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2024-02-10

【アイスホッケー】オリンピック3次予選・第2戦 日本はスペインに逆転で2勝目、全勝で最終のハンガリー戦へ!

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5人抜きで逆転の3点目を挙げたDF山田虎太朗(レッドイーグルス北海道)。得点後のポーズも決まっていた(ⒸJIHF-PHOTO,Nagayama)

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未知だったスペインに、5分で2失点

アイスホッケーのミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪(本大会は2026年)の男子3次予選は2月9日、ハンガリー・ブダペストで2回戦が行われ、男子ランク25位の日本は、スペイン(32位)に6対3(0-2、3-0、3-1)で勝って2戦2勝となり、ともに予選で2戦全勝のハンガリーと10日の最終戦(日本時間で2月11日午前4時~)で対戦することになった。

 日本代表とスペインが公式戦で戦ったのは、過去に1回のみ。1982年の世界選手権Cプール(スペイン・ハカ)で、11-2というファイナルスコアが残っている。星野好男(CF・国土計画)、本間貞樹(FW・王子製紙)、三澤実(GK・西武鉄道)の年代で40年以上前のことだから、参考にはならないだろう。

スペインは昨年12月に行われたオリンピック2次予選で、タイ、ジョージア、そしてオランダ(ランク29位)を4-3で破っている。ランキングは日本が上だとはいえ、心してかからないといけない相手だといえる。

 この日の日本のスターターGKは、佐藤永基(東洋大学4年)。白樺学園高の1年生から日本代表の遠征に呼ばれており、世界選手権、五輪予選を含めて、マスクをかぶるのはこれが初めてだ。

だが、試合開始から1分、スペインに先制点を許してしまった。日本のゴール前で、スペインが長いリストを生かして日本のDFを交わした、技ありのゴール。初戦のリトアニア戦から、これで日本は2戦続けて「最初の相手のドライブ」で先制された。

佐藤永には動揺もあったのか、5分にも2失点目。スペインは1戦目のハンガリー戦では3-7で敗れており、この試合にかける思いは相当のものがあった。

白樺学園OBの悪夢はさらに続いた。日本がパワープレーの18分、レフトのDに入っていたFW平野裕志朗(アメリカ・ユティカ、アディロンダック)に、スペインのFWが激しくボディコンタクト。平野が倒れ込み、スペイン2人目のペナルティかと思いきや、スペインのFWは頭から流血し、なんと平野がメジャーペナルティに。しかも平野は頭へのイリーガルチェックと判定され、残り時間退場となった。

反撃の狼煙を上げたのは、FW中島彰吾(右から2人目、レッドイーグルス北海道)。スペインの選手が、縦に並んでGKの視界を遮っているのを見て、とっさにスティックを振り抜いた(ⒸJIHF-PHOTO,Nagayama)
反撃の狼煙を上げたのは、FW中島彰吾(右から2人目、レッドイーグルス北海道)。スペインの選手が、縦に並んでGKの視界を遮っているのを見て、とっさにスティックを振り抜いた(ⒸJIHF-PHOTO,Nagayama)

2ピリで調整し、2試合続けての逆転

 だが、ここで必要以上に長い抗議をせず、リズムを崩さなかったことが日本にとってはよかった。ゴーリーを2ピリの最初から成澤優太(レッドイーグルス北海道)にチェンジしたことも、ベンチの「グッド・ディシジョン」といえる。1ピリから代えてもよかったが、佐藤永にとっては「1ピリを最後まで守った」ことで最低限のプライドは守られたし、成澤には「2ピリの最初から行く」ことで、気持ちの準備ができたからだ。

反撃の第2ピリオド。28分、DF米山幸希(釧路ワイルズ)からブルーライン正面でパスを受けたキャプテンのFW中島彰吾(レッドイーグルス北海道)が、5人のスクリーン(日本1人、スペインは4人!)を生かしてロングシュート。これで日本が1点を返すと、33分、白樺学園高で平野の前の主将を務めたFW人里茂樹(ポーランド・カトヴィツェ)が、相手ゴール前でDF、GKを翻弄して同点ゴールを決めた。1ピリの18分で姿が消えた「第1セットの相棒」のぶんも、この試合は負けられない。そんな思いが垣間見えた。

ルースパックの寄せもだんだんと早くなってきた37分、ついに日本がリードする。五輪予選は4回目となるDF山田虎太朗(レッドイーグルス北海道)が、ジャンプアップしてスペインの5人を抜いてシュート、リバウンドも自らたたいてファインゴール! メッシの5人抜きを彷彿させる山田のゴールに気をよくした日本は、3ピリの45分、FW佐藤航平(イギリス・ベルファスト)がゴール前でノー・プレッシャーでたたいて4点目。46分に1点返されたものの、54分には山田が5点目を決め、結局6対3で勝利を決めた。

試合のMVPは2ゴールの山田。今季のアジアリーグでは、2月半ば時点で無得点だが、もともと駒大苫小牧高、早稲田大では印象に残る場面で得点が多かった。山田は「残るはハンガリー戦。(地元開催で)完全アウエーになりますが、大事な一戦なのでチーム1つになって頑張りたい」。リトアニア戦では6点すべてがFWの手によるものだったが、この日は6点のうちDFが3点(山田が2得点、石田陸=東北フリーブレイズ=が1点)。チームが1つの塊になっていることを証明するものといえる。

リトアニアとスペインは、60分の中でも後半に足が落ちてきていたが、ハンガリーはこの両チームとは違う。日本はゲームの立ち上がりから、フルスロットルで動けるか。全勝同士の対決を楽しみに、今夜は早寝することにしよう。

チームの1つ目のDFに定着している山田。なぜこの選手が日本代表の中心なのか、それが分かりやすく証明された試合だったといえる(ⒸJIHF-PHOTO,Nagayama)
チームの1つ目のDFに定着している山田。なぜこの選手が日本代表の中心なのか、それが分かりやすく証明された試合だったといえる(ⒸJIHF-PHOTO,Nagayama)

5人抜きを演じた上に、シュートリバウンドを自らゴールに落とし込んだ山田(ⒸJIHF-PHOTO,Nagayama)
5人抜きを演じた上に、シュートリバウンドを自らゴールに落とし込んだ山田(ⒸJIHF-PHOTO,Nagayama)

リトアニア戦で2ゴール、この日も1ゴールを決めたFW佐藤航平(イギリス・ベルファスト)。観客席では父・雅広さんも応援している(ⒸJIHF-PHOTO,Nagayama)
リトアニア戦で2ゴール、この日も1ゴールを決めたFW佐藤航平(イギリス・ベルファスト)。観客席では父・雅広さんも応援している(ⒸJIHF-PHOTO,Nagayama)

中島彰へのパスで、先制点をアシストしたDF米山幸希(釧路ワイルズ)(ⒸJIHF-PHOTO,Nagayama)
中島彰へのパスで、先制点をアシストしたDF米山幸希(釧路ワイルズ)(ⒸJIHF-PHOTO,Nagayama)

シューターへのラストパスで2点目をアシストしたFW入倉大雅(レッドイーグルス北海道)(ⒸJIHF-PHOTO,Nagayama)
シューターへのラストパスで2点目をアシストしたFW入倉大雅(レッドイーグルス北海道)(ⒸJIHF-PHOTO,Nagayama)

米山と並んでDF最年少(23歳)の石田陸(東北フリーブレイズ)。この日は6点目を記録した(ⒸJIHF-PHOTO,Nagayama)
米山と並んでDF最年少(23歳)の石田陸(東北フリーブレイズ)。この日は6点目を記録した(ⒸJIHF-PHOTO,Nagayama)

1ピリは0-2。ハンガリー戦は過去2試合の反省を生かしたい(ⒸJIHF-PHOTO,Nagayama)
1ピリは0-2。ハンガリー戦は過去2試合の反省を生かしたい(ⒸJIHF-PHOTO,Nagayama)


試合終了後、キャプテン中島彰と佐藤航がタッチ。ハンガリー戦後は、喜びの抱擁を見せられるだろうか(ⒸJIHF-PHOTO,Nagayama)
試合終了後、キャプテン中島彰と佐藤航がタッチ。ハンガリー戦後は、喜びの抱擁を見せられるだろうか(ⒸJIHF-PHOTO,Nagayama)

山口真一

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