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2023-11-13

【陸上】初心にかえる 九州共立大に学ぶ 競技力向上のための自分自身との向き合い方① あなたは競技者? オタク?

写真/黒崎雅久

シーズンも終盤戦。なかには残り数試合、という選手もいるかもしれませんが、多くの選手が冬期練習に入っていることと思います。さて、冬期“鍛練期”といわれるこれからの期間、「一皮むけてやる!」と意気込んでいる選手も多いのではないでしょうか。技術を積み上げるには土台となる基礎がとても大事です。
今回から5回に分けて学生投てき界をけん引する九州共立大学陸上競技部の疋田晃久監督に聞いた冬期練習を迎えるにあたってのポイントを紹介します。第一弾は「あなたは競技者? オタク?」です。ただただ“きつい”だけの練習を“やらされる”のではなく、自分自身と向き合って、目的を持って取り組んでみてはいかがでしょうか。

当たり前にできることを増やす

あなたは、技術練習に取り組む際、どのような練習をしていますか?
大きく分けて2つのタイプがいると疋田監督は言います。それが、「競技者」か「オタク」か。選手の皆さんは、間違いなく「競技者」であると口をそろえるでしょう。
それぞれの具体例は以下の通りです。

「競技者」……我慢強く一つのことを突き詰め、できることを増やすことのできる人 ※知識がないという意味ではない

「オタク」……豊富な知識と練習方法を駆使し、いろいろ試すことばかりに時間を使うが、一つのことができるようにならない人

さて、いかがでしょうか。ただいろいろやって、即時効果ばかり望んでいませんか?
時期によってはいろいろと試すことが重要であることも当然ありますが、ずっとそのような日々を過ごしていてもなかなかできることは増えません。
「オタク」は、次から次へとやってみるものの、ポテンシャルがあり、センスもあるため、ある程度のことはできてしまう。ひたすらお試し練習のような日々を過ごす。そして、身についていないのに(何度やってもできるようになる前に)、すぐにまた別のことに取り組んでしまうため、技術が定着しない(身につかない)のです。

以下は、2022年、23年の日本インカレの投てき種目の入賞者のシーズンベストに対してのパフォーマンス達成率です。
2022年日本インカレ 投てき種目パフォーマンス達成率
2022年日本インカレ 投てき種目パフォーマンス達成率

この結果から、試合という状況下でシーズンベストに近い記録、自分自身のパフォーマンスを発揮できる選手が上位に入っていることが分かります。自分自身のパフォーマンス能力を上げるために、「当たり前のことをどれだけ当たり前にできるか。そして、その当たり前が自分のなかでどの位置にあるのかを把握し、高めていくことが大事」と疋田監督は言います。

当たり前を高める。そのためには、当たり前にできることを増やすことが必要不可欠です。あれこれ、課題は尽きないでしょう。それでも、まずは今、自分の持っている技術を定着させること、一つの課題に焦点を置いて、練習を積んでいくことが当たり前を高める一番の近道です。練習でいかに我慢強く一つのことを継続できるかが、パフォーマンス能力の向上、つまり、“競技者”として当たり前にできることを増やすことにつながっていきます。指導者はもちろん、周りの人に課題や問題点を客観的に見てもらう、評価してもらうことも大事です。ですが、まずはなぜ自分自身が考えている動きができていないのか、どこにポイントをおけばその課題は克服できるのか、何度も何度も自問自答を繰り返し、一つのことに対して深掘りしてみましょう。

冬期練習の目標を立てた選手も多いと思います。今一度、立てた目標を見直してみてください。疋田監督は「一つの目標を立て、それが達成できて初めて次の目標を立てるべき」と言います。限られた冬期練習のなかで、できることは多くありません。来季に向けて「一つでも多くの課題を解決したい」というのは誰もが思う理想ですが、“当たり前にできることを増やす”ためには、一つに集中することが大切です。“オタク”ではなく、“競技者”としてパフォーマンスを高められるように冬期練習に取り組みましょう。

指導者も自分の指導対象者たちが、どのような状況になっているのか把握することが重要であり、結果を出せる競技者に育てる重要なことかもしれません。

 
※この記事は2022年10月15日発行「陸上競技マガジン11月号」に掲載したものを再編集したものです。

文/陸上競技マガジン編集部 写真/黒崎雅久

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