close

2025-03-28

【連載 大相撲が大好きになる 話の玉手箱】第27回「誕生日」その3

平成28年4月7日、23歳の誕生日を迎えた逸ノ城

全ての画像を見る
誰でもあるもの、それが誕生日です。
キリストの誕生日は12月25日、クリスマスですね。
では、お釈迦さまの誕生日は? 4月8日です。
令和3年はコロナ禍で低調でしたが、いわゆる花まつりです。
力士たちにも、もちろん、誕生日があります。
でも、おめでとう、と祝福され、ただケーキを食べてうれしがっているのはまだ子どもです。
この日だけはさまざま思いを巡らし、新たな目標に向かって心を新たにする。
それが大人ってものです。
力士たちも誕生日にはいろいろなコメント、反応を残しています。
そんな勝負師ならではの誕生日コメントを集めてみました。
おもしろいですよ。
※月刊『相撲』平成31年4月号から連載中の「大相撲が大好きになる 話の玉手箱」を一部編集。毎週金曜日に公開します。

若いと夢も希望も

若いと誕生日に対する反応も違ってくる。いろいろと夢をかきたてるのだ。
 
平成28(2016)年4月7日は、巨漢で鳴らす逸ノ城の満23歳の誕生日だった。幕下15枚目格付け出しで初土俵を踏んでからわずか5場所目。新入幕でいきなり優勝争いに加わり、横綱鶴竜(現音羽山親方)を破って金星を挙げるなど、13勝して殊勲賞、敢闘賞をダブル受賞し、日本中に巨漢旋風、逸ノ城フィーバーを巻き起こしてからちょうど10場所後のことだ。
 
取材に応じた逸ノ城は、

「22歳は、いいことも、悪いこともあった。23歳は、いいことがもっといっぱいあるように。三役に戻り、さらにその上も目指したい」
 
と若々しい口調で答えている。
 
ただ、夢を実現するのは至難のワザだ。この年の逸ノ城も、若者に付き物の壁にぶつかり、苦悶の日を送っている。その一つが誕生日からおよそ半年後の秋場所、腰部椎間板ヘルニアで入門以来、初の休場、それも全休を経験したことだった。下半身がしびれてまっすぐ歩くこともできなかったため、25日間も入院。体重を212キロから200キロに落とし、さらに退院後も節制生活を送り、187キロまで減量した。
 
大きいことはいいことだ、といわれる大相撲界だが、逸ノ城の場合、敵はあり余る体重で、この自分との闘いは長く続いた。参考までに、令和3年夏場所の体重は200キロちょうどだった。

月刊『相撲』令和3年6月号掲載

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事



RELATED関連する記事