5月13日より開幕するGLEATのシングルトーナメント「G-CLASS 2026」エントリー選手インタビューの第4弾は、山村武寛が登場。伊藤貴則や渡辺壮馬という今年に入ってシングルタイトルを獲得した人間を差し置いてのトーナメント出場は、それほど会社の期待がかけられているという証拠。8名の選ばれし者たちの中に入ったことを本人はどう受け取っているかから、取材は始まった。(聞き手・鈴木健.txt)――まず、昨年以上にエントリー選手が厳選された中へ自分が入ったことに関しては、どのように受け止めていますか。
山村 ハッキリ言うと今も自信しかないんで、入って当然だろうという気持ちです。入れてよかったっていうのはないッスね。今のGLEATベストメンバーだと思うんで、その中で1位を獲りにいくための場という位置づけです。とくに今年に入ってからはルイージ・プリモ、ジャック・カートウィールというクセ者的な外国人にもシングルでやって勝っているし、3月の配信マッチでも井土徹也に勝って、シングルマッチでは負けなしなので。
――好調ぶりは何によるものなんでしょう。
山村 気の持ち方が一番大きいです。今年に入ってから特に1位を獲りたいという思いが大きくなって、それを目標にしてリングに上がった結果、変わってきたんだと思います。去年の2月に石田凱士のG-REX王座に挑戦したんですけど、そのチャンスを逃してしまった。でも、首のケガが再発しないことを第一の目標としてやってきた中で、じゃあ次に目指すのは何かと考えた時に、そこはやっぱり一番を獲りたいっていうのが頭をもたげてきて。
――復帰からの約2年間はケガなくやれるかどうかの確認期間でもあったんですね。
山村 そうです。去年、両ヒザの内側ジン帯断裂はしたんですけど、その段階でスターダスト・プレスをはじめとする飛び技以外で、自分の中で3つ取れる技、ギブアップを獲れる技をいろいろ考えてやってきて、ようやく形になってきた。それを経ての今年なので、G-CLASSはタイミング的にこれ以上ない場ですよね。
――山村選手は#STRONGHEARTSとして、GLEATの一員として、あるいは鬼塚一聖選手とのタッグとしてというように、ユニットや組織、チームの中で自分がどうするかというのを続けてきた選手だったので、一番を獲りたいという言葉が新鮮な気がします。
山村 タッグで一番になったことは鬼塚がパートナーの時にあったんですけど、プロレス人生においてシングルのベルトもまだ未体験だし、トーナメントやリーグ戦といったもので優勝を味わったこともないけ。体を張ってやっているからにはそういうのを経験してみたい。その上で、トーナメントっていうのはタイトル以上にわかりやすく一番が決められる。しかも、このベストメンバーだから優勝したら誰も異論はないでしょう。
――しかも1回戦の相手がG-REX王者ですから、勝てばチャンピオンを破ったという実績も付随してきます。
山村 エル・リンダマンを見てきた自分としては正直、最近パッとしないです。悩んでいるようにも映るし、チャンピオンらしくもない。何を抱えているのかはわからないけど、あの弾けているリンダマンとは違う状態に感じます。去年までは団体のトップとして引っ張っていくという気概が見えたんですけど、今年に入ってからチャンピオンとして突出した存在ではなくGLEATの一部になっている。それが僕の印象です。
――調べてみると反則勝ちはありますが、ちゃんとした形では今のところ未勝利です。
山村 反則勝ちあげているんですか? いやあ、まったく記憶にないですね。G-RUSHの時はツーカウントルールでは引き分けて、そのあとのワンカウントルールで負けている。純然たるシングルマッチで、しっかりとした決着はまだないんですよね。だから、過去の戦績はまったく関係ないです。お互いの今で勝負した結果、僕が勝つ。今の僕は、発する言葉の強みでいこうと思っているので、そこはハッキリ言います。
リンダマンに限らず、今回のトーナメントは借りを返したい相手ばかりなんですよね。その中でも同い年の田村ハヤトは一番意識します。30歳同士で決勝戦をやりたいなと。去年までは鬼塚と島谷(NOBU SAN/学年が同じ)もいましたけど、その2人がいなくなった今は田村ハヤトとの間で一番を決めたい。
――その前に準決勝で石田vsKAZMA戦の勝者と当たることになります。
山村 どっちが勝ち上がってきても、難敵です。石田は復帰戦の相手であり、G-REXに挑戦した時のチャンピオンでもあってどちらも負けているから借りがありますし、これも同い年なんですけど先を進んでいると思うので、絶好のタイミングではあると思います。ただ、KAZMAとはシングルでやったことがないから、その点で興味がある。そういう意味では、誰とやっても楽しみな部分を持てるというのは、闘う上で大きな武器になるんじゃないかって思います。
――8選手の中では、山村選手が優勝を果たせばもっともガラッと勢力分布図を変えるものになると思います。
山村 それも含めての、一番のタイミングなんですよ。本当に、今しかないって自分に言い聞かせています。経験値であったり、内容の濃さ、ふり幅の広さであったり、戦績とは別のところでの手応えも揃ってきた。今思うと、プリモやカートウィールのようなクセのある相手とやったことで経験値を上げられたと思うし、幅も広がった。まさか、ちゃんこシェフになるとは思っていなかったので。
――思っていなかったんですか。
山村 ピザ職人に対して普通に試合をしてもよかったんですけど、それで勝ったとしても飲み込まれる…存在感で上回られてしまう気がして、自分も何かしないといけないと思った時、過去にちゃんこイベントを何回かやっていたんで「ここはちゃんこだ!」ってひらめいて、気づいたら昆布出汁を仕込んでいました。練習生時代に、昆布は必須だと教えられていたので。カートウィール戦でも向こうがザ・アメリカのような選手だから、“超・和”で対抗するべく羽織袴を着て入場しましたし。
――あれは似合っていましたよ。
山村 闘いとは直結しない部分でも、遊び心も必要だなと気づいて。その方が、自分自身も楽しんでできるじゃないですか。ケガから復帰した時は、それだけでいっぱいいっぱいだったのが、いい意味で余裕が出てきてそういうところまで頭がいくようになった。なので、これからもいろんな工夫を見せるので楽しみにしていてください。
――2度のケイ椎負傷からこうして普通にプロレスをやれるようになった姿を見て、よくぞ諦めなかったなと思えます。
山村 もちろんマイナス思考になったり、引きこもりのようになったりしたこともあったんですけど、首をケガしたあとに何かの本で、僕がプロレスラーに戻るべきであるならやることさえやっていれば、あとは神様がその方向に導いてくれるというような文言を読んだんです。どんなに時間がかかっても、そのゴールは待っているから、あとはそのゴールに到達するためにやるべきことを積み重ねるだけだって。
――先日、同じ箇所が原因でDDTの樋口和貞選手が引退という決断をしました。
山村 まさに同じところだけに、いろいろ思うところはあります。やめざるを得なかった人の今後について、あとはケガで悩んでいる人、シンドい思いをしている人の希望になりたいんですよね。僕もその文章に巡り合っていなかったらリングに戻れていなかったかもしれないです。その意味では、運よくそれを読むことができたんでしょうね。