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2026-09-27

【相撲編集部が選ぶ秋場所千秋楽の一番】大の里、千秋楽相星決戦で安青錦を圧倒し、涙の1年ぶりV

「“腹決めて走る”と朝から決めていた」という大の里は、モロ手突きから一気に安青錦を突き出して相星決戦を制し、1年ぶりの優勝を決めた

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大の里(突き出し)安青錦

「また見られるのかな」と思っていた景色が目の前に広がると、もうこらえることができなかった。何度も目頭を、手やタオルで拭った。その涙に、乗り越えてきた試練の大きさが見えるようだった。
 
横綱大の里が、千秋楽結びの相星決戦で大関安青錦を圧倒し、1年ぶりの優勝を手にした。
 
優勝インタビューでは、「ケガをして、思い通りの相撲を取れない1年が続いて。名古屋でも苦しい思いをして。こうやって賜盃を抱けたということは本当にうれしいです」と語り、また、「ホントに“また優勝できるのかな”って考えた時期もありました」と、苦しかった期間の胸の内を吐露した。若くして角界の最高位に上り、一時代を築くかと期待されたほどのこの横綱ですら、ケガをして思い通りの相撲が取れなくなればこんな心境にまで追い込まれてしまう、ということには、相撲という勝負の厳しさ、そして横綱という地位を背負う者の苦しさを教えられたような気がする。
 
大の里は「きょう、土俵下で親方がいて、優勝を目の前で見せられたというのは、すごくうれしいですね」とも語った。この日の大の里の涙を見て、稀勢の里(現二所ノ関親方)が左肩のケガを負いながら逆転優勝して表彰式で涙を浮かべていたシーンがダブったという人も少なくないだろう。その親方が審判として土俵下で見ている前で大の里が優勝を決めたというのも、何かの巡り合わせだろうか。
 
独走状態から13日目、14日目と連敗して安青錦に並ばれ、迎えたこの日の千秋楽相星決戦。大の里は、安青錦に何もさせずに勝負をつけた。今場所ずっと続けていた右を固めて当たる立ち合いではなく、モロ手から突き放していく立ち合いを選択。安青錦は左前ミツを狙ったが、腕を伸ばしてそれを許さず。そのまま一気に突き出した。
 
そこには「朝起きたときから“腹決めて走る”。悔いの残らないような、弱気にならないような相撲を取るということだけを考えていた」という、そんな決意があった。その気持ちが、横綱に本来の姿を取り戻させた。

「途中、ちょっと余計なことを考えていた自分もあったと思うんで。また気持ち的にも成長したのかなって。またレベルの高い優勝をしたいなと思いますね」

と大の里。この試練を越え、再び歩み出す、“ほかの力士から一つ抜きんでた存在”への挑戦は、今から楽しみだ。

この大の里の優勝は、きっと、今場所を休場した豊昇龍の心にも、「今度は俺が」という火をつけることだろう。また、「自分の相撲が取れなかった。また頑張ります」と語った安青錦は、最後の追い込みでやはり力のあるところを証明した。当然ここから横綱を狙っていくことになるが、相変わらず左足を気にしている感じはあるので、あくまでこのケガの治療をしながら綱を目指すのか、どこかで一度しっかり治して綱を目指すのかの判断が難しいところかもしれない。
 
さあ次は一年納めの九州場所。今場所一つ上の地位を目指してはね返された霧島と熱海富士の再スタートにも期待したいし、今場所ブレークした藤ノ川や美ノ海のさらなる活躍や、久しぶりに上位で相撲を取る朝乃山も楽しみ。鉄人玉鷲が幕内に戻り、そしていよいよ、「最強の新弟子」と言われて上がってきた旭富士が関取に。どこまで壁知らずの進撃を続けていけるかは注目だ。
 
ケガと戦いながらもトップを争う男たちに、若手、ベテラン入り交じっての激闘は必至。場所は終わったばかりだが、また2カ月後が早くも楽しみになってきた。

文=藤本泰祐

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