S→シングルマッチ」
▼ハードコアタッグマッチ◎ビオレント・ジャック&藤田あかねvsアイガー&スーパー・ハードコアマシン
▼ハードコア6人タッグマッチ◎マンモス佐々木&ハートリー・ジャクソン&宮崎有妃vs夏実もち&植木嵩行&佐久田俊行
▼柊くるみ&青木いつ希vs松本都&田中きずな
※8月26日(土)午後6時より埼玉・川口市の「Bar Kado」で石川がイベントを開催。プロミネンス9・6新木場大会のチケットも販売する。1時間飲み放題5000円、延長1時間2000円。お土産付き。予約不要だが、@barkadoにDMで席の確保は可能。詳細は石川@ishikawanaopのX(旧Twitter)などで確認を。