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2025-01-23

【相撲編集部が選ぶ初場所12日目の一番】金峰山と王鵬が敗れて1差に5人。優勝争いは全く先の見えない展開に

この日の金峰山は、一昨日の姿に戻ったかのように、上体に力が入って立ち合い直後にバッタリ。残り3日間は気持ち次第で、優勝争いはなお混とんとした状況だ

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豊昇龍(叩き込み)金峰山

2日前に逆戻りだ。
 
この日は“モロい金峰山”のほうが出た。
 
きのうは大の里を圧倒した金峰山だが、そんな“強い金峰山”はどこへやら。豊昇龍を相手に、一昨日の阿炎戦と同様、立ち合い直後の叩きにバッタリ手をついて、2敗目を喫した。
 
立ち合いが注目されたこの一番。豊昇龍はまずしっかり当たっていった。金峰山は当然突っ張り狙い。しかしこの日の金峰山は、きのうの金峰山ではなく、再び上体だけでいって下半身が遅れる一昨日の姿に戻ってしまっていた。
 
豊昇龍はおそらく、まず当たって、そのあとは右から崩す、という作戦を描いていたのであろう。立ち合いの突きを受けながらも、突いてきた左手を手繰ると、右からの突き落とし。足がついてこない金峰山を、そのまま叩き込んだ。

「足が出なくて、待ちすぎた。チョンづきで来るかなと。それを待ちすぎた。(腕を)引っ張られて、バランスを崩して落ちちゃった。硬くなりすぎ。考えすぎた」と金峰山。まだなかなか優勝争いの中で毎日フラットな精神状態を保つのは難しいようで、照る日曇る日、どちらが出るか、という状況のようだ。
 
この日は、王鵬と霧島の対戦で霧島がうまく取って送り投げの勝利。きのうまでの3敗組は千代翔馬のみが敗れて一歩後退し、2敗に金峰山、3敗で豊昇龍、霧島、王鵬、尊富士が追う形となった。
 
金峰山は敗れたが単独トップは変わらず、星1つアドバンテージがあるが、ただこの3日間の相撲を見てみると、この先も日によって“強い金峰山”が出るのか、“モロい金峰山”が出るのかは全く分からず、星がどうなるかは全く読めない。3敗力士の逆転の望みも、それなりにある気もする。
 
この後の対戦相手を含めて今後を予想してみると(13日目は確定)、金峰山はあすが琴櫻、そのあとは霧島、王鵬、尊富士の中から星のいい人と組まれるだろう。勝敗は本人のメンタル次第か。
 
豊昇龍はあすが大の里、そのあとは、普通なら若元春だが、割を崩して尊富士と組まれる可能性もあるか。千秋楽は琴櫻。大の里戦を残しているので、現時点では有利とはいえないが、キャリアと実績ではナンバーワンだけに、大の里に勝てば、一気に有力候補に浮上してくる。
 
霧島は、あすが髙安、あと金峰山と組まれる可能性は高いだろう。残りは尊富士あるいは豪ノ山あたり。序盤3連敗から9連勝と盛り返してきており、このところの相撲内容では最もいい。金峰山戦が残っているところはここにきては自力逆転の可能性を残すという意味でむしろアドバンテージなので、現時点では候補の一番手かもしれない。
 
王鵬はあすが宇良、あとは金峰山と、千代翔馬か尊富士か。霧島同様、自力で金峰山を引きずり降ろすチャンスがある。宇良や千代翔馬はこの状況で当たるには嫌な相手だが、それでもほかの3敗以内の力士よりは、対戦相手には恵まれていると言えようか。
 
尊富士は、あすが阿炎、そのあとは豊昇龍、霧島、王鵬の中から2人と当たる可能性が高いので、やはり対戦相手は一番キツい。ただ、精神面を考えると、失うものは何もなく、かつ優勝経験もあってプレッシャーも経験済みであるところから、一番いい状態で戦えることも確かだ。
 
こうしてみると、星1つのアドバンテージの金峰山、実力の豊昇龍、好調さで霧島、対戦相手では王鵬、精神面では尊富士と、それぞれ推しポイントがあって、本当に横並びだ。強いて挙げれば霧島が一番手かな、という気もするが……。
 
あす13日目は3敗以内の力士の直接対決はなく、それぞれがしっかりサバイバルできるかどうか、という戦い。豊昇龍が大の里に勝って有力候補に飛び出てくるかどうかが大きな焦点だ。

文=藤本泰祐

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