ついにジェイク・リーvs藤田和之の決戦当日を迎えた。日本プロレス界が誇るスーパーヘビー級トップ選手同士の初シングルだ。ジェイクは192cm、110kg。2011年8月に全日本プロレスでデビューし、三冠ヘビー級王座、世界タッグ王座、アジアタッグ王座など主要タイトルを奪取。昨年からNOAHに戦場を移すと、3月に清宮海斗を破ってGHCヘビー級王座初戴冠(第42代)。中嶋勝彦、丸藤正道、杉浦貴、潮崎豪とNOAHの歴史を築いてきた選手たちを相手に防衛戦ロードを歩んだ。
昨年10月に拳王に敗れてGHCヘビー級王座から陥落。しかし、今年に入ってから再浮上を見せ、3・31東京・後楽園ホール大会ではイホ・デ・ドクトル・ワグナーJrの同王座に挑戦が決定している。
一方の藤田は182㎝、115㎏。1996年11月に新日本プロレスでデビューし、2000年に退団すると総合格闘技に進出。レスリング全日本チャンピオンの実力を武器にPRIDE、RIZIN、ROAD FCなどで日本人ヘビー級のエースとして活躍。プロレスでも新日本プロレスのIWGPヘビー級王座(3度)、IGFチャンピオンシップなどを戴冠。2022年2月に中嶋勝彦を破って、GHCヘビー級王座初戴冠(第37代)を果たすとNOAHに電撃入団した。
両者は今年2・4仙台サンプラザホール大会の6人タッグマッチで初対戦。互いに意識し合って、壮絶な攻防を展開すると一気にシングルが決定。2・23後楽園ホール大会の前哨戦でも火花を散らしている。
この一戦後に藤田は「リーさんがNOAHにきてベルト持ったよね。NOAH潤った? お客さん入りましたか?」と問題提起。さらにジェイクの率いるグッド・ルッキング・ガイズを引き合いに出し「闘いもルッキングか? 全部ルッキングじゃねえか。ちゃんと怒れよ。怒んなきゃオレに届かねえんだよ」と苦言を呈す。
これに対してジェイクは「責任転嫁するヤツらばっかりだな。カネを生み出してやる。藤田、テメーとの試合ではな。ボコボコにしてやるよ」と反撃。2・28新宿FACE大会では左肩にテーピングをしていたが「気休めみたいなファッションみたいなものですよ。問題ない」と語り、藤田戦に向けて「損はさせない。クオリティは保証する。チケット代以上のものを提供してやる」と意気込んだ。
決戦前日の3月1日、NOAHは公式YouTubeに藤田のインタビュー動画を配信。ハイボールを飲みながら“野獣”が語ったその内容がまた衝撃的だった。以下はその抜粋。
「結局はみんなが見たい!と思う試合をしないといけない。(アントニオ)猪木さんはよく言ってたんだけど、街で喧嘩が起こるだろ。街の喧嘩が起こったら、みんな群がってくる。その見に来た野次馬から金を取るのがプロレス。オレはそう教わった。アン・ドゥー・トロワじゃないけど、みんなで息を合わせて予定調和。それでお客さんが集まるかって話をしてる。ジェイクがチャンピオンになって、NOAHが潤ったのか? 潤ってないでしょ?」
「リーさんは気を遣いすぎ、思いっきりやればいいじゃん。鍛えてるところに思いっきりやるのがオレが習ってきたことだから。もっともっと来いって。ちゃんとやんなきゃ。プロレスの考え方が違うんだろうね。ルーツが違うのかな。(ジェイクは)全日本系でしょ? 結局、(ジャイアント)馬場さんなのか、猪木さんなのか。NOAHは馬場さん系だと思う。そこに異質のオレがいるわけだし。プロレスの面白いところだよね。ドッタン、バッタンでやるのがプロレスなのか、気持ちを出すのがプロレスなのか。それが完全に違うじゃない。そこをどうにかしたいなと思ってる」
「53歳でベルト、いいね。闘魂は燃えてますか? 燃えてますよ。猪木さんがいつも言ってたけど、挑戦する気持ちがあれば誰でも闘魂になれる」
藤田の師匠は猪木。闘魂を背負う者として、全日本プロレスで生まれ育ったジェイクの“王道”プロレスに対して相いれないものがあるようだ。日本プロレス界屈指のスーパーヘビー級同士の初シングルとして注目されていた一戦は、アントニオ猪木の“闘魂”とジャイアント馬場の“王道”によるイデオロギー闘争という側面も浮かび上がってきた。
ジェイクvs藤田、決戦の舞台はNOAH愛知・名古屋国際会議場イベントホール。試合開始は午後3時。大会の模様はインターネットTV「ABEMA」にて無料生中継される。
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