林下詩美の5月23日退団に、岩谷麻優&ビクトリア弓月ら主力の相次ぐ負傷欠場。激動の4月を経て、旗揚げ3年目に突入する女子プロレス団体「マリーゴールド」。団体創業者であるロッシー小川代表は逆風が吹き荒れる現状をどうとらえているのか。5月1日に69歳の誕生日を迎えたロッシー・インタビュー後編をお届けする。

――インタビュー前編では旗揚げ3年目のキーパーソンとして天麗皇希さんの名前をあげましたが、ほかにも期待したい選手はいますか?
小川「不安定だけど、(山岡)聖怜とかね。すごくプロレスラーっぽくなってきた。あとは小桃かな。麻優が『私に一番近いのは小桃』ってよく言ってるけど」
――岩谷さん、弓月さんに刺激を受けているのか小桃選手、よくなってますよね。
小川「やられ方が麻優そっくりなんだよね。麻優は小桃にベルトを巻かせたいんだろうけど」
――アイコン・ピーチアロー(岩谷&弓月&小桃)での6人タッグ王座取りをしきりにアピールしています。
小川「小桃とか弓月は麻優を慕ってくれてるから。それはすごく嬉しいんだと思うよ。いつもニコニコしてるから」
――好意で接すれば好意で返したくなるのが人間です。
小川「そうそう。しのぎを削るという感じではないじゃない、いまのマリーゴールドは。どちらかというと、チームワークのほうが先というか」
――ファミリーであり、ロッシー小川一座と言いますか。
小川「そのままじゃ大きくはなれないんだけど、いる人間も見る人間も心地よくなきゃいけないと思うんだよね。大きい舞台に出て、いい給料をもらっても、ストレスが多かったり、スッキリしないよりは。何がいい悪いは一概に言えないし、会社としてはそういう心地よさよりも数字であったりを追い求めるのが正解なのかもしれないけど。組織なんだけど個人が楽しむ、個人が目立つという仕事だから。やってる人がつまらないとダメだと思うんです」
――荒波も逆風もありますが、それも含めて楽しめている状態ですか?
小川「楽しんではないよ(苦笑)。その時は嫌で仕方ないけど、終わってしまえばね。最後の昭和人みたいなね。もっと寛容にねという気持ちもあるけど、そういうことを言っちゃうから、またいけないんだろうけど」
――先ごろ、著作権及び肖像権の侵害に関する認識の甘さから……。
小川「そうですね。その件で信用は失ったのかなとは思いますけど、どうなんだろうね。あとは後楽園が満員になってないから『マリーゴールド大丈夫なの?』『どうなの?』と言われるんだけど、ウチは地方でコツコツやって業績を伸ばしてるし。いつも見てる人はわかってると思うけど。上辺だけ見てる人はわからない。試合内容は上がってるんだから、来た人の満足感と(SNSなどでチェックしてるだけの層では)乖離があるんじゃないかな」
――マリーゴールドは全国津々浦々を回っている団体です。
小川「選手と接したひとはみんな喜んでくれてる。興行をやってる以上、来てくれた人が満足して帰ってもらわらないと、嫌な思いしないでね。自分のなかではこの仕事を半世紀やってきて“やり尽くした感”はあるんだけど、マリーゴールドはまだできたばっかり。何も到達してないから。例えば、ほかの団体がやってるアメリカ遠征とか考えてますよ」
――かねて計画していたアメリカ遠征を?
小川「そうそう。ビザの問題とか会場の問題とかいろいろあるんだけど、少しずつ。早ければ秋ぐらいに実現させたいなと思ってます」
――レッスルマニアに合わせてとかではなく?
小川「関係なく。『DREAM STAR GP2026』(9月20日最終戦予定)が終わってから2週間ぐらい(興行を)入れてないので。ビザ次第でやりたいなと。今年3月に靖国(奉納プロレス)を初めてやったけど、いままでにないものを定番化していくことも大事だから。北海道と福岡は年2回と決めてるけど、次の北海道は10月にやろうとなってますから」

――新興団体にも関わらず、2025年度は99大会を開催。年間興行数が100に迫る勢いですが、ほぼすべての興行に小川さんも帯同しています。
小川「自分も来年70歳になるけど、いままで通りやれるのはあと5年かなと思っていて。健康面であったり体力面であったり。5年経って、また5年と考えればいいかなと」
――続けるにせよ、どうなるにせよ。
小川「まあやるんだろうけどね(笑)。やるとしても、どこまでやるか。いままでを100としたら70なのか、50になるのか。後継者も創らないといけないだろうし」
――団体の長としての後継者?
小川「そうそう。せっかく創ったんだから引き継いでほしいよね、後世まで。もうひとつの団体も残ってるわけだから」
――次期社長候補は?
小川「一番の候補は増村(貴宏イベントマネジャー)じゃないの。選手からの信頼を見ても。ただ、全然違うからね、仕事の内容が。いま(翔月)なつみが経理を手伝ってくれてるんだけど、すごく助かってる。(お金の流れが)明朗化して、おおざっぱな部分が全然なくなってる」
――昭和のどんぶり勘定ではなく、企業としても健全化していると?
小川「企業と言えるかわからないけど、商店よりは企業に近くなってる。ただ、また決起集会もやりますし、6月には慰安旅行もやろうと思ってます」
――今年も慰安旅行を?
小川「大きくなっちゃうとそういうことがなくなって、ホントに個人主義になっちゃうから。そういう時もくるかもしれないけど、いまはみんなで団結していこうという時期なので。そんなことやる団体ないかもしれないけど、生きたお金の使い方をしていきたいなと」

――岩谷選手も入団1周年を迎えます。
小川「楽しそうにやってるからね。ただ、15年プロレスをやってきて蓄積されたダメージがあるから。それが最近出ちゃってるかなと」
――ケガが続いています。
小川「そういう意味ではカウントダウンには入ってるのかなと。永遠にできる仕事ではないからね」
――今回の足親指骨折もご本人的には想定外でしょうし。
小川「それはそうだろうね。でも、意外とあっけらかんとしてるから。楽しいんじゃない、マリーゴールドに来て。ただ、この楽しいはずっとは続かないから。奈七永とか大変そうだしね。いい例も悪い例もたくさんあるわけだから。選手はそれを見て、勉強すればいいと思う。こうしたらいい、こうなっちゃいけないとか」
――区切りをつけたあとも人生は続きます。
小川「人生は続くんだけど、例えば前田日明が最近よく出てるけど、それは一時出ない期間があったからいま望まれて出てるようになった。そうじゃなくて、やたらとイベントやったり露出してたら価値がなくなっちゃう」
――リング上の岩谷さんは頭ひとつふたつ抜けた存在になっています。彼女を脅かす存在は出てくるんでしょうか?
小川「脅かす存在ねぇ…。麻優の次の目標はなんなんだろうね。普通のレスラーじゃなくて、トップでやっていかなきゃいけないわけだからね」

――詩美選手を倒して、ワールド王座防衛を果たした青野未来選手に関しては?
小川「青野未来は青野未来でがんばってるけど、彼女はもっと底力があると思うんですよ」
――まだまだいけると?
小川「まだまだ、全然出し切ってないでしょう。自分でもわからないと思うよ、どこまでの力があるのか」
――“エース詩美”の退団もありますが、青野選手は真の意味でエースになれるのかどうか。
小川「最近、個人でプロモーションで地方に行ってくれたりして。団体の顔になっていくんじゃないかな。愛想がいいから接した人はみんなファンになっちゃう」
――オーバーかもしれませんが、新日本プロレスの棚橋弘至社長のような…。
小川「そうそう。そういう意味でも団体の顔になってくれればいいなと思いますよ。物おじしないしね。あと品がある。団体のエースですよ、団体の顔ですよと打ち出せる人だよね」
――詩美選手が去るいま、岩谷さん、青野さんのライバルが出てきてくれるとより盛り上がると思うのですが。
小川「そうだね。外から来るんじゃなくて、中から出てこないとね」
――辞めていく詩美選手にメッセージは?
小川「出し切れなかったんじゃないかな。(スターダム時代はユニットなど)たくさんがいて、詩美がいるという形だったんだけど、マリーゴールドでは個人で闘わなきゃいけなかった」
――マリーゴールドは少数精鋭の団体。突出した個で引っ張ることも求められたと思います。
小川「一人で引っ張っていくというタイプではなかったし、そういう意味では求心力がなかったというか。それ(=詩美退団に)によってまた生まれる縁もあるだろうからね。そういうのもおもしろいじゃないですか」
――人材が巡り巡るのがプロレス界の常です。
小川「そうそう。(外から)誰かが来たところで、それにかき回されるようなヤワな団体でもないし、ウチは。新しい子もいま入ってきていて。他団体でデビューも決まっていた子なんだけど、紆余曲折あってウチに来て。あとは秘密兵器もいますから」
――新戦力を迎え入れるためにも、まずは旗揚げ2周年記念の5・23大田区総合体育館の盛り上がりが必須です。
小川「その後も(8・9大田区、10・24両国国技館など)ビッグマッチが控えてますから。他団体との絡みに関しては、なんとも言えない部分もあるんだけど、多少絡んでいかないといけないかなと。ただの人数あわせじゃなく、双方にメリットがある形で。来年は私の50周年だし、なんとか頑張って動いて、話題を創っていけたらと思います」

マリーゴールド「MARIGOLD SHINE FOREVER 2026k~A Glorious Celebration~マリーゴールド2周年記念」
★5月23日(土)東京・大田区総合体育館(14:30)
【決定カード】
▼ツインスター選手権試合(30分1本勝負)
〈王者組〉松井珠紗&CHIAKI vs 後藤智香&天麗皇希〈挑戦者組〉
※第6代王者組7度目の防衛戦
▼New generation rival showdown
山岡聖怜vs暁千華
【チケット】
https://www.ticketpay.jp/booking/?event_id=61197