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2026-04-07

【連載 泣き笑いどすこい劇場】第37回「ゲン担ぎパート2」その4

平成21年11月場所6日目、嘉風は旭天鵬戦できわどい勝負となり、行司差し違えでの勝利。これも連勝中、同じ弟弟子に帯を締めてもらった効果!?

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溺れるものはワラをもつかむと言いますが、勝たなければ人生が開けない力士たちだって似たような心境です。
勝つためには手当たり次第、なんだってつかみます。
その一つがゲン担ぎです。
平成22年にスタートした第1回目のテーマがゲン担ぎで、力士たちのさまざまなゲン担ぎの生態、面白エピソードを紹介しました。
しかし、とても1回ぐらいで紹介しきれるものではありません。
それだけ力士たちは勝つことに必死な証拠でもあります。
そこで、今回からゲン担ぎパート2をお送りしましょう。
※月刊『相撲』平成22年11月号から連載された「泣き笑いどすこい劇場」を一部編集。毎週火曜日に公開します。

帯締め役が運呼ぶ

ゲン担ぎは人さまざま。ひょんなことでそれが立派なゲン担ぎに昇格することもある。平成21(2009)年九州場所初日、東前頭9枚目嘉風(現中村親方)は、場所入りするために宿舎で身支度するとき、付け人2人が取組のために不在だったので、たまたま取組がなくて部屋にいた序ノ口の宮北(のち睦風)に帯を締める手伝いをしてもらった。

これで勝ち運がついたのか、なんとこの日から7連勝。その運の強さを象徴したのが6日目の西前頭6枚目の旭天鵬(現大島親方)戦。土俵際まで寄られ、夢中で右から突き落としたものの、軍配は旭天鵬に上がり、物言い、協議の結果、行司差し違えで勝ち星をもぎ取ったのだ。駆け足で戻ってきた嘉風は、

「連勝って気持ちいいですね。毎日、こうやって(報道陣のみんなに)囲まれたい。相撲内容は0点でしたけど。九州の土俵には何かがいますよ。相撲の神様が。(11勝4敗で初の敢闘賞を獲得した)昨年もそう感じました。嫌われないように、明日も一生懸命取らないと」

と声を弾ませ、こう付け加えた。

「初日に勝ったので、あれからずっと宮北に帯を締める手伝いをしてもらっているんです。こうなったら負けるまで宮北に手伝ってもらわないといけない」

宮北にすれば雑用が一つ増えたことになるが、この宮北も1番目の相撲から3連勝。嘉風の帯締めの手伝いが自分のゲン担ぎにもなっていたのだった。

月刊『相撲』平成25年11月号掲載

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