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2020-09-19

【相撲編集部が選ぶ秋場所7日目の一番】 琴勝峰(突き落とし)豊昇龍

7日目は前半戦で注目の若手対決が組まれたので、これを取り上げたい。高卒3年目の21歳、琴勝峰と豊昇龍の同学年対決だ。

※写真上=21歳の注目の若手対決は、土俵際の逆転で琴勝峰に軍配が上がった
写真:月刊相撲

 昨年11月に2人そろって新十両昇進。今場所は琴勝峰が幕内2場所目で豊昇龍が新入幕。これまでの幕下・十両での対戦成績は琴勝峰が3戦3勝と負けていない。豊昇龍はことあるごとに「ライバルは琴勝峰」と言っているだけに勝ちたいところだ。

 軍配が返り、両者低く当たって突っ張り合い。豊昇龍が右を差して中に入り、一気に前に出たが、土俵際で琴勝峰が左から突き落として逆転した。悔しそうな豊昇龍に対し、淡々と勝ち名乗りを受ける琴勝峰。これで1敗を守り6勝目と優勝争いのトップを並走する。

「(豊昇龍を)意識しないようにと思ったけど、やっぱり意識しちゃいました。差されて体勢が悪くなったんですけど、体が動いてくれた。余裕はあったかな」と振り返る琴勝峰。

 新入幕の先場所も7日目までは6勝1敗も、後半は負けが込んで8勝に終わり、敢闘賞を取り逃している。「先場所の後半は考えすぎたり、慌ててもったいない相撲もあった。今場所は精神的に余裕があるというか、落ち着いて自分の相撲を取り切ることを意識しています」と幕内の土俵にも慣れてきたようだ。

 将来の大関、横綱候補と期待されている琴勝峰。彼の身体的長所は190センチ、160キロのバランスが取れた体形に体の柔らかさと足腰のよさ。攻められても柔らかく残すことができる。相撲は突き押しでも組んでも取れる。右四つだが、左四つでも取れる器用さもある。

 敗れた豊昇龍は叔父の朝青龍譲りの下半身のバネとスピードが持ち味。これにパワーが身についてくれば、上位に上がっていくだろう。「豊昇龍とは競い合って、お互いを高め合えるような存在になれればいいですね」と語る琴勝峰。若い2人に注目していきたい。

文=山口亜土

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