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2023-11-14

【陸上】初心にかえる 九州共立大に学ぶ 競技力向上のための自分自身との向き合い方② 動画の品評会してない?

写真/朝倉宏二

シーズンも終盤戦。なかには残り数試合、という選手もいるかもしれませんが、多くの選手が冬期練習に入っていることと思います。さて、冬期“鍛練期”といわれるこれからの期間、「一皮むけてやる!」と意気込んでいる選手も多いのではないでしょうか。技術を積み上げるには土台となる基礎がとても大事です。
第一弾「あなたは競技者? オタク?」に続いて、学生投てき界をけん引する九州共立大学陸上競技部の疋田晃久監督に聞いた冬期練習を迎えるにあたってのポイントを紹介します。第二弾は「動画の品評会してない?」です。正しい動画の使い方を知ることで、より有効活用でき、資料としての価値も上がるはずです。今の使い方を頭に浮かべながら読んでみてください。

動画を使っての考察は練習後に

多くの選手がスマートフォンなどを使用し、練習や大会での動きを確認した経験があると思います。携帯端末で簡単に撮影でき、自分の動きを客観的に確認できる動画をあなたは正しく活用できているでしょうか。
例えば練習中、撮影してもらった動画を指導者や共に練習する仲間たちと「ああなっている、こうなっている」と次から次へと課題を探していませんか? 課題を見つけては投げ、また動画を確認して課題を見つけては投げ……。このように練習をしているとき、意識するポイントが投てきごとに変わってしまっていませんか? また、一部の局面ばかりを気にし過ぎていないでしょうか。

「あなたは競技者? オタク?」の通り、“当たり前にできることを増やす”ためには我慢強く一つのことを継続することが大切です。“当たり前にできることを増やす”ために動画の使い方を今一度見直してみましょう。
九州共立大では、冬期練習の期間に入る前にシーズンの振り返りと自己研究に1週間ほどの時間を費やすと言います。今回は、九州共立大学陸上競技部の疋田晃久監督が選手の皆さんに話しているという内容の一つ「動画の撮り方と使い方」を紹介します。

ポイント1
動画と一緒に今抱えている(改善しようとしている)課題に対しての投げの感想を述べる
実際の投てきの感覚は、投げた直後が一番鮮明です。投げた後すぐに感想を残しておくことで、後で見返したときに主観・客観両面から動きを確認することができます。

ポイント2
後で動画を確認し、客観的な見た目と実際に投げたときの感覚のすり合わせを行う
限られた練習時間のなかで、考察までするのは時間がもったいないと思いませんか? 練習が終わってから、じっくりと確認を行い、感覚のすり合わせを行いましょう。

ポイント3
全体のリズムと力点を見る
課題としている一部の局面にとらわれ過ぎると、自分自身の悪いところにばかり目がいってしまいます。動き始めから、最後の瞬間まで、全体のリズムとどこで力が加わっているかを分析することがとても大切です。全体を俯瞰して見ることで、改善したい部分へのこれまでとは別のアプローチ方法が見つかるかもしれません。

★毎回動きを確認することもゼロではありません。投てきであれば数本投げてから自分の感覚と照らし合わせるように使用しましょう。考察は練習後です。

練習中に仲間たちと動画を見て、感想を言い合っていると、同じところを見ているようでも別の課題に目が向いてしまうことがあります。また、高頻度で動画を確認していると客観的な面にばかり意識がいってしまい、主観と向き合うことができなくなってしまうこともあるでしょう。まずは、自分の感覚を大事にして、抱えている課題がなぜ克服できないのかをしっかりと考えた上で、客観的な視点も加えるとより深く、自分の動きを知ることができるでしょう。

※この記事は2022年10月15日発行「陸上競技マガジン11月号」に掲載したものを再編集したものです。

 

文/陸上競技マガジン編集部 写真/朝倉宏二

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