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2023-12-01

【連載 大相撲が大好きになる 話の玉手箱】第14回「ストレス解消法」その3

愛妻のビオレッタ夫人とラブラブの碧山

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令和2年春、新型コロナウイルスの襲来に、大相撲界も、まさにモロ被り。
恐れていた感染者が出てしまい、夏場所の延期ばかりか、外出、出稽古、申し合い、ぶつかり稽古に至るまで控える事態になってしまいました。
まさに八方塞がり、ストレスはつのる一方です。
こんなとき、どうやって鬱憤を晴らせばいいか。
年に6回も本場所があり、プレッシャーには慣れている力士たちのことですから、ストレス発散ならお手のものです。
過去にもこうやって息抜きしていました。そんなストレス晴らしの妙手をピックアップしましょう。
※月刊『相撲』平成31年4月号から連載中の「大相撲が大好きになる 話の玉手箱」を一部編集。毎週金曜日に公開します。

妻とのテレビ電話
 
家族の愛、とりわけ妻の愛ほど、力士たちに勇気を与えるものはない。その日の勝負を終え、布団に入る前のひととき、愛しい妻や子供たちとの語らいは心を休め、リラックスする妙薬だ。
 
平成29(2017)年名古屋場所、東前頭8枚目の碧山は初日から7連勝するなど、13勝2敗の好成績をあげ、2度目の敢闘賞を獲得した。前の場所は西前頭3枚目で4勝11敗と大惨敗している。この手のひらを返したような好調の原因は何か。5日目に隠岐の海(現君ケ濱親方)をなんなく押し出し、5連勝を飾った直後、報道陣に問われた碧山は少し顔を赤らめながらこう明かした。

「場所前、栃ノ心関、栃煌山関(現清見潟親方)と稽古できたことも大きいけど、東京に(ひとり留守番をして)いる奥さんとテレビ電話するのがとっても力になっている。毎日、(自分の)相撲を見てくれていて、負けると心配するから」
 
この年の2月19日、碧山は2年前に郷里のブルガリアに帰国したときに知り合い、愛を育んできた5歳年上のビオレッタ・トドロバさんと都内のホテルで結婚式を挙げたばかりだった。碧山の相撲には新妻と2人分の思いがこもっていたのだ。これじゃ、相手はたまったものではない。
 
この碧山の“共闘”は令和2(2020)年春場所もそうだった。新型コロナウイルスの感染拡大を恐れて外出自粛の中、碧山は東京にいるビオレッタさんとのテレビ電話でストレス解消。

「いつも1時間半ぐらい電話する。2時間近く話しているときもある。ケガしないで早く帰ってきてね、と言われると、元気が出る」
 
とテレながら話していたが、この愛のささやきのおかげで一時は優勝争いの単独トップに立つなど、絶好調。11勝4敗で初の技能賞を手にしている。妻と別居生活を強いられる地方場所の碧山は恐るべしだ。

月刊『相撲』令和2年5月号掲載

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