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2019-02-15

カードにも試される企画力とチャレンジ精神だからカードは面白い!

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連載6回目は、少し肩の力を抜いて読みたい、企画部門とインパクト部門の回。ここは毎回、「そこを突いてくるか!」というような鋭さとユーモアがお楽しみ。さて、今回はどんなカードが選ばれる?

【参加ディーラー】(敬称略)
佐伯 篤(SAトレーディング/写真右)
田村亮一(ミント神田店/写真中)
高橋高弥(ミント立川店/写真左)

☆企画部門☆

佐伯 カープは3連覇もしたし、MVPのご祝儀ですね。続いて【企画部門】です。

田村 これはちょっと難しいですね。

佐伯 私から言わせてもらいますと、ロッテの福浦が2000安打を達成した時に、球場配布限定で“福メーター”カードを1995本から2000本まで配布していたんですよね。これが意外に人気で、最初の1995本はひっそり配布していたので、あまり枚数が出ていないんですよね。2000本に近づくにつれて、みんな気がついて欲しがったんですけど、全部そろえるのは難しい。カードとしてもいい出来で、チーム発行の配布カードとしてはファンに喜ばれたいい企画だったと思います。

高橋 裏面はパズルになっていたんですよね。

佐伯 それと、ここでまた「エポックワン」を推すんですけど、その中の引退セレモニーシリーズ。BBMでも「惜別球人」はありますけど、それは時期がだいぶ後ろになりますよね。写真もセレモニーのない選手は普段はなかなかカードのならないような引退会見などでカード化されて、非常に好評でした。

田村 企画部門は「エポックワン」でいいんじゃないですか。

佐伯 一応、みんなの話を聞いてみましょうよ。思わぬものが出てくるかもしれない。

高橋 私は「AKATSUKI FIVE」ですね。渡邊選手も収録されていましたし、バスケカードの中で、何年かしたら伝説的なカードセットと呼ばれるような商品になるんじゃないかと私は思っています。

 あとはバレーボールの「火の鳥NIPPONカード」で、初めてボールサインカードが入ったんですけど、バレーは道具のカード使用が制限されているというような話を聞いたことがあったので、それを初めて実現してくれたというのは評価したいと思っています。

 それ以外では、海外で「UDシュープリームハードコート」という商品があって、1枚のサイズが大きいのでカードと呼べるかどうかは微妙ですけど、体育館の床を切り取って、そこにサインが入っているというもので、ブルズ時代のユニフォームを着たジョーダンのサインが久々に入ったとのもうれしかったです。ただ企画の面白さということで選べば、「AKATSUKI FIVE」だと思います。

佐伯 私も「AKATSUKI FIVE」はどこかで選びたいと思っているんです。今のところ何度か話題にはなっているけど、1位にはなっていないですから。

田村 まさか、この部門で高橋君が女子カードを候補に挙げないとは(笑)。確かに「AKATSUKI FIVE」については、あれを商品として企画してタイムリーに出せたことは大きな意味があったと思います。純粋な企画、商品として「AKATSUKI FIVE」にしましょうか。この部門は比較的とがったカードが選ばれることが多いですけど、いつになくまともな商品が選ばれましたね(笑)。

高橋 それ以外だと、「タイムトラベル1979」に入った池田理代子さんのベルサイユのばらサインも面白かったと思います。

佐伯 全然見たことないけど、本当に入っているのかしら(笑)。杉村太蔵さんのサインは、ちょくちょく見かけるけど。

田村 太蔵さんは60枚で、ベルばらは30枚だったかな。小林幸子さんのサインは30枚で神田店から1枚出ました。小林さんのドレスカードがあったら、それが1位でしたね(笑)。

バスケカードの中で、何年かしたら伝説的なカードと呼ばれるようになる
(高橋)

☆インパクト部門☆

佐伯 さあ、いよいよ【インパクト部門】です。

田村 最後は佐伯さんにまとめてもらうとして、初参加の高橋君に説明しておくと、ここは笑いを取るところだからね(笑)。

佐伯 あまりまともにいかないように(笑)。

田村 まず私から時系列順に行くと、初めにインパクトがあったのは、「ROYAL PURPLE」です。略して「ロイパ」。日本ハムと広島のチームパックに入っていて、ボックスから普通はサインかメモラが1枚は出ると思いますよね。最低でも「PHANTOM」は出るだろうと思っていたら、まさかのこれ1枚で終わるの? という。しかも日本ハムだったら何となくパープルに近い色合いですけど、なぜ広島がパープルなのか(笑)。

佐伯 たくさん部数を作ったチームのシリアル濃度を上げるために作ったんでしょう。

田村 カードとしての作りは非常にいいんですけど、ポイントはなぜパープルにこだわったのかというところですよね。

佐伯 ロイヤルだからじゃない?(笑)。紙の具合の問題でしょうけど、結構すぐに角折れするんですよね。しかもパープルだから、それが目立ってしまいました。

田村 インサートの加工は今までBBMがあまりやったことがないもので、カードとしての出来自体はいいんです。ただ、2019年もやるのであれば、パープル以外でやっていただきたい(笑)。そして、もう一つインパクトがあったのは、海外サッカーで1ボックス80万円もする商品が出たのを皮切りに、MLBやNBAのカードでも10万円を超えるような高額アイテムが続々と出てきたこと。こんなにたくさん、いったい誰が買っているのかとびっくりしました。

佐伯 世界には景気がいい国もあるということでしょう(笑)。

田村 あまり良くない傾向ですよね。日本の6000円のボックスをみならってほしい(笑)。そして夏が終わり秋になってエッと思ったのが、エポックの「阪神歴代ショート」。理由は申しません。

佐伯 びっくりしましたね。

田村 そして最後に驚かせてもらったのが、BBMから出た「P★LEAGUEカード&ミニ色紙セット」です。その名も「パーティーボックス」! パッケージを含め、デザインが非常にハッピーで、このご時世に、こういう世界を見ると、非常にほのぼのできるんですよね。優しい気持ちになれたアイテムでした(笑)。

高橋 これについては補足しますけど、立川店ですごく好評でした。

佐伯 私は最初にボックスを開けてサインが書かれていない色紙が出てきて、書き忘れじゃないかと思いました(笑)。色紙には直筆じゃなくても、せめて箔サインは入っているものだと思っていたので。直筆サインも箔サインもないのに、50枚限定のシリアルが入っていましたよ(笑)。でも、ミニ色紙はBBMでは初の試みだったんですけど、それをここで投入するというチャレンジ精神ですよね。

田村 私の店はあまり仕入れなかったので大きなことは言えないですけど、勘違いしてほしくないのは、この商品のことを私はほめているんです。デザインはもちろん、新しいことにチャレンジする姿勢が大切ですよね。硬派なカードを作る一方で、こういう商品を企画して、実際に出せる余裕をメーカーには持ち続けてほしいと思います。

高橋 遊び心という意味では、私はBBMから謎の魚のスタンプカードが出た時はギョッとしました(笑)。

佐伯 ギョッ、何それ?(笑)。

高橋 ロッテのチーム別カードに入っていたんですけど、直筆サインではなくて、謎の魚のスタンプが押してあるカードでした。

佐伯 そんな大切なものを見落としていたとは不覚です(笑)。

田村 私もすっかり忘れていましたけど、2018年を代表するキワモノカードでしたね。

高橋 年末の時点でも、ネットオークションで8000円近い値段がついていましたよ。

佐伯 人気あるじゃない!

田村 あれに使っているスタンプは球団の持ち物なのかな?

高橋 球団主催のイベントでも同じスタンプを押していたので、オフィシャルなものだと思います。

田村 このカードだけはサイン用の透明シールではなくて、実は専用の紙シールを使っているんですよね。

佐伯 別仕様なの? すごく手間もかかっているじゃない! 

高橋 謎の魚で言えば、「エポックワン」でも何度もカード化されましたよね。最終形態までカードになりました。でも、レア度とインパクトで言えば、スタンプカードが一番でした。

佐伯 まずいな、思わぬ強敵が出てきた。もしかしたら、私の「歴代ショート」が負けるかもしれない(笑)。

高橋 あとは、エポックから出た「NPBプロ野球カード」のキラカードですね。1パック12枚入りの商品で、必ず1パックにキラカードかインサートカードが1枚入っているという触れ込みだったんですけど、店内で開封されたお客さんからレギュラーだけで何も出てこないという指摘があったんです。私もざっと確認して、確かにキラ系は入っていなかったんですよね。でも、後であらためてじっくりと見てみたら、うっすらとしたキラカードが入っていました(笑)。

田村 それについては、私から説明しましょう。このキラカードは、レギュラーの上からキラキラのシートを貼っただけの仕様なんですけど、例えばカルビーのスターカードとかBBMのパラレルだったら、何か別に模様が入っているんですよね。これを作るにあたって、今までどのメーカーも使っていなかったキラシートを選んでいるんですけど、何を隠そう、それをゴリ押ししたのはこの私なんです(笑)。だけど、私は非常にあのカードを気に入っていて、いいものができたと思っています。星型とかが入ると子供っぽくなるので、控えめに光る大人向けのキラにしたかったですけど、確かに非常に分かりづらかった。史上最も分かりにくいキラカードとして、いまギネス申請しています(笑)。

佐伯 初期のトップスのリフラククターも並べてみないと分からないくらいの微妙なキラ加減だったから、あんな感じ?

田村 あんな分かりやすいものじゃないです(笑)。あまりにも地味なカードでしたけど、あのカードを好きだという人は、私を含めて確実にいると思います。ただ、キラカードが1枚入っていると思って開封して、何も知らされずにあのカードが出てきたときのインパクトは想像に難くない(笑)。

佐伯 そんな苦労した裏話を聞かせてもらうと、インパクト部門は地味なキラカードにしたくなりますね。「阪神歴代ショート」なんて、どうでもよくなってきました(笑)。

田村 こうして話題にしてもらえると、自分はいい仕事をしたと嬉しくなってきますね。P★LEAGUEセットのほんわかした感じか、キラカードの地味な感じか(笑)。王道を行けば、謎の魚スタンプなんでしょうけど。

佐伯 ここは、地味なキラカードでいいと思います。

田村 そこを選ぶのは、さすが佐伯さんらしいですね。

何も知らずにこのカードが出てきたときのインパクトは想像に難くない
(田村)

(つづく)

これまでの回はこちら

〈第1回〉

〈第2回〉

〈第3回〉

〈第4回〉

〈第5回〉

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