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2025-03-16

【相撲編集部が選ぶ春場所7日目の一番】琴櫻がうまく攻めて執念の4勝目。カド番脱出へ初めて白星先行

しっかり翔猿をつかまえ、先手で攻めて寄り切り、琴櫻は今場所初めての白星先行。ここからしっかりとカド番脱出につなげたい

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琴櫻(寄り切り)翔猿

「ヌケヌケ」を、ついに抜けた。
 
カド番大関の琴櫻がうまく攻めて翔猿に快勝。4勝目を挙げ、今場所初めて白星を先行させた。
 
大関になって初めてのカド番で迎えた今場所、琴櫻は自分のペースで攻め切る相撲もあるが、いったん受けに回ると粘りなく攻め切られる相撲も目立ち、本調子には遠い状態。体のどこかに不調を抱えているのでは? とも思われる内容で、3勝3敗の五分で7日目を迎えた。
 
もしもどこかを痛めているとすれば、受けに回ったときの踏ん張りのなさや、足の構えから見て左足か……、と推測されるが、そんな中で迎えたのがこの日の翔猿戦。先場所も一瞬の引き技で逆転負けしているうるさい相手だ。
 
そういう条件を踏まえると、琴櫻にとってのこの日の取組に対するポイントは3つ考えられた。1受ける相撲を取らない2ドタバタ動く相撲にしない3左足を前に出した構えで流れを作る。これらが勝負のカギになると思われた。
 
そしてこの日の琴櫻は、そのとおりのうまい相撲を取った。まず立ち合いは右を固めながら先に踏み込み、胸から強く当たった。これでまず相手に圧力をかけ、1を実現。次いで左で相手の右腕をホールド、右の差し手も使ってしっかり胸を合わせ、2を実現させて、やがて右下手もつかんだ。ここまでは左足を前に構えての、自然な流れだ。ここから翔猿が左を巻き替えてきたが、そちら側の攻防はあまり相手にせず、抱えた左を軸に、左足を前にして出て、3の攻め。そのまま寄り切った。

「落ち着いて取れたと思います。廻しを引いていたので、辛抱していきました」と琴櫻。もちろん対翔猿という条件の中ではあるが、ポイントをしっかり実行しつつ、手順通りの攻めを見せられたこの日の相撲は、ある意味で“これでいけばいい流れでイケる”という手応えが感じられる一番になったのではないか。

「集中できているので、白星につなげていければいいと思います。(今後については)目の前に集中することだけです。慌てずに集中したい」と琴櫻。これで星勘定としては、残り4勝4敗の五分でもカド番脱出には届くことになった。できれば三役陣との対決が重なってくる終盤になる前に、少しでも白星を多く先行させて、精神的にもできるだけ追い込まれない形を作っておきたいところだろう。
 
ただ、あす8日目の相手は、過去3勝12敗と、関脇以下では最も苦手な相手と言ってもいい霧島。ここを切り抜けられれば、一気にカド番脱出への展望が開けてくるが……。なんとかこの試練を乗り越えていきたい。

文=藤本泰祐

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