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2026-07-17

【相撲編集部が選ぶ名古屋場所6日目の一番】豊昇龍一歩後退! 伯乃富士が理想的な攻めで倒し金星

行司軍配は豊昇龍に挙がったが、この写真を見ると、豊昇龍の体のほうが先に落ちていることがはっきりと分かり、審判団の判定は妥当なものということが裏付けられる

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伯乃富士(切り返し)豊昇龍

「右からの投げに気をつけたい」「ヒザを使って相手の足を刈るようなつもりで攻めたい」
 
テレビ中継の中の情報では、伯乃富士は事前にそのような作戦を頭に描いていたということだが、まさにそのとおりの相撲だった。
 
伯乃富士が切り返しで豊昇龍を倒し、見事な金星を挙げた。
 
この2人の顔合わせは、過去の対戦成績では豊昇龍の4勝1敗だが、前回対戦した今年1月場所では投げの打ち合いで取り直しになった末に横綱が勝つなど、伯乃富士がうまく下に入って食いつく形を作れたときにはいい勝負になる。
 
そしてこの日は、立ち合いで低さ勝ちした伯乃富士が、ケンカ四つの横綱に対して得意の左を差し勝ったことが、勝利への流れの第一歩となった。伯乃富士は低く入ってモロ差しとなったが、立ち合いの勢いとしては豊昇龍が勝った。二本入られてしまった横綱としては、立ち合いの勢いを生かして相手を追い込んでしまいたいところで、サッと手にした左上手を引きつけて出て、伯乃富士を土俵際に追い詰めた。
 
ただ伯乃富士も逆側の攻防では勝っているので、横綱に挟みつける形は許さず、左に回ってこの攻めを残した。
 
こうして相手の立ち合いの攻めをしのいでしまえば、豊昇龍の次の手はだいたい右からの投げなので、伯乃富士としては、ここからは冒頭の作戦を頭に置けばいいことになる。豊昇龍は左の上手捻りと右小手投げの合わせ技にいくがこれは効かず。さればと今度は自ら左上手を離し、体を開いての小手投げ。伯乃富士が体を寄せてついて行ったところで、右脚を飛ばして相手の右足をちょん掛けで刈りにいったのは横綱らしいとっさの反応だったが、伯乃富士は冷静にこれを外すと、冒頭の言葉通りに左ヒザを相手に寄せて切り返し。豊昇龍は腰から、伯乃富士は肩から落ちて微妙なタイミングとなり、軍配は豊昇龍に挙がったが、物言いがつき、行司差し違えで伯乃富士の勝ちとなった。

「最後に落ちたとき、自分の方が上だなという感覚でした。でも、軍配は横綱だったし、物言いがついたので、もう一丁かなと思いました」と伯乃富士。NHKの殊勲インタビューでは「横綱に苦しい投げを出させればチャンスがあるとイメージしていました」とも語っていたが、横綱相手に頭に描いていた通りの相撲を取れるのだから、やはり非凡な力士だと言えるだろう。このところ、ケガもあっていったん番付を下げている間に、新三役争いで部屋のライバルの熱海富士と義ノ富士に先を越されてしまったが、ここまで5勝1敗の今場所は、ここから続くであろう横綱・大関戦を好成績で乗り越えれば大勝ちチャンス。新三役への道を切り開いていきたいところだ。
 
さて、豊昇龍は2敗目となり、優勝争いからは一歩後退。この日は若ノ勝が藤凌駕に押し倒されて土がつき、全勝は平幕の獅司ただ一人となった。今場所、元気いっぱいだった若ノ勝だが、この一番で右足を痛めたのは心配だ。1敗は、大関霧島、関脇安青錦、伯乃富士、大栄翔、琴栄峰、高安、若ノ勝、尊富士、錦富士の9人となった。
 
豊昇龍が一歩後退したことで、役力士では霧島と安青錦が前を走る形となった。きのう、「高いレベルの優勝」に向けては厳しい1敗を喫した霧島は、難敵義ノ富士に圧力勝ち。3月場所に優勝した時の「ほかのことは考えずに、勝負に行け」の魔法の言葉を師匠(元横綱鶴竜の音羽山親方)から再びもらったようで、場所が始まった当初と比べるとここ数日は弱くなっていた前への圧力を取り戻したような相撲を見せた。きのうが終わった時点では綱取りは苦しいかと思われたが、もしもこの「第2ロケット」が火を噴き続けるようなら、もともと力はあるので、終盤までほとんど負けずにいくことも不可能ではない。
 
もしも、霧島がそれを実現して「レベルの高い優勝」を果たし、綱取りを成就させることになるなら――。ターニングポイントはこの6日目だった、ということになるかもしれない。

文=藤本泰祐

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