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2020-03-08

【相撲編集部が選ぶ春場所初日の一番】 朝乃山(寄り切り)隠岐の海

新型コロナウイルス感染拡大の影響で無観客開催となった春場所が初日を迎えた。

※写真上=大関取りを懸けた朝乃山が隠岐の海を寄り切り、初日を白星で飾った
写真:月刊相撲

 記者席は3階に設けられ(土俵は2階)、十両までの取組はそこで観戦していたが、静まり返った館内はやはり寂しい。力士たちもなかなか力が出せないのではないか。

 御嶽海に敗れた炎鵬は、「いつもと違う雰囲気で闘争心が出なかった。当たり前のように感じていたけど、どれだけお客さんから力をいただいていたのかがわかった」と語っていた。

 そんな中、白鵬、鶴竜の両横綱と大関貴景勝は無難に白星スタート。今場所、一番の目玉である大関取りの朝乃山も白星を挙げた。

 隠岐の海と対戦した朝乃山は当たってすぐに得意の右四つに組み止め、左上手もガッチリ。上手を引き付けると差し手を返して、粘る相手を慎重に寄り切った。

 やや時間がかかったが、「土俵際で投げや突き落としがありますから、自然と慎重になった」と朝乃山。無観客の中での取り組みについては、「頭の中ではお客さんがいるような歓声を想像して、自分の相撲を取り切ることだけ考えていました。集中はできていました」と語る。

 今場所は大関取りに挑戦だが、「大事な場所ですけど、あまり気負わず、しっかり自分の相撲を取れば結果はついてくると思う。テレビの前で応援してくれている人に『頑張っていますよ』と伝えていきたい」と静かに闘志を燃やしていた。

 朝乃山は昨年九州場所が小結で11勝、初場所が関脇で10勝。大関昇進の目安は12勝だが、一人大関の現状を考えると、通常よりも甘くなるのではないか。横綱のどちらかを倒せば11勝でも上げるだろう。大関昇進の可能性はかなり高いと思う。

文=山口亜土

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