東日本大震災で両国国技館大会が中止…大減量で2度目のドリームゲート王座戴冠に臨もうとした望月成晃だが、まさかの挑戦延期【週刊プロレス】

望月成晃はDRAGONGATEで過去に3度、団体最高峰のオープン・ザ・ドリームゲート王座を腰に巻いている。初獲得は闘龍門からDRAGONGATEに団体名が変わった2004年の12月16日。その後、約1年間にわたって王座を保持した。

2度目の戴冠は6年後の2011年。プロレス界において多くの団体が両国国技館でビッグマッチを開催しているが、DRAGONGATEは数えるほどしかおこなっていない。その中で、2011年3月20日に両国のメインでドリームゲート王座に挑戦するチャンスを得たのだ。

望月にとって両国は地元からも一番近いだけでなく、過去にさまざまな思い出のある場所。両国のメインで試合をすることも目標のひとつだった。

この時の望月は41歳。2度の挑戦者決定戦を勝ち抜き、当時の王者は吉野正人。スピードやスタミナ面でも対等、いやそれ以上のものをぶつけるべく、最大限にコンディションを整えて本番を迎えるはずだった。ところが本番まで残り9日という時に発生したのが3月11日の東日本大震災。この影響で両国大会が中止となった。

ショックは計り知れなかったが、その思いをぶつけるところもなく、さらに本番に合わせて減量していたため、挑戦自体が3週間も延びてしまったことで体力・気力ともにつらい思いをすることとなった。この時のことを望月は自伝「親子でプロレスをやる覚悟。」でこう綴っている。

「少しでもチャンピオンの領域に踏み込むという、有利だか不利だかわかりませんが、40歳を過ぎての挑戦に周りを納得させる何かを示したくて、大減量という道を選択したのです」

その後、ようやく挑戦できたのは約1カ月後の4・14後楽園ホール大会。結果的に2度目の戴冠を果たし、嬉しさとともに無事にドリームゲート戦を迎えられたことへの安ど感から、リングに上がった時点で泣いていた。

3度目のドリームゲート王座戴冠は47歳の時。この時も挑戦者決定戦を経て当時の王者だったYAMATOに挑戦してベルトを獲得した。

その時、ひらめいたのが、自身の体力なども考慮し、闘い方を変えていったこと。フィニッシュ技を対戦相手や試合状況によって変えていくようにしたのである。必殺技である「顔面への三角蹴り」一本狙いというのも単調になると感じていた部分もあった。長年やっていく中で、しかも団体最高峰の一戦で「今まで通りの闘い」では、さまざまな意味で通用しなくなっていく衝動に駆られたのだった。

「得意技にこだわる」よりも「勝ちにこだわる」姿勢。

その結果、2017年9月18日、東京・大田区総合体育館で3度目のドリームゲート戴冠を果たし、その後も順調に防衛戦を敢行。このチャンピオン時代には念願であった「週プロ（週刊プロレス）単独表紙」を2度、達成。とても充実した期間であった。