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2023-12-16

【箱根駅伝の一番星】国士舘大・山本龍神「1区でリベンジを」

箱根予選会はチーム内3位、全体43位の1時間03分05秒でフィニッシュ(写真/椛本結城)

陸マガの箱根駅伝2024カウントダウン企画「箱根駅伝の一番星」が今年もスタート。出場23校の注目選手を紹介する。国士舘大の山本龍神は箱根駅伝の1区に思いを馳せる。流れをつくり、34年ぶりのシード権獲得へ。エースの心は燃えている。

3年ぶりの1区へ

4年連続、そして最後の箱根路への思い――国士舘大のエース、山本龍神(4年)が心に期すのは、1区18位に終わった「1年時のリベンジ」である。

「1年生のときは自己ベストを出し続けて臨んだのに、本番では太刀打ちできず。その後の2年間は8区、3区で走りましたが、やはり1区でリベンジしたい気持ちが強いです。100回という特別な節目の大会でもあり、過去3年とは懸ける気持ちが違います」

その決意は、1区で責任を果たした二人の先輩の存在も大きく影響している。2大会前の木榑杏祐(現・埼玉医大グループ)が区間10位、前回の綱島辰弥(現・YKK)が区間13位もトップに33秒差と4年生エースが好位置で2区の留学生にタスキを渡し、2区終了時点ではそれぞれ3位、8位と流れをつくった。

チームはその後シード圏外でのレースを強いられたが、今季は例年にないチームの底上げもあり、シード圏内を目指す機運が生まれている。そんな中、山本龍神は二人の先輩の姿を自分に重ね合わせながら、来る本戦に着々と準備を進めている。

どんなペースチェンジになっても

今季を振り返れば、アップダウンのコースを多めに入れるなど「質」にこだわる取り組みで地力をつけてきた。

「距離走やポイント練習も大切ですが、ジョグを一番大切にしてきました。自分の適性的に14kmくらいの距離ですが、上り基調のコースをあえて選んで1km4分を切るくらいのペースで走ることで、良くなった実感があります」

レースではトラックシーズンこそ思うような走りができなかったが、6月の全日本大学駅伝選考会は7年ぶりの突破に貢献。箱根予選会ではチーム3番手の1時間03分05秒で走り、1年時以来のハーフの自己ベストを更新。チームの8年連続52回目の本戦出場に大きな役割を果たした。

高校に入学した頃は、大学では陸上競技を続けるつもりはなく、卒業後は漠然と就職して経済的に自立することを考えていたという。だが、高校2年の冬に添田正美コーチ(当時監督)に声をかけられてから、箱根駅伝を本格的に意識するようになった。ランナーとしての自分の可能性を信じ、育ててくれた国士舘大への恩返しも込めて臨む最後の大舞台。

「1年目は3分30秒の遅いペースから2分55秒くらいになったときに体が予想以上に重く、付いて行けなかったのですが、今は自信があります。どんなペースチェンジになっても集団の中で良い位置につけて、勝負できるように備えたい」

34年ぶりのシード権獲得へ。その口火を切る決意は揺るがない。

下級生の台頭が目覚ましい今季、山本龍神は主将の山本雷我と共にチームをけん引する

下級生の台頭が目覚ましい今季、山本龍神は主将の山本雷我と共にチームをけん引する

PROFILE
やまもと・りゅうしん◎2001年7月11日・鳥取県生まれ。168cm・51kg、A型。箕蚊屋中→米子松蔭高(共に鳥取)。箱根駅伝は1年時1区18位、2年時8区14位、3年時3区20位。自己ベストは5000m14分03秒05(大1)、10000m29分00秒14(大3)、ハーフ1時間03分05秒(大4)。

文/牧野 豊 写真/椛本結城、小河原友信

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