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2020-05-01

全国大会出場チームの「正しい判断を伴ったドリブルの習得方法」

2019年度にJFA 全日本U-12サッカー選手権大会に初出場を果たした福島県のバンディッツいわきジュニア。ドリブルとパスを織り交ぜる状況判断の良さが光る好チームだった。チームを率いる馬目茂樹総監督の指導法について迫る。

出典:ジュニアサッカークリニック2020

取材・構成/小林健志 写真/小林健志

視野を広げて選択肢を確保し、相手をはがす

――ドリブル練習で意識させていることはありますか?

馬目 今日(取材時)のドリブル練習では、相手がいるのを見立てるためにマーカーの上にポールを立てました。マーカーだけだと足先だけでごまかせるのですが、ポールを立てておくと、ちゃんとかわさないとポールにぶつかってしまいます。リオネル・メッシはボディフェイントでかわすのが非常にうまいので、そういったイメージを持たせています。

 あとは視野を広げるためにいろいろなところを見させています。ポールを立てることによって顔が上がります。いろいろなところを見させるために、前向きだけではなく、横向きや後ろ向きのドリブルもさせています。ドリブルでは前だけではなく後ろにボールを引くこともありますし、さまざまなドリブルを意識させています。

――攻撃時だけではなく守備時のことも考えているのですね。

馬目 自分たちのディフェンスラインでボールを回していても、ブロックをつくられてしまうと相手を崩せません。ディフェンダーが相手をはがす状況をつくるためには、視野を広げてドリブルも織り交ぜることが必要です。そうすることによって、相手としては守りにくくなります。1人はがすことによって、攻撃で優位に立てる状況をつくりたいのです。今はゴールキーパーにもそうしたプレーが求められていると思います。

――運ぶドリブルとはがすドリブルのどちらも必要だと考えていますか?

馬目 そう考えています。状況によってはファーストコントロールで相手を外すことがありますし、視野を確保しながらパスを出す選択肢もある局面で相手をはがせると、相手のブロックが崩れる状況をつくれます。

――ほかに意識させていることはありますか?

馬目 一番こだわっているのはボールを止めるところです。そこがしっかりしないとドリブルに進めません。足元から1メートル以内にボールを止めるわけですが、足元に入れすぎてしまうと、ヘッドダウンして次のプレーにつなげられません。パスも出せてドリブルもできるところに常にボールを置かせたいのです。「止める、蹴る、運ぶ」のすべてが関わってきます。ボールを止められないとドリブルはできません。止めることとファーストコントロールにこだわりを持って指導しています。

 ドリブルに関しては、子供たちの自由な判断に任せています。シザース、ダブルタッチ、ルーレットなど、いろいろなフェイントをやらせるケースがありますが、そうした中で、視野を広げるだけで違ってきたり、ボールの止め方に気をつけるだけで違ってきたりすることを伝えていきたいのです。

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