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2026-04-10

【連載 大相撲が大好きになる 話の玉手箱】第37回「ハイ、納得」その1

平成28年名古屋場所3日目、日馬富士は右ヒジに黒いサポーターをつけて臨んだが、隠岐の海に敗れた

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勝ちか負けか、白か黒か、1つしかない力士たちの言動はスッキリしたものです。
見ていても、あるいは聞いてみても、胸にストンと落ちます。
やっぱり物ごとはこうでなくっちゃ。
そんな、そりゃそうだと納得がいくエピソードを集めてみました。
※月刊『相撲』平成31年4月号から連載中の「大相撲が大好きになる 話の玉手箱」を一部編集。毎週金曜日に公開します。

黒より白でしょ

大相撲界で最も縁起がいい色は、もちろん白だ。白は白星、勝ち星に通じるからだ。
 
平成28(2016)年名古屋場所3日目、横綱日馬富士は、慢性的な痛みを抱えていた右ヒジに、大相撲界の常識に反して真っ黒なサポーターをつけて登場した。前日までは真っ白なサポーターだったが、

「もう伸びて緩くなっていたんだ。こっちの方がゴム製で強く締まる」
 
と急遽、取り替えたのだ。
 
ところが、結果は案の定、黒星。東前頭2枚目の隠岐の海(現君ケ濱親方)に出鼻をくじかれて押し出され、初黒星をつけられてしまった。
 
口をへの字にして引き揚げてきた日馬富士は、

「ああ、やっちゃったよ。最近、ずっと3日目に負けている。何場所も続けて、だよ。何にも言えねえな」
 
と渋い顔だったが、黒い色のサポーターの災難はこれだけでは終わらなかった。取組後、審判部に呼び出されて二所ノ関審判部長(元大関若嶋津)から、

「黒色のサポーターは土俵の美を損なう。以後、白(のサポーター)にするように」
 
と厳しく注意されたのだ。
 
まさに踏んだり蹴ったりだ。翌日、仰せのとおり、白い色のサポーターに戻した日馬富士は、当時新鋭だった初顔の御嶽海を一方的に寄り切って快勝。取り囲んだ報道陣に、

「やっぱり黒(色)より白(色)でしょう」
 
と突っ込まれると、

「オレ、そういう縁起は担がないタイプなんだよ」

と言いながらも豪快に笑い飛ばした。これ以後も白い色のサポーターで押し通した日馬富士は、13日目に稀勢の里(現二所ノ関親方)の相星決戦を制するなど13勝を挙げ、8回目の優勝を果たした。

月刊『相撲』令和4年4月号掲載

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