close

2025-03-10

【相撲編集部が選ぶ春場所2日目の一番】豊昇龍が攻める姿勢で横綱初白星。2日目は横綱・大関陣安泰

豊昇龍はこの日は手ごたえ十分の内容で若隆景を退け、横綱初白星。ここから優勝争いを引っ張っていきたいところだ

全ての画像を見る
豊昇龍(寄り切り)若隆景

この日は、横綱の強さを見せた。
 
初日に敗れていた豊昇龍が、若隆景に一度も主導権を与えることなく寄り切って快勝、横綱初白星を挙げた。
 
きのうは立ち合い捕まえようと張り差しにいって墓穴を掘った新横綱だが、「きのうは“何を考えていたんだろう”と思った。きょうこそ自分の相撲を取ろうと思って。立ち合いにしっかり当たることを意識した」というこの日は、前への意識がしっかりと出た取り口を見せた。
 
立ち合いこそやや角度が高く、若隆景に低さ負けした感もあったが、右手で突いて、相手の潜り込みを許さず。そして、右手を伸ばして再度突きながら、左でサッと掬いにいく二の矢の攻めが速かった。ここで攻め勝ったことで、圧力で主導権を取ることに成功、若隆景が嫌がって右から引いたところを、左をのぞかせながら一気に前進。右も差し込んで、そのまま寄り切った。
 
初日は“まず捕まえて”の意識が先に立ちすぎて失敗したが、この日はまず当たって、一度圧力勝ちしてから、前に出ながら捕まえる、と、手順どおりの攻めでの白星。横綱自身としても、手ごたえの感じられる内容だったことだろう。

「いい流れだったか?」の質問に、「そうですね」と答え、「土俵入りからの流れにも慣れた?」の問いにも「普通です」と答えた新横綱。もちろん、本人が「そのプレッシャーを体で感じようと、土俵に上がっている」という、横綱のプレッシャー自体は、今場所は最後まで慣れることも消えることはないだろうが、それを別とすれば、相撲の動きはこれで“通常運転”に戻ってきそうな感じは強い。右ヒジを少し痛めているらしい(初日はサポーター、この日はテーピングを巻いていた)のは少し気にならなくもないが、今のところそこまでの影響は見えない。果たしてこの日の1勝を新横綱優勝へのスタートとすることができるか。
 
この日は、大の里が右だけでなく左からも厳しい攻めを見せて霧島を退け連勝、大関カド番の琴櫻も前に出る相撲で豪ノ山を破って初日を出し、横綱・大関陣は安泰。きのうは荒れ気味だった浪速の春の土俵は、少し落ち着いた。先場所、全く予想外の大負けだった琴櫻については、まだこの日の白星だけで安心していいものか……、というところも残るが、豊昇龍と大の里については、この後、優勝争いを引っ張って行ってくれそうな雰囲気は出てきたといっていい。序盤、大の里が一歩リードしたことが、この後の展開にどう影響してくるか。
 
そしてさらに、2日間を終えて見渡すと、ここまで元気な連勝組の中には、阿炎、若元春、髙安、尊富士、伯桜鵬と、過去に優勝経験、あるいは優勝争いをした経験のある、爆発力十分の実力者がわんさか。このあと、「荒れる春場所」になっていくにせよ、そうでないにせよ、優勝争いについては、役者の揃った面白いものになっていくことは、間違いがなさそうだ。

文=藤本泰祐

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事



RELATED関連する記事