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2023-09-08

【しゅりんぷ池田のカード春秋】球団の歴史を体現する男・東尾修

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背景に見える石垣も懐かしい

 今月下旬にライオンズ球団の歴史を振り返るカードが発売となります。紆余曲折のあった同球団の栄枯盛衰を一身に体現していると思うのが、今回掲載している東尾修なのです。


2023BBMベースボールカード埼玉西武ライオンズヒストリー1950-2023 No.13 東尾 修

 太平洋時代のユニフォームを着た東尾の背景に見える石垣も懐かしいですね。これは西鉄時代から春季キャンプを張っていた島原市営球場のブルペンで撮影されたもの。ライオンズは黒い霧事件の影響で戦力不足に陥り、1970年から3年連続最下位で観客動員も大幅減(72年のそれは32万人!)となったことで西鉄が球団を手放し、73年以降は福岡野球株式会社が経営を引き継ぐのですが、ゴルフ場開発会社の太平洋クラブがスポンサーにつき、チームは太平洋と名乗ります。現在で言うところのネーミングライツですね。

 69年入団の東尾はこの低迷期に投げに投げ、実力を養い、75年には23勝で最多勝に輝く一方で、福岡時代はリーグ最多敗も4度。72年に25敗、77年に20敗は現在では考えられないような数字です。

 福岡時代の通算では128勝144敗と負け越していたのですが、79年より埼玉・所沢に本拠を移し、西武ライオンズとなって以降は“常勝西武”と謳われる黄金期を迎え、東尾も勝率を大きく向上させ、最終的には251勝247敗と勝ち越して現役を終えたのですから立派です。

 ライオンズは10年ほどでこの低迷期を終え、以降も強いチームであり続け球団の通算勝率.528はホークスの.529に次ぐパ2位ですが(8月31日現在)、苦難の時代に歴史をつないだ選手たちがいたことも、覚えておいてもらいたいものです。
(週刊ベースボール2023年9月18日号 掲載記事再編)
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