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2026-04-14

【連載 泣き笑いどすこい劇場】第37回「ゲン担ぎパート2」その5

平成21年11月場所14日目、年間85勝の新記録と優勝を達成した白鵬。千秋楽も勝ち、記録を86としたが、この場所はあるゲン担ぎをしていた

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溺れるものはワラをもつかむと言いますが、勝たなければ人生が開けない力士たちだって似たような心境です。
勝つためには手当たり次第、なんだってつかみます。
その一つがゲン担ぎです。
平成22年にスタートした第1回目のテーマがゲン担ぎで、力士たちのさまざまなゲン担ぎの生態、面白エピソードを紹介しました。
しかし、とても1回ぐらいで紹介しきれるものではありません。
それだけ力士たちは勝つことに必死な証拠でもあります。
そこで、今回からゲン担ぎパート2をお送りしましょう。
※月刊『相撲』平成22年11月号から連載された「泣き笑いどすこい劇場」を一部編集。毎週火曜日に公開します。

やっぱり「白」

平成21(2009)年九州場所、横綱白鵬はビッグ記録に挑戦した。初場所からずっと14勝以上をキープし、この年に挙げた勝ち星のトータルが71勝。あと13勝で、4年前の平成17年に朝青龍が挙げた年間勝ち星「84」に肩を並べるところまできていた。もう“朝青龍超え”は射程にとらえた形だった。

「せっかくのチャンスだから、狙っちゃえって感じですね」

と場所前から白鵬も色気十分。それをにじますように、場所入りのクルマも真っ白なアウディにした。それまで乗っていたのは黒のベンツだったが、10月にイベントに参加したアウディの輸入会社に掛け合い、九州場所限定で提供してもらったのだ。

「白は白星ですから」

と白鵬。そう言えば、平成20年初場所、2場所の出場停止処分が明けたばかりの朝青龍も、後援者の細木数子さん提供の白のロールスロイスで場所入りし、惜しくも白鵬に千秋楽決戦で敗れ、優勝は逃したが、見事ブランクを乗り越えている。白い色には、力士たちの気持ちを浮き立たせる作用があるのかもしれない。

この白いアウディのゲン担ぎの甲斐もあって、この場所、白鵬は全勝優勝して年間86勝という朝青龍の記録を2勝も上回る新記録を達成。優勝回数も尊敬する双葉山と並ぶ12回目に到達したこともあって、

「いい仕事ができました」

といつも以上に晴れやかな顔だった。

月刊『相撲』平成25年11月号掲載

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