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2024-02-07

オカダ・カズチカ新日本入団は獣神サンダー・ライガーの引き抜き!?…もうひとつのレインメーカー・ショック(1)【週刊プロレス】

獣神サンダー・ライガーに河津落としを決めた岡田かずちか

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翌日の大会ではジョシュ・プロディビジョンの持つUWAカナディアン王座に挑戦したものの、初戴冠とはならなかった。

試合では脳天唐竹割りや河津落とし、ランニング・ネックブリーカードロップといった“ジャイアント馬場殺法”を繰り出していたが、それよりも目を見張ったのは長身から繰り出されるジャーマン・スープレックス。それも投げ捨てでなく、“プロレスの芸術品”にふさわしい人間橋を描いて決めた。

この試合でライガーのパートナーを務めたのは、当時ライガーや邪道、外道が中心となったジュニアヘビー級のヒールユニット、CTU(コントロール・テロ・ユニット)の海外部隊のメンバーだったPUMA。正体はオリジナルLA道場で育ったTJPだ。それまでもメキシコに遠征してきた田口隆佑などとの対戦は経験していたものの、この試合で初めて新日本の本流に放り込まれたといえよう。

TJPは17年前のオカダとの対戦を振り返って、「振り返ると不思議だね。それ以降もオカダのことはずっと見てきたけど、見るたびに素晴らしくなっていった。あの時の印象は、身長は高かったけど体も細いし、ウルティモ・ドラゴンのスチューデントだったから、ルチャ・リブレの動きをするんだろうなとしか思っていなった。自分にすればライガーさんと組んでの試合だったし、相手にはウルティモ・ドラゴンがいたから試合前は緊張したよ。でも、そんなレジェンドに囲まれてもリング上のオカダから緊張するそぶりは見えなかったし、実に落ち着いていた。闘ってみたらキャリア不足は感じたけど、しっかりしたレスリングをするなという印象。試合を終えて、そのうち彼はシンニホンに行くんだろうなって思ったよ」と語る。

その予感通り、オカダは新日本に再入門するわけだが、それか「近いうちに」ではなく、この一戦からわずか2か月後だった。

実は、ウルティモは入門してきたオカダを見て、「闘龍門の枠にはめるのはもったいない。日本のトップに立てる存在」と見抜いていて、手元において英才教育を施した。ビッグマッチではタッグマッチながら鈴木みのるや高山善廣、TAJIRI、タイガーマスク(4代目)、モーターシティ・マシンガンズ(クリス・セイビン&アレックス・シェリー)といった大物にぶつけていった。
 
ウルティモ校長からすれば、オカダの新日本移籍は既成路線だった。ただ、そのきっかけをどのように演出するか。結果的にライガーとのタッグ対決でその舞台となったわけだが、カナダ在住のプロレスファンがプロモートした大会がレインメーカーへの扉を開いたことは、振り返れば衝撃の事実である。(つづく)

<プロフィル>
オカダ・カズチカ 本名・岡田和睦。1987年11月8日生まれ、愛知県安城市出身。中学卒業後に渡墨して闘龍門に13期成として入門。2004年8月29日、アレナ・コリセオでネグロ・ナバーロ相手にデビュー。2007年7月、新日本プロレスに再入門。ヤングライオン時代を経て2010年2月に海外遠征に旅立つ。“レインメーカー”に変身して2012年1・4東京ドームに凱旋。勝利を収めると、IWGPヘビー級王座への挑戦を表明。同年2・12大阪で棚橋弘至を破り、初挑戦で新日本の至宝を獲得。同年の「G1クライマックス」でも初出場初優勝を飾る。その後、エースとして2010年代の新日本を支える。2024年1月末日を持って新日本を退団した。

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