「筑波大を箱根に復活させる」という強い信念を持って入学してきたのが、金丸逸樹(4年)である。その思いが実現した今、自身の持ち味をエース区間の2区で存分に自分の走りを見せるつもりだ。
写真上=箱根予選会ではチームトップの個人13位。金丸は自身の快走で入学時から目標である箱根出場に導いた
撮影/両角昭男(陸上競技マガジン)
エース区間の2区に意欲を見せているのが金丸である。周囲の本気度が低かったなかでも、入学時から箱根駅伝への思いを強く持ってきた選手だ。
長崎県の諫早高出身。高校時代の恩師の1人である藤永佳子先生も筑波大出身で、実業団の資生堂で弘山監督の指導を受け、世界選手権マラソン代表になった。その藤永先生から筑波大の箱根駅伝復活プロジェクトのことを聞き、進学を決めた。
「自分は筑波大を箱根駅伝に復活させる信念を持って入学しました。その軸は絶対に曲げません。その思いで厳しい練習にも耐えてきました」
1年時には予選会122位で関東学生連合チームに選ばれたが、本戦を走ることはできず10区の付き添いをした。18年も予選会で「ほとんど目標どおり」の走りができて89位になったが、関東学生連合には予選会67位の相馬崇史(現・3年)が選ばれ5区を走った。
「自分が最初に箱根駅伝を走る選手になるつもりでいましたから、口にこそ出しませんでしたが、後輩に先を越された悔しさがありました」
金丸は自身を「第一に上りに強く、予選会のラップを見ても後半にペースを上げられる。タフな2区には適性がある」と自己分析する。箱根予選会15~20kmのタイムは15分11秒。日本人選手では日本人トップの全体5位に入った伊藤達彦(東京国際大4年)に次ぎ、2番目に速い。また、11月の10000mで29分20秒57と、自己記録を29秒64も更新。予選会に続きチーム内トップを占め、エース区間への出場準備が整っていることを示した。
2区の筑波大最高記録は1時間08分55秒。1985年大会で渋谷俊浩が区間賞を取ったときに出したタイムで、19年大会なら区間12位に相当する。区間順位的にはもう少し上で走りたいが、このレベルの記録を出せば、シード権争いに加わっていけるはずだ。
文/寺田辰朗
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