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2020-04-12

【System of Arthur Lydiard Vol.7】リディアード・トレーニング②無酸素練習への準備「ヒルトレ」

スティープ・ヒル・ランニングは、一歩一歩を力強く、ゆっくりと

 スティープ・ヒル・ランニングに適しているのは、100~400mの上り坂です。ここを短距離ドリルの「もも上げ走」をするイメージで、ゆっくりとした前進速度で駆け上がっていきます。

 一歩一歩を力強く、地面をグリップする感じで。福島大の川本和久先生が提唱するドリル「ポン・ピュン・ラン」をご存知であればイメージがわきやすいのですが、「ポン・ピュン・ラン」の動きを上り坂で行うと考えてもいいでしょう。

 スタートして最初は「こんなに簡単でいいの?」と思うかもしれません。なかなかどうして! スピードはゆっくりでも後半は「無酸素」状態をしっかりと体験できるはずです。

 その苦しい体験も、次のステップ(インターバル練習)の準備につながります。ただし、坂を速く走り過ぎると、無酸素状態になり過ぎてしまいます。これはあくまでもプライオメトリック練習、つまり筋肉の収縮速度を高めるという趣旨を念頭に置いて取り組むことが大切です。トレーニングでは、こうした順序も遵守すればこそ、次の段階へとスムーズに移行していけるのです。

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【スティーブ・ヒル・ランニング】

 もも上げの要領で、急な坂を一歩ずつ確実に駆け上がる。歩幅はシューズの長さ程度で十分、目線は足元ではなく正面に向けて背筋を常に伸ばす。

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【スティーブ・ヒル・ランニング】

 着地した脚の踵が平地でのランニング以上に下がり、アキレス腱が伸びる。この伸びたアキレス腱が自然に縮もうとする力によって、体が持ち上がる。この動きが、スピードを上げて走ることを可能にする。

 足首の柔軟性を高めるのが目的なので、ソールが柔軟で踵が薄めのシューズを使いたい。

距離や本数ではなく、20分から始めて45〜60分に

距離や本数ではなく、20分から始めて45〜60分に

 上り坂をスティープ・ヒル・ランニングで進み、下り坂は回復のためのジョグで戻る。よほどの熟達者でない限り、その繰り返しだけで十分に効果を得られるでしょう。

 最適なボリュームは、距離や本数ありきではなく、「時間」を基準として決めていきます。最初は足慣らしという感じで、20分程度で十分です。坂が短ければ4本、坂が長ければ2本が目安になるでしょう。

 そして脚の反応を見つつ、徐々に総時間を45~60分にまで伸ばしていきます。実施する期間は、週に何回走っているのか、また目標とするレースまでにどれだけの期間があるのかによっても異なってきます。

 第1ステップの有酸素トレーニングと、第3ステップの無酸素トレーニングとをつなぐという意味では、その中間にあたるヒル・トレーニングは最低でも4回は実施したいところです。週に1回やるのであれば4週間、週に2回行うのであれば2週間は最低でも必要になります。一般的には、週に2回で4週間行うのがベストです。


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