5月13日より開幕するGLEATのシングルトーナメント「G-CLASS 2026」エントリー選手インタビューの第3弾は、エル・リンダマンが登場。G-REX王者として優勝が宿命づけられている中、どのような姿勢で臨むのかを訊いたところ、自身と団体に対する俯瞰的な見方が随所に表れた。(聞き手・鈴木健.txt)――奪取とはなりませんでしたが、G-REX王座という最高峰のシングルのベルトを保持しながら、田中稔選手のG-RUSH王座挑戦を表明した理由からお聞かせください。
リンダマン わかりやすくって言うんですかね、陽の目を浴びる人みたいなものはやっぱり必要だと思って。GLEATにおいてベルトを何本も持っている、トーナメントを優勝するという提示の仕方が一番手っ取り早い。ファンの人たちが「この人が一番」というのを軸にする一つの基準点を作りたかったんです。その基準点としての強さ、高さ、深さを出すには、全部のベルトをまとめて獲るのがいいと。
――では、G-RUSHも獲った上でG-CLASSも制覇するという道筋を立てていたんですね。
リンダマン そうです。G-RUSHに関してはあのルールの中で基本的には若くてスタミナがあって、スピードがある人が有利なタイトルですよね。G-RUSHのわかりやすい、速い、スリリングというところでいうとそれは若い人の方が表現しやすいわけじゃないですか。だから、ほぼ最年長者の人が持っている状況っていうのはわかりにくいかなと。自分のスタミナとか見ればわかってもらえると思いますけど。
――G-REX王者としては高みの見物を決めようと思えばできる立場だったわけで、チャンピオンでありながらこの中へ入れられたことに関しては、どう受け止めているのでしょうか。
リンダマン 自分は完全無欠のチャンピオンだとは思っていないんで。ただベルトを持っているだけですよね、言ってしまえば。なので、そこに山があったら登るし、強くなろうとする気持ちや勝って積み上げていこう、高くなっていこう、大きくなっていこうっていう気持ちを僕はプロレスラーとして見せたいんで、そこにトーナメントというものがあるのであれば登っていきます。
――チャンピオンとして出場すると、優勝が義務づけられる見方をされます。
リンダマン そうですね。じゃあここで優勝して、どうやって話が面白く回っていくかってことだと思います。これもわかりやすい形で言うと、チャンピオンがトーナメントで負けて、優勝者が7月1日のビッグマッチで挑戦というのが一番わかりやすいですよね。ビッグマッチを前にしてチャレンジャー不在になるわけですから。そのデメリットを潰す方法として“外”がある。なので、わかりやすさを潰した上での外っていうのも考えられるんじゃないかなと。
――今の時点で、GLEATの外にもアンテナを張っているということですか。
リンダマン アンテナを張っているとは言わないですけど、どんな選手が来てもその人にとって名前が上がるような試合にする自信はあります。僕は今までもG-REX王者としてDOUKI選手とやったし(2022年8月24日、後楽園ホール)、TJP選手ともやらせてもらいましたけど(2025年12月30日、新宿FACE)、いずれもわかりやすく名前のある選手ではなかったというか、実力はあるけど一歩引いた状況にある人たちだったと思うんです。
でもその2試合はいいモノにしたっていう自信があるし、DOUKIさんが上がるきっかけとまでは言わないけど、確実にあそこから上がり目になったと思っていて。TJP選手の場合は、あれ以上の上がり目ってなんだってなるけど、彼は彼で「やっぱりTJPって凄いんだな」ってGLEATで見たお客さんがわかるような試合をやったと思うんです。お互いが上がればいいじゃないですか。それが理想です。
だから、自分がトーナメントに優勝して、そういうGLEATの外も視野にいれて7月1日に向かうというのが、一番難しいながらも理想の形。それって、どこかに所属していてもフリーであってもその団体的に実力はあるけれどもっと上げたいと思っている選手をポンって出したら、上げる方も魅力的な団体に映る。それだったら交流しようとか、そういう話になってくると思う。僕は誰かを潰して自分が上がるというのはあまり考えないんで。
――仮に自分が優勝できなかったら、優勝者と7月1日にやるつもりではいるんですね。
リンダマン 既定路線だと思うし、それを発言するのが優勝者の仕事でしょ。そうなったら、よっぽどのことがない限り受け入れますよ。時期的に見ても7月1日がベストだと思うし。
――トーナメントですが、1回戦の相手である山村武寛選手とは長きにわたる関係性を築いてきています。その選手とこのタイミングで1対1で対戦することに関しては、どうでしょう。
リンダマン それこそ、実力があるのに上がりきってない最たる例が山村だと思います。僕は根性でなんとかしてて、実質的なスキルでいったらパワーがメチャクチャ強いわけでもない。言うなれば、力を一番発揮できるようにゲームを持っていくのはうまいかもしれないですけど、強さやスピードで一番かといったら、勝てるところがあまりないんですよ。その上で、持っている武器で闘うしかない。パラメーターでいったら…五角形のグラフで見比べたら、明らかに向こうの勝ち。
――その前提が自分の中にある状態で闘うと。
リンダマン パラメーターで勝てるかなと思えるのは…河上隆一ぐらいかな。でも、河上を見てもらったらわかりますけどパラメーター外のところが強いじゃないですか。五角形の外に彼の強さがある。だから彼の怖さもよくわかります。僕もパラメーター外で結果を引っ張ってきましたから。
――その河上選手がいるブロックは誰が勝ち上がってくると予想しますか。
リンダマン どうですかね…田村って言うのがいいのかなと思っちゃいますけど。元気がよくてわかりやすいし、見る側としてのインパクトがある。僕の好きなプロレスラーの形だから。大きくて速くて強そうで。
――ブラスナックルJUNはどう映っていますか。
リンダマン 彼は彼で今、楽しくやっていますけど、それってお客さんに対して、周囲に対して自由にやっているっていう表現ですよね。それを見せるために、いろんなことをすごく考えていると思います。その中で結果もついてきているので、今のところは一応成功していると思うんですけど、いつ崩れるかわからないっていうのは心の奥底にあるんじゃないかって想像しちゃいます。
――崩れるというのは、自分の描いていた通りいかなくなるという意味で?
リンダマン そうそう。いかなくなった時に、メチャクチャ考えると思います。だから今の時点でも考えてやっている。立場が変わっちゃいましたからね。要はステージチェンジした時に、今までとはやり方を変えなきゃいけない。凶器を使うのも表現方法の一つだから、ルール内でやればいい。ダメだって言われてもやるんだから。
――見る側からすれば誰と誰が当たっても楽しみな8名です。
リンダマン 本当に、いい8人だと思いますよ。誰に対してもやりたいと思えるし、誰とやっても負けるかもしれないって思うから緊張感もある。その中で僕は2つの線があるわけじゃないですか。優勝した場合とできなかった場合の両方で7月1日のタイトルマッチが約束されているようなものだから。実はほかの7人が負けた場合の線がないんですよ。そういう意味でのリスク、緊張感があるんじゃないですか。
――10月9日に中嶋勝彦選手からG-REX王座を奪回して、半年間保持し続けてきました。その中で見えてきたものはありますか。
リンダマン ファンの支持…リンダマンのことを好きか嫌いかっていうのはわからないので、支持を得ているスーパースターみたいな気持ちは自分にないです。ただ、納得はしてくれていると思う。安心感のようなもので存在している気がします。とりあえずリンダマンに任せておけば大丈夫みたいな空気は感じますね。花形ではないかもしれないですが。
――今の自分はスター、中心とは違うという認識なんですね。
リンダマン あえて逆をいっている自覚があるというか、そうやって勝ってきた人間なんで。コスチュームも髪型もそうですけど、みんながそっちにいっているんだったら逆の方が光るでしょっていうやり方で僕はやってきた。自分の思想みたいなものがそもそもみんなとは逆をいっているところも一つの要因ではあるんですけどね。だからこそ、いよいよここから本流にいってスターを目指す人たち、キラキラした人たちの中に正面切って闘いを挑んでいかなきゃいけないっていう怖さはあります。でも、そこを超えたら自分もキラキラできる。
――目指すんですね。
リンダマン そこから目を背けるのはいけないと思います。
――7月1日で5周年を迎えるGLEATですが、団体の現状はどのように映っていますか。
リンダマン 普通です。良くも悪くもない。山谷があるように見えて、僕にはそう映っていないです。良くも悪くもないからまさに平均値。変化をしていないという点では悪いのかもしれないけど。微増はあるけど、喜べるほどの微増ではない。
――TJP選手とやった昨年末の新宿FACE大会では、熱量が上がったなと感じました。
リンダマン うん。でも、それも含めての平均値だと思っているので。あれぐらいのものは作れると思っている。成長したから作れたわけでもないし、要は運とか時勢の範囲内で持っている実力が、上振れることもあるし下振れることもあるにすぎないという感覚で。そこは団体としての実力が上がれば上振れの範囲も大きくなりますし、下振れの加減も抑えられる。悪い時でもそんなに悪くないまでにとどめられるんで、本質的に実力をしっかりつけていくことだと思います。
――ただ、旗揚げから5年の時間を費やしてきているだけに、何かしらの形を提示する段階には来ていると思うんです。
リンダマン 結局はGLEATの個性たるものを何か見せろっていうことですよね。それでいうと、大会場満員ってまったく別の話になってくるんです。もちろん目指すべきところではあると思うんですけど、個性をつける、キャラクターづけっていう範囲を超えているんですよ。個性のある団体って、もともと持っていたものとか、長いことかけて作り上げてきたものぐらいしかないんです。
――蓄積ですね。
リンダマン 歴史か、何か瞬発的に運よく持っちゃったもの。話題性なんてそうじゃないですか。何かがハマったとかね。ウナギ・サヤカという人はその話題性っていうのをちゃんと自分のキャラクターにしている。ああいうのは凄いと思います。でもあれは、個でしかできない動き方だし。それが団体の場合、大きい会社になるほどそういった個性を作るのが難しくなる。その中で人それぞれの思想があっていいとは思いますけど、やっぱりベースの部分を上げていくことを、みんなが目指していってほしいですね。
――これから先に関し、なんらかの可能性を感じているから続けられているんですよね。
リンダマン 可能性があるから続けているわけじゃないです。なくても続けますよ。続けて、ここで引退しようと思っています。35歳で引退したいと思っているから可能性がなくても続けて、GLEATで引退します。
――35歳で引退というのは、自分の中で決まっているんですか。
リンダマン 決まっています。まあ、40までもあり得るけど、それはボーナス40であって。何か話が転がって40になることもありますけど、相当考えにくいです。35歳以後もやる形になって、可能性がなかったらやめなきゃいけないですけど、35歳までは可能性がなかったとしてもやり切ります。
――古い言い方をするとGLEATに骨を埋めるつもりなんですね。
リンダマン 埋めるというか、好きだから。僕、ディズニーランドが好きだし、いろんなことに興味があるから落語が面白そうだと思ったらいくようにしているんですけど、ディズニーランドにいっても「うーん、いいなあ」っていうテンションなんですよ。それが人から見ると楽しそうに見えない。おまえといくと面白くないよって言われる。
そうじゃねえんだけどなあ…って思うんですけど。リング上は、楽しいって言っているだけが楽しいじゃない。お客さんが手拍子しているから盛り上がっているわけじゃないと思っていて、僕は手拍子ってマトモに受けちゃいけないもんだと思うんですよ。シンドそうな顔はしていますけど、シンドいことが楽しいと思ってやっているんで、そういうふうに見てほしいです。リンダマンはベース楽しそうで、好きでやっている。だからやめていない。
いろんなことを考えてもらっていいんですよ、娯楽なんだから。じっくり考えてみるのも、ライトに楽しむのもありなのが本来なんだろうけど、僕個人はじっくりと考えながら見てくれると嬉しいです。自分が若い時、そうやってプロレスを見ていましたから。ただ、スターってもうちょっとライトに味がするものだから、そこからも脱却していかなければならないのかもしれないんだろうけど。なので、コンビニで目につきやすいパッケージデザインから入ります。