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2023-11-16

【陸上】初心にかえる 九州共立大に学ぶ 競技力向上のための自分自身との向き合い方④ “自分自身の花”を咲かせる

写真/中野英聡

シーズンも終盤戦。なかには残り数試合、という選手もいるかもしれませんが、多くの選手が冬期練習に入っていることと思います。さて、冬期“鍛練期”といわれるこれからの期間、「一皮むけてやる!」と意気込んでいる選手も多いのではないでしょうか。技術を積み上げるには土台となる基礎がとても大事です。
「指導者は選手のプロヂューサー」に続いて、今回も学生投てき界をけん引する九州共立大学陸上競技部の疋田晃久監督に聞いた冬期練習を迎えるにあたってのポイントを紹介します。第四弾は「自分自身の花を咲かせる」です。会話の一部分、言葉の選び方によって、周りの人々の言動が変化します。相手の話をしっかりと聞く、自分に必要なことかを判断する。一つひとつの手間が、自分自身の成長につながります。

自分と向き合い人の話に耳を傾ける

冬期練習に入る前に、選手の皆さんに知っておいてほしい考え方を紹介します。

人と話すとき、「でも」「だって」と言っていませんか? つい使ってしまうこの言葉は「でも・だってバリア」として外部からのアドバイスを拒絶してしまいます。この「でも・だってバリア」、なにが良くないのか、植木鉢に例えて考えてみましょう。

あなたという「植木鉢」が一つあります。
そのなかにあなた自身の人格や思考などといった「土」を入れます。
その「植木鉢」で「花」を咲かせるためには「種」が必要です。その「種」となるのは、顧問の先生やコーチなどたくさんの人たちからのアドバイス。
「種」は、自分自身が苦しいとき、悩んでいるときに「風」に乗ってやってきます。その苦しみ、悩みが大きいほど、「風」は強く吹いてきます。
でも、苦しいとき、悩んでいるときは、余裕がなくなりますよね。なかなか人の意見に耳を傾けることが難しい人もいるでしょう。そういうときに「でも・だってバリア」を張ってしまうと、「植木鉢」のなかに「種」が入りません。どんなに悩んで苦しんでも、「種」が入っていない「植木鉢」に「花」は咲きませんよね。
さあ、あなたの“植木鉢”に“種”は入っているでしょうか。「でも・だってバリア」を張って、土だけの植木に「水」(=練習)をあげ続けていませんか?

臆病で賢い人ほど、自分の考えが正しいと思い込んで人のアドバイスを聞かない傾向にあると疋田監督。周りからの意見に聞く耳をもたない選手が強くなれるのでしょうか。
しかし、なかには強い選手でも「でも・だってバリア」を使ってしまう人がいるといいます。それは、選手自身が強くなった自分を守ろうとするためにバリアを張ってしまうというもの。
飛んできた「種」が自分に合うのか、合わないのかはその場ですぐに判断できるものではありません。アドバイスを一度聞き入れて咀嚼することが大事です。「種」を受け入れるか受け入れないかの判断は、一度受け入れてみてからでも遅くはありません。自分の考え、意見を持つことは大事ですが、まずは周りの意見に耳を傾けてみることで今の課題や悩み、苦しみの突破口が開けるかもしれませんよ。


※この記事は2022年11月14日発行「陸上競技マガジン12月号」に掲載したものを再編集したものです。

文/陸上競技マガジン編集部 写真/中野英聡

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