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2026-10-20

【連載 泣き笑いどすこい劇場】第41回「失敗」その4

勝ち名乗りを受ける平成25年春場所の日馬富士(左)。右のお尻にはヤケドの跡がくっきりと……

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この世の中、どこを突っついても一点のスキもない完璧な人間なんか、いません。
みんな、どこかになんらかの弱点や傷を秘めているものです。
だから、大小はともかく、失敗、ミスをしでかすんですね。
でも、失敗するのも人間らしくていいじゃないですか。
なんの失敗もしない人間なんか、きっとつまらなくて、肩が凝って、付き合えたものじゃありませんよ。
大相撲界にも失敗談は山ほど転がっています。
それも漫画チックなものからシビア過ぎるものまで、実にさまざまです。
そんなミステークにまつわるエピソードです。
※月刊『相撲』平成22年11月号から連載された「泣き笑いどすこい劇場」を一部編集。毎週火曜日に公開します。

尻に火がついた?

予兆って、本当にあるのかもしれない。平成25(2013)年2月26日、横綱日馬富士は大阪市東成区の伊勢ケ濱部屋の稽古場で汗を流した。この日が大阪入りして初めての稽古だった。だから、まだどこになにがあるか、しっかりつかみきっていなかったのだろう。スクワットをしているとき、隅にあったストーブにお尻が接触し、軽いヤケドを負った。大失敗だ。

「イテッ」と思わず顔をしかめた日馬富士。付け人に赤くなったところに絆創膏を貼ってもらいながら、「これで運がついたかな」と苦笑いしたが、よほどこの稽古始めのお尻のヤケドのことが気になっていたのだろう。それから10日後の稽古打ち上げの日、顔見知りを見つけてこう疑問をぶつけた。

「ねえ。お尻に火がつくのはいいことなの? 馬力が出るの? 出てほしいなあ」

もしかすると、日馬富士は真っ赤な火を吐いて猛然と飛んでいくロケットかなにかをイメージしていたのかもしれない。しかし、尻に火がつくという言葉は、物事が切迫していて落ち着いていられない状態を指し、決していい意味では使われない。この場所の日馬富士は、前の場所、横綱になって初めての優勝を全勝で飾り、それほど切迫した状況ではなかったにもかかわらず、なぜか落ち着きをなくし、9勝6敗に終わった。

月刊『相撲』平成26年3月号掲載

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