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2020-04-12

【System of Arthur Lydiard Vol.7】リディアード・トレーニング②無酸素練習への準備「ヒルトレ」

ヒルトレーニングはプライオメトリック練習

 有酸素トレーニングで基礎作りがしっかりできた人は、レース仕様の練習がより多くできる下地ができているはずです。ただし、ゆっくり走ることに慣れてしまっている体で、突然に速く走ろうと頑張ってしまうと故障の原因となります。

 そこで、まずは2~6週間をかけて「脚筋力」と「脚可動範囲」を高めるために、プライオメトリック練習を行います。プライオメトリックとは、筋肉の伸張反射を利用して、筋収縮の速度を高めるトレーニングのことで、一般的なものに縄跳びがあります。ランニングにおいて最も有効なプライオメトリックは、ヒル・トレーニングです。このトレーニングは走り続ける中で行うものなので、有酸素的な能力を維持させることもできます。

 リディアードは、「スピード養成」という意味で、ヒル・トレーニングの3つのメニューを奨励しています(ランニングマガジン・クリール2017年1月号の特集で紹介)。中でも「ヒルバウンディング」は、リディアードの専売特許(?)ともいえる練習で見映えもよく、彼が好んで話していたメニューです。

【ヒルバウンディング】

 通常のバウンディングを上り坂で行う。着地した反動を利用しながら、大きく前へと跳び続ける。鹿が柵を飛び越えていくイメージで

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 ここでは、「走り込み」から「インターバル」への架け橋となるメニューとして、「スティープ・ヒル・ランニング」を中心にご紹介と解説をします。

 最初のステップとなる走り込みを終えた段階では、スタミナと有酸素能力はピークになっていますが、スピード面はほぼ手つかずの状態です。また、第3段階のインターバル練習(無酸素トレーニング)への導入として、スピードが出せる体にしていく必要があります。

 ここで多くの人が犯しがちな間違いは「さぁ、スピード!」と思って、上り坂を速く走って一気に駆け上がろうとしてしまうことです。まだ速く走れない段階なので、気張っても体がついてこなくてガッカリするだけでしょう。

 ですから、まずは「速く走るための準備」であることを認識・自覚することが大切です。そして具体的に求めていくものは、力強く地面を「プッシュ」する能力と、しっかりと膝を上げることになります。


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