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2024-01-25

【アイスホッケー】橋本 僚(レッドイーグルス北海道)ロングインタビュー後編「僕自身、キャリアの終盤に差し掛かっている。新しいこと、今まで気付かなかったことを探して日々、やっています」

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左が橋本。バングカラーを決めている36歳、FW久慈修平(右)にも話を聞いてみたい

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今シーズンのアジアリーグは昨年度優勝のHLアニャンが、上位2チームに与えられるプレーオフスポットに向けて順調に勝ち星を伸ばしている。現在2位のレッドイーグルス北海道は、序盤こそ独走していたものの、11月後半から1月にかけて調子を落としているようも見える。2021-2022、そして2022-2023シーズンにレッドイーグルスのキャプテンを務めたDF橋本僚選手に、今のチーム状況、そして今後の選手生活について聞いてみた。今回は後編をお届けする。

開幕戦で昨年優勝のアニャンに2連勝。
思えば「悪い勘違い」もあったのかも


――2023-2024シーズンは、いきなりアニャンとの開幕戦でした。1戦目は終盤55分に決勝点を挙げて2-1で1勝目を挙げて、2戦目は4-0と完封勝ち。「今季はレッドイーグルスがリーグの中心になる」と思った人も多かったと思います。

橋本 みんなが良い準備をしたということは言えると思います。ただ、ウチはチームの始動が早いんですよ。1カ月ぐらい、他のチームよりも早いんですね。今から考えると、たぶんその差だったのかなと思います。シーズンが深まるにつれて、他チームとの差が詰まってくる。たぶん、それだけの話だったんじゃないかな、と。シーズン序盤、ウチは体のデキも違うし、氷に乗るのも早かった。だから9月の開幕戦は「いい勘違い」と「悪い勘違い」があったと思うんです。「アニャンを相手に、こんなホッケーができるじゃん」という見方もあったかと思うんですが、「いや、1カ月もピークが早いんだから当然でしょ」という冷静な見方ができていたかどうか。1月のバックス戦で、土曜日の試合でビッグ・ウィンがあって、日曜日は波に乗れないで完封負けした。1月も下旬に差し掛かって、本当にチームが勝負どころにいるなと感じています。

――11月25日、26日のアニャン戦に連敗して、12月3日の新横浜のグリッツ戦で初黒星を喫して、12月9日の全日本選手権では準決勝で姿を消して…。レッドイーグルスはどうしてしまったのだろうというファンもいたと思います。

橋本 シーズン序盤は「うまく行き過ぎた」という面もあったのかなと思います。前半はとにかく勝ち進んで、実際、調子もいいんです。でも、そのうち、だんだんと他のチームが調子を上げてくる。ホッケーの質も、相手チームがだんだんと上がってくるんです。前半に勝ちが先行してしまうと、どうしても見えなくなってしまうものがあるのかな、と。

――全日本選手権は2018年の優勝が最後で、以降はバックス、クレインズ、フリーブレイズとライバルチームが優勝しています。2019年以降、レッドイーグルス(王子イーグルス時代を含めて)は決勝に1度も進出していないというのは意外です。

橋本 全日本選手権で、ウチの得点源であるPPの成功率が下がっていることもあるかもしれませんね。今季、アジアリーグでは、PPは開幕から50パーセントを超える確率があったのですが、今は(1月25日現在)36パーセント。やっぱり11月の下旬あたりからPPが入らなくなってきたんです。PPで入るのは確かにいいことなんですが、5人対5人の場面でも、なんとかこじ開けて点を取らなければいけない。そういう試行錯誤も、チームの成長に必要なことなのかなと思います。

――2021年の全日本選手権は長野で行われましたが、「普段通りに戦っていく」と当時主将の橋本選手は言っていたんです。差し出がましいのですが、相手チームとすればレッドイーグルス相手に「互角で勝負」という考えは持っていないと思うんですね。10回やれば、たとえば7回、レッドイーグルスに勝ち目があるかもしれない。一発勝負で、どうやって勝ちに持っていくかという相手チームに対して、「普段通りに」だと受けに回ってしまうのではありませんか。

橋本 その前の全日本選手権(2020年、八戸)で、ウチはフリーブレイズに準決勝で敗れていたんです(結果は2-3)。その試合は、気負って、気負って、みんながたぎって「やったるぞ」という雰囲気だったのを覚えているんですよ。それから1年経って、相手も同じフリーブレイズ。みんな全日本選手権に背負い過ぎた部分もあったのかなって。それで「普段通りに」という言葉を使ったんです(2021年の結果は3-5)。今年(度)に関しても、全日本選手権を前に現キャプテンの中島(彰吾・FW)に言ったのは、「勝ちたいということも大事だけど、その前にやるべきことをしっかりやっていこうよ」ということでした。今回も全日本の負けはターニングポイントになる出来事だったので、負けた後に選手同士で、まずはキャプテンの中島がしゃべって、そしてアシスタント・キャプテンの山田(虎太朗・DF)、入倉(大雅・FW)、そしてミッツさん(井上光明・GK)にも話してもらったんです。

――今、中島キャプテンとチームについて話すこともあるのですか。

橋本 はい。僕がキャプテンをやっている時に中島がアシスタントだったこともあって、「こうするのもいいんじゃないかな」という話はしています。ただ、僕があまり出しゃばるのもどうなのかな…と思っていますので、そこは気をつけていますね。

 橋本 僚(レッドイーグルス北海道)
橋本 僚(レッドイーグルス北海道)

聖二はホッケーがダントツにうまい。
「得点王」になって目立ってほしい

――昨年10月に31歳を迎えましたが、新たな目標をどの辺においていますか。

橋本 間違いなく、キャリアの終盤に差し掛かっていると思うんです。その中で、新しいこと、今まで気付かなかったことを探して日々、やっています。ここ4年、佐々木一正選手と一緒にいいペアを築けてきたと思うんですけど、全日本を終えた時点で、ハリデー(慈英)が新しいバディになった。佐々木選手とは、もうすべてを預けられる唯一無二の存在だったんですが、バディが代わるというのは、たとえばパスひとつとっても強弱が変わるんですよ。FWはけっこうラインが変わったりもするんですけど、DFはバディとの関係が何よりも大事なんです。ハリデーとはイチから始めるので難しいことは難しいんですが、またそこで新しい発見もある。それはそれで楽しいですから。

――現役を続ける傍ら、大学で勉強を続けて教職課程を取得されました。今後のキャリアはどんなふうに考えているのですか。

橋本 現役を終えたら、教員になる覚悟をもって今は過ごしています。でも、その前にホッケー選手をやり切った、そう言い切れるまでやるつもりです。今、息子が2歳なんですけど、まだアイスホッケーのことはわかんないと思うので、大きくなって、理解できるようになるまではやりたいなあと。

――「35歳まで」とか「40歳まで」とか、区切って考えているのでしょうか。

橋本 特に考えていないですね。とにかく、自分から現役生活を手放すよりかは、自分なりにやり切って、それから次の世代にバトンタッチしたいという感じです。

――2021年から「レッドイーグルス北海道」というクラブチームとして生まれ変わって、若いファン、特に女性の方が増えています。中でも実業団時代から見て「変わった」と思えるのは、昨年のプレーオフファイナルでアニャンに行く時、そして苫小牧に帰ってきた時にも、ファンの出迎えはこれまでにないものがありました。

橋本 練習を見に来てくださるファンの方がすごく増えましたよね。苫小牧で見送りをしてくれたのも本当にありがたかったし、中には空港まで来てくれるファンの方もいたんです。ここまでしてくれると、僕らにとっても大きなエネルギーになりますよ。ワシスタントのためにも勝ちたいし、いい相乗効果を生んでいるんじゃないかなと思います。

――1月25日現在、リーグのランキングでは橋本選手は1位タイでアシスト王、そして橋本選手と同じ2011年入社の高橋聖二選手(FW)が得点王とポイント王です。同期でもある高橋選手は、橋本選手にとってどんな存在なのでしょう。

橋本 聖二はやっぱり、ホッケーがダントツにうまいんです。PPで一緒に出る機会も多いですし、一番、頼れる存在ですね。得点王になるチャンスもおそらく何年もあったと思いますが、今、ゴールで聖二が一番上にランキングされていることが僕もうれしい。やっぱり一番、得点をとってほしい人でもあるし、「聖二には目立ってほしいな」と思っていますね。

――さて、2030年あるいは2034年の「札幌五輪」招致というのがありましたが、それがなくなってしまいました。札幌の北海高校で青春時代を過ごした橋本選手としては、思うところもあると思うのですが。

橋本 正直、僕もワンチャンあるのかなという期待感はありました。本当にショックのほうが大きいというか…。こんな近くで開かれるオリンピックが「なし」になった。残念だな、というのはありますね。

――振り返れば橋本選手は、高校は別の地域に行く選択肢もあったと思うんです。高校時代、札幌に残ったのは、なぜなんでしょう。

橋本 いや、そこまで深い理由はないといいますか…純粋に北海高校に行きたいなと思って進路を選んだという、ただそれだけのことです。他の学校の特待生でという話も、あったのか、なかったのか、昔の話なので覚えていませんが、ただ、どこへ行っても「行った先がゴールではない」ということは思っていました。僕は子どものころから「王子に入りたい」ことが目標だった。北海に入ったことで、王子と道がつながっていたんです。だから今でも、「北海高校に進んでよかったな」と思っているんですよ。

(プロフィル)橋本 僚
1992年10月23日生まれ。北海道岩内町出身。泊ブルーマリーンシャークスから札幌フェニックス、北海高校を経て2011年、王子イーグルスに入団。クラブチーム「レッドイーグルス北海道」となった2021年から2シーズン、キャプテンに就任、2021-2022年にジャパンカップの連覇を果たす。2022-2023シーズン、3年ぶりに行われたアジアリーグでは、2大会連続のベスト6(ジャパンカップと合わせると4年連続ベスト6)に輝くなど、DFとして堅守を見せる一方、前線への効果的なパス、時にはジャンプを見せるなどチームの攻撃力アップに貢献している。2023-2024シーズン、アジアリーグのアシストランキングで、1月22日現在、「28」で首位をキープ。現在は「岩内町観光大使」および「泊村スポーツ大使」を務める。178センチ・75キロ。背番号は北海高校時代から「34」。

山口真一

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