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2023-10-28

【天龍プロジェクト】古豪・佐藤耕平が「龍魂杯」初優勝を狙う意味「僕自身がそうだったから若い選手に狙われたら受けなければならない」【週刊プロレス】

「第3回龍魂杯」制覇を狙う佐藤耕平

天龍プロジェクト11・6新木場からシングルトーナメント「第3回龍魂杯」が開幕。再始動後の天龍プロジェクトにおいて、河野真幸と並ぶ二大大砲としてそびえ立つ佐藤耕平もエントリーした。その実力と年配者という立場から若い選手たちに狙われることが多く、厳しい闘いを刻み込むことで成長させていった。そんな耕平が一プレイヤーとして自身に初のトーナメント制覇を課す理由とは――。
◇     ◇    ◇
――天龍プロジェクトにはさまざまな団体の若い選手たちが参戦。どんな思いを抱いて龍のリングに上がっているのでしょうか?

耕平 要は天龍さんのスタイルというか、激しいプロレスというものは僕もやってきて、そういうのをやれているうちになかなか当たらないような選手ともここでは当たれるので。自分でも楽しんでいますね。

――キャリア的に若い人たちから狙われるシチュエーションが多いが?

耕平 壁になろうと思ってやっているつもりはないんで。単純にまだ負けないよっていう気持ちをそのままリング上で体現しているだけです。

――一度勝っている相手からリベンジを求められても、耕平選手は拒絶することなく、受けて立っています。

耕平 それは、僕自身も同じだったからです。田中将斗さんや杉浦貴さんに、それこそストーカーかっていうぐらい何度も挑んで、超えた時の達成感、一歩レベルが上がったという実感が持てて、成長できたというのを感じられた。だから、自分自身がその狙われる立場になったら受けなければならないって思っているんです。天龍プロジェクトに上がってくる選手たちは、若い勢いだけじゃなくてここで経験したことを自分たちのホームリングやほかのリングへ出た時に練り直して、また持ち帰ってくるんです。それをぶつけられた時に僕の方が新鮮で、楽しくなっちゃうんですよ。それを続けるうちに自分の役割のようなものになってきて、自分はそういうつもりじゃないんだけど初めて天龍プロジェクトに上がる選手がいたらその査定役になっていますよね。

――その役割は嫌いではない?

耕平 相手になることで、この選手にはこういうところがあるんだっていう発見があるし、当たったことがない相手と多くやれるというのもフリーならではの楽しみじゃないですか。

――そうした中で「龍魂杯」では1回戦から大型対決が組まれました。河野真幸選手です。WAR世界6人タッグ王座をともに保持した仲であり、天龍プロジェクトでは1度シングルマッチで対戦し両者リングアウトに終わって(2022年2月12日、大阪・176BOX)決着していません。

耕平 駆け引きに尽きるでしょうね。お互い同じぐらいのキャリアで若い頃から知っているんで、いかに引き出しの中をうまく出せるか。

――ほとんどが自分よりも小さい選手が相手になる中、自分と同等のサイズの相手とやるのは闘い方も違ってくるのでは?

耕平 僕は変えるつもりないですけど、ここまで知っている仲だと多少はひねりを加えないとうまくいかない気がします。あと、トーナメントって難しいものじゃないですか。やっぱりキツくなりますよ、上がっていけば上がっていくほど。ただ、出るからには勝ち上がって天龍さんに見てもらいたい。今、なかなか会場に来られることがない中で、天龍さんが生でプロレスを見る日が(11・19後楽園の)決勝戦であることの意味を考えたら、今年は(単純に)優勝を争うだけのものではないんですよね。

――その大事な決勝戦の相手は誰になると思われますか。

耕平 誰が出てきてもおかしくない。レイ・パロマを含め、何をやるかわからないじゃないですか。今、パートナーとして一緒にやっているSUSHIも、まさかの“キラーSUSHI”になるかもしれない。なので、天龍さんに見せたい試合という意味で言っていいですか? 拳剛ですね。一番、天龍プロジェクトに携わっている人間であり、天龍さんもかわいがっていると思われる中で、天龍さんの前でボコボコにしてやろうと。

――確かにそれは意味のある顔合わせになります。

耕平 その前に、今年は一日で3回勝たないと後楽園にいけないんですよね。拳剛をボコボコにする前に、まずは自分ですよ。去年は2回戦から決勝までが一日で、2試合目(準決勝)止まりでしたから、その上と言ったら3勝することだし。

――連戦に関しての経験値は?

耕平 けっこう昔にはなりますけど、火祭りで一日2試合だったかな、やってはいるんです。でも3試合となると…やっぱりキツいかな。それをなんとかするのが引き出しですから。勝ち上がりますよ。

――そこは自分より若い相手に対し受けて立つ姿勢とはガラリと変わってきますね。

耕平 そうです。トーナメントに関しては若い人のことを考えてやるとか、楽しいとかそういう対象ではないですよね。そこは普段の闘いの中で…ベルトもさることながら、今の天龍プロジェクトに上がっている若い選手たちはもちろん自分のスタイルを持ってやっているとは思いますけど、僕らのような世代のスタイルを吸収して幅が広がれば面白いんじゃないかって思ってやっているんで。

――同じ団体の所属という関係性になくても、そういう感情を持てるんですね。

耕平 そういう時代ですから。僕も、そういうことができるトシになったっていうことです。前は自分のことだけで精一杯でできなかった。フリーになってからですかね、団体の中で守られているんじゃなく、外に出て自分のことをやらなければならない必死さもありますけど、それ以上に視野が広がったのが大きかった。

――むしろフリーになったら自分のことしか考えられなくなるものですが。

耕平 僕は逆でしたね。いろんな選手を見られる環境になってやり甲斐を持てています。重要なのは、だからといって自分が踏み台にはならないこと。ベルトを取ったりトーナメントで優勝したりするっていうのは、そのためのことなんですよ。(聞き手・鈴木健.txt)
「第3回龍魂杯」トーナメント表

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