男子20㎞競歩は山西利和(愛知製鋼)が1時間26分34秒で金メダルを獲得。50㎞競歩の鈴木雄介(富士通)に続き、日本男子勢が競歩種目を完全制覇した。世界選手権の同一大会で2つの金メダル獲得は日本史上初となる。
写真上=山西は男子20㎞競歩で日本史上初の金メダリストとなった(撮影/中野英聡)
日本に今大会2つ目の金メダルをもたらす英断だった。
大会8日目の10月4日、23時30分スタートとなった男子20㎞競歩。気温32度、湿度77%という厳しい条件のなか、レースは1㎞4分30秒のスローペースとなった。
7㎞過ぎに猛然と一人飛び出したのが、山西利和(愛知製鋼)。そのまま独歩を続け、1時間26分34秒でフィニッシュ。50㎞競歩の鈴木雄介(富士通)に続き、今大会2つ目の金メダルを獲得した。
山西から4秒遅れで7㎞を通過した池田向希(東洋大3年)が「まだ仕掛けるのは早すぎる」と自重したほどの山西のペースアップ。だが、金メダリストには冷静な計算があった。
「あのままではラスト勝負になる。それでは体の大きなスピードのある選手に、僕は勝てない。前に出て、集団のペースが上がれば、もう少し(人数が)削れたサバイバルレースになって僕の良さが生きてくる」
自分の勝ちパターンに持っていくためのギリギリの選択。過酷な蒸し暑さでレース終盤に自身がペースダウンしてしまう不安と戦う山西を、ある思いが支えていた。
「(単独歩をしていたときは)もちろん、怖いです。でも、その怖さから逃げていたら何も伝わらない。そこに立ち向かわないとチャレンジしている意味がないですし」
自身の歩きで何かを伝えたい。その思いが山西を支えていた(写真/中野英聡・陸上競技マガジン)
日本人6人目の世界選手権金メダリストになっても、山西に笑顔はなかった。
「うれしい気持ちと、ほっとする気持ちと……。でも、ちょっとやりきれないですね。これで勝ってしまったのか、と」
その複雑な心境は、ラスト3㎞で4分を切るスパートを意識していたのに、できなかった自身の気持ちの弱さからくる。山西が望んでいたのは、追いすがる二番手以降をさらに引き離していくレース。それを見せることができなかったのが、何よりも悔しい。
今回の優勝で東京五輪の代表に内定した。来夏には見ている人に、もっと何かを伝えられる圧倒的な勝ち方をしたい。それがかなったとき、世界王者はようやく晴れやかな笑顔を浮かべるのだろう。
文/石井 亮(陸上競技マガジン)
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