
多くの五輪メダリストを育てた伝説的なランニングコーチ、アーサー・リディアード。彼のトレーニング理論をリディアード・ファウンデーションの橋爪伸也氏にひも解く。※『ランニングマガジン・クリール』2017年5月号から2018年4月号まで掲載された連載を再構成しました。
1970年代に行われたリサーチ調査で、長距離走のいわゆる「走り込み」の前と後に、瞬発力を比較したものがあります。その中に、特別な練習を何もしなくても、走り込みを「やめる」だけで垂直跳びの数値が上がった、というデータがあります。そしてそこから導かれた結論は、長くゆっくり走り込みをすると筋肉が萎縮し、パワーも衰える、というものでした。
長くゆっくり走ることは、有酸素能力を高める過程では、避けては通れない必要不可欠な要素です。しかし、それはあくまでも「土台を築く」という、ランニングの一要素でしかありません。レースで好結果を出したいのであれば、「レース仕様の練習」もする必要があるのです。実のところ、有酸素能力という土台の上で始まるものこそが、レースを目指した本格的な練習ともいえます。

リディアード・トレーニングは、図のようにピラミッドの土台から5つのブロックを積み上げていく
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