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2025-08-21

ダンプ松本のフォークで前代未聞の流血デビュー。千葉発の21歳、彩月悠叶の武器は元気と勢い!【週刊プロレス】

ダンプ松本相手のデビュー戦で最大の恐怖を味わった彩月悠叶

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千葉県には2AWというプロレス団体がある。前身のK-DOJOから数えると今年でもう23年、千葉市中央区に道場兼試合会場を構えているが、千葉駅でタクシーに乗って「2AWスクエアまで」と言ってもいまだに通じないことがしばしば。それでも「ああ、あそこね」と返される機会は以前に比べて格段に増えた。地道な活動は確実に実を結んでいる。

2AWは地域密着を掲げて2019年6月に旗揚げ。試合だけでなく地域活動や地元イベントに積極的に力を注いできた。今年も猛暑のなか屋外リングで闘ったり、夏祭りに参加したりして地域の盛り上げに一役買っている。一方で、プロレス界的にはいつまでたっても極北に位置する。年2回の後楽園ホール大会にしても、満員の光景は見たことがない。

集客に関しては団体としてまだまだやり方を模索する必要があるし、課題は多い。ただ、これほど可能性に満ちた団体もないと思うのは、どこに出しても恥ずかしくない若い選手がちゃんと育っている。あとはいつプロレス的に発見されるか。

女子プロ界で引っ張りだこの笹村あやめは、長い間団体内でほぼ唯一の女子レスラーだった。男に負けたくない!と孤軍奮闘してきたが、今年3月、ついに初の生え抜き女子レスラーがデビュー。彩月悠叶(さつき・ゆうか)は大ヒールのダンプ松本を相手に、額にフォークを突き刺されて流血するという前代未聞のデビューを飾った。

初戦で地獄を味わって「もう何も怖くない」と本人は言うが、実際、2AWでは“強さの象徴”として誰もが恐れる真霜拳號と1対1で向かい合っても恐怖心はなかった。ダンプによって植えつけられた最初の「恐怖」が、現時点で彩月の最大のそれになっているからだ。

 「あのデビュー戦を乗り越えたおかげでどんな男子選手とやっても心が折れなくなったというか。あのときフォークで刺されたしなぁ…って思うと、ぜんぜん怖くなくなりました」

大阪府吹田市出身の彩月は、いつか実現するまで明かせないと言うが、ファン時代に好きになったレスラーと闘いたくて去年7月に入門。同期がいないため雑用から何からすべて一人でこなさねばならず、もちろんきつい練習もあって何度もやめようと思った。そんなときには、自転車で千葉みなとの海を見に行った。自然と神社が好きで、千葉神社にもよく行く。もうすっかり千葉になじんだ。

リングネームの“彩”は妹の名前からいただいて、「“月”は適当なんですけど(笑)」。吹田市の花がさつきで、妹と吹田市からもらった苗字になる。名前は「悠久の時の流れみたいに、ゆっくりでも時間がかかってもいいから願いが叶うようになればいいかなと思って」自分でつけた。

デビュー前に会社にこれでどうですか?と出したら、却下されることも多々あるなか一発で採用された。リングネームに関しては非常に幸先のいいレスラー人生のスタートを切った。いまは対戦相手が先輩ばかりでなかなか難しい、自力初勝利を目指す。そのための武器が、技云々よりも「元気と勢い」。

2AW夏のビッグマッチとなる8・24TKP千葉大会では、背中を追う先輩の笹村と組んでSAKI&小林香萌組と対戦。「お2人とも“ザ・元気と勢い”みたいな方なので、その2人につぶされないように頑張りたいと思います」。もちろん隣にいる笹村にも「元気と勢い」で負けてはいられない。

「男子には負けたくないしナメられたくもないので、もっともっと強くなっていきたい」。これまで男のレスラーしか巻いていない団体最高峰・無差別級王座のベルトを、過去に一度挑戦して逃している笹村よりも先につかみたい。その思いは純粋で、希望に満ちる。

千葉県には2AWというプロレス団体がある。プロレス界の極北で生まれた21歳の女子レスラーが、初勝利を目指して日々奮闘している。2025年夏の時点ではまだ無名の彩月悠叶の、怖いもの知らずの「元気と勢い」に注目してみるのも面白い。

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