京都アクアリーナを舞台に熱戦が繰り広げられている全国中学(8月17~19日)。競泳の決勝は18、19日の2日間行なわれ、中学ナンバーワンを決める大会にふさわしい快泳が見られた。
写真/ハイレベルの争いを演じた女子200m平泳ぎの上位3選手(写真右から2位・曽我部菜々、優勝・鍵本、3位・田積帆乃果)(撮影◎毛受亮介/スイミング・マガジン)
勝負だけに徹することなく、高い記録も目指した鍵本彩夏(京都・城北3年)と竹原秀一(福岡・城山3年)が素晴らしいタイムを出した。確かに、鍵本は精鋭ぞろいの女子平泳ぎで勝つには好記録が必要、そして竹原は完全なるひとり旅ゆえ、戦うのは記録のみ。両者が好記録を出すのは必然だったのかもしれない。
鍵本は前半100mを1分10秒64で入る積極的な泳ぎを見せた。後半が強いライバル、曽我部菜々(大阪・枚方第二3年)の追い上げにも、「冬場から、苦手だったプルの練習を頑張ってきました。そのおかげで大きな泳ぎで、しかも力強く泳ぐことができるようになりました」と、自信を持って臨んだレースを制し、満面の笑顔を見せた。
優勝タイムの2分26秒22は日本水泳連盟が定めるジュニアエリートAを突破するもので、5月のジャパンオープンで出していれば今ごろは世界ジュニア選手権(ハンガリー)に出場していた素晴らしい記録だ。さらに昨日、インターハイで行なわれた同種目の優勝タイムも上回り、ジュニア世代で堂々トップに躍り出るものだった。
一方、竹原は、2位に4秒48差をつける2分0秒54で圧勝。それが見えていたからこそ、目指していたのは萩野公介(ブリヂストン)が持つ中学記録(1分59秒71)のみだった。「半年くらい前、コーチに言われて目指そうと思いました。自己ベストを大幅に縮められたのはうれしいですが、やっぱり中学新を目指していたので悔しいです。今年度中に、どこかで必ず出したいと思います」と、勝ってもなお、さらなる高みを見つめた。
快泳を見せたのは鍵本と竹原だけではない。優勝者の中で、日水連が定めるジュニアエリートBを突破して優勝したのが5名。そして多くのナショナル突破者が誕生した。
優勝してジュニアエリートBを突破したのは、男子は竹原、200m平泳ぎの髙橋功(南大分2年)、400m個人メドレーの小峯輝羅(兵庫・大津3年)、女子は50m自由形の二宮歌梨(東京・雙葉3年)、200mバタフライの三井愛梨(神奈川・あざみ野3年)。いずれも将来が楽しみな選手たちだ。
中でも、昨年の同大会のこの種目で2位だった三井は、悲願だった得意な種目での優勝を成し遂げた。この1年、なかなか自己ベストを更新できずに苦しい時期があっただけに、「ドリル練習をていねいにやったりフォームを確認しながら泳いだりと、練習から見つめ直してきたことが自己ベストにつながりました」とニッコリ笑顔で喜んだ。
全国中学の競泳は明日が最終日。14種目で決勝が行なわれる。
文◎桜間晶子/スイミング・マガジン
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