8月25日に開幕した世界柔道選手権も前半戦が終了。日本人選手の活躍はもちろんですが、来年のオリンピックに向けて海外選手の活躍も気になるところ。そこで編集部でちょっと引き付けられた気にる海外選手を紹介します。
※写真上=世界選手権も前半戦が終了。後半戦はどんなドラマがあるのか…。
写真◎近代柔道
8月25日に東京・日本武道館で開幕した世界柔道選手権は大会3日目まで男女各3階級が終了。連日熱戦が繰り広げられ、個性豊かな外国人勢が大会をおおいに盛り上げています。
そんなことやる? そんなことできちゃう? というびっくり柔道から、伝統的な日本スタイル継承派までタイプはいろいろ。世界選手権は五輪よりも出場資格がゆるいうえ、2階級まで2選手が出場できます。各国、来年の東京五輪の代表争いも当然関わっていますから、バチバチのバトル状態もあったりして、それを想像しながら見るのも楽しいんです。
しかし、選手は来年の東京五輪に向けて、試合の中でいろいろと試しています。それが何かというのは、究極のところは五輪でこたえを見つけるしかありませんが、逆に言うと、来年にかけ、選手の成長を見守り、変化を見つけるのがこれまた楽しい。
え〜、1年間も待てない、マニアックすぎるぅ、という向きもあるかもしれませんが、何かと気ぜわしい現代において、1年間をかけて取り組む謎解きゲームと思えばむしろ贅沢。正解なんてなく、自分だけの選手の魅力ポイントを見つければいいから、こんなに愉しいことはありません(しかも、その選手が五輪に出てくるかもわからないし!)。
というわけで、五輪前年の世界選手権は、いろいろな観戦ポイントがあるからとくに面白いんですよね。
では、ここからは大会3日目までに印象に残った外国人3選手をご紹介したいと思います。
大会初日に目を引いたのは、60kg級で7位に入賞したヤン・ユーウェイ (チャイニーズタイペイ)。
初戦で、A・マッケンジー(英国)に一本背負い投げ「技あり」で勝利したのが最初のインパクト。背筋をぴんと伸ばし、釣り手と引き手をしっかり持って投げを打つ柔道は日本スタイルにも通じ、基本がしっかり身についているという印象で、この選手、技が切れるかも、しかも勢いがある、と思って見ていたら、次の2回戦でやってくれました。
第1シードのR・シュビドバゼ(ロシア)を相手に延長戦に持ち込み、「指導3」を奪って撃破する大番狂わせ。これはすごい。シュビドバゼは今年に入ってIJFツアー大会での優勝がなく、ちょっと元気がないかな? と思って見ていましたが、まさかここで姿を消すとは ヤン、大金星です。
ヤンはその後、フランス人選手を破り準々決勝へ進みましたが、優勝したL・チフビミアニ(ジョージア)に敗退。これで力尽きてしまったのでしょうか、敗者復活戦でも負けて7位となりました。3位決定戦に進めなかったのは残念ですが、一戦こなすたびにエネルギーが満ちていくような伸び盛り感満載の柔道は大きな存在感を放っていました。調べてみると、これまでの国際柔道連盟(IJF)主催のツアー大会の最高成績は3位。7月のグランプリ・ブダペストでも3位に入っていました。まだ21歳。どんな選手に成長していくでしょうか? とても楽しみです。
文◎佐藤温夏(スポーツライター)
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