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2020-05-11

日本サッカー協会のコンディショニングコーチに学ぶ「いまトレ」~ルーティーンの重要性~

ルーティーンをつくってあげる

――選手にやらせる練習メニューについて、小粥コーチから何かアドバイスはありますか?

小粥 まず何よりも「メニュー以前」のことが大事になってくると思います。学生であれば、授業がなくなって外出もできなくなっていたら、次はどうなるでしょうか。もちろん個人差はあると思いますが、ゲームばかりしているような選手が増えるんじゃないでしょうか。

――容易に想像できます(笑)。

小粥 学校があれば、登校のために、あるいは朝練習のために午前7時に起きるといったルーティーンを促す要素があります。ところが、今はそれがなくなりました。遅くまで寝ても良いとなると、夜更かしするようになるかもしれません。生活が不規則になる選手も多いんじゃないでしょうか。

 ですから、指導者としてまずすべきは、選手に何かルーティーンを提示する、もしくは各自でつくることを促すことだと思います。

――例えば、朝9時にみんなでウェブ会議につながって練習をするといったことでしょうか?

小粥 一つのアイディアだと思います。ただ、自宅でのトレーニングについては家庭環境に左右されるところも大きいですから、指導者は柔軟に対応する必要があると思います。例えば、マンションに住んでいて大きな音を立てられない選手がいます。また、ネットワーク環境も家庭によって差があると思いますから、配慮が必要です。

――確かに、海外のスター選手の家のように広大なリビングがあるとは限りません。

小粥 ルーティーンのつくり方については、各チーム、各選手の事情に左右される部分があるかと思うので、ここで一概に言うことはできません。ただし……。

――何かはつくったほうが良いということですね。

小粥 そういうことです。

――朝9時にネット上であいさつし合うだけでも違うかもしれません。小粥コーチが先ほど話したように、メンタル的なコンディショニングという意味でも、規則正しい生活を送るという意味でも、良さそうです。

小粥 それもありだと思います。ネットワーク環境の違いについても、家に高速回線がなければ、LINEなどのメッセージアプリを通じてメニューを渡してあげるやり方でもいいでしょう。ネット上でも、さまざまな取り組みが紹介されてきています。方法はさまざまにあると思います。

回答者プロフィール

小粥智浩(おがい・ともひろ)/1974年1月5日生まれ、静岡県出身。現役時代は静岡県立浜松西高校と横浜国立大学でプレーした。横浜国立大学大学院修了。国立スポーツ科学センターでアスレティックトレーナーとして勤務(2002~06年)したあと、06年から流通経済大学で指導にあたる。15年からコンディショニングコーチとしてU-17やU-15などの年代別日本代表の活動に帯同している。NSCA_CSCSストレングス&コンディショニングスペシャリスト(99年)、JSPO公認アスレティックトレーナー(01年)、JFA B級コーチライセンス(20年)の資格を保持

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