WBSS(ワールドボクシング・スーパーシリーズ)バンタム級決勝に出場するノニト・ドネア(フィリピン)と井上尚弥(大橋)は5日、東京都内のホテルで記者会見を行った。これまで友好的だった両陣営だが、この日は一転してピリピリムード。井上が「世代交代を確実なものにしたい」と言うと、ドネアは「私が(新しい世代の)壁になる」。さらに「これまでドネアとは交流がありましたが」と問われた井上が「リングの中では関係ありません。今、(ドネアに)かける言葉はない」と一言のもとに断ち切る場面もあった。

写真上=早くも灼熱の予感(中央はWBSSのカレ・ザウアーラント・プロモーター)

 試合まで残すところ2日。すでに決戦まっただ中の気配である。調印式の傍らに置かれてきたこの記者との最後の応答は、これまで単なる通過行事にすぎなかったが、『記者会見』と銘打たれるようになって様子が変わったか。少なくとも、今回は確かな白熱があった。

 井上は強気のコメントに終始した。何度も世代交代、あるいは世代という言葉だけを抜き出して口にした。

「WBSSのトーナメントに入って1年、ようやくここまで来たという感じです。ドネアと決勝を争うのは、自分が一番望んでいた形。プロ転向前からずっと見てきた選手で、あこがれていた選手のひとりです。その選手と戦うことで、世代交代を確実になしげたいと思っています」

「世代交代を確実に成し遂げる」(井上)

 井上の強い決意はほかにもある。

「複数の認定団体が公認するチャンピオンが出場するトーナメントでした。日本の代表という気持ちを背負って戦っています。ぼくが勝ってみせなければ、今後、日本人が勝つことはないと思っています」

 そんなドネアとの戦いも、ひとつの区切りにすぎないと、さらに井上はほのめかす。

「戦いに勝ってから、見てみたい別の景色があります」

 5階級制覇王者ドネアの慎重に言葉を選んだ応答にも、ところどころに静かな闘志が沸き上がる。

「たくさんの栄光を手にしてきました。でも、WBSS決勝でイノウエと戦うのも最大のモチベーションになっています。若いスーパースターが世代交代という言葉を使っているそうですが、私が立ちはだかって見せます」

 もちろん、プライドの在りかも明らかにしている。

「リングの上が私のホームだ」(ドネア)

「イノウエは多くの実力者と戦ってきて、トップの実力を証明してきました。パウンドフォーパウンドであるのも知っています。ただ、私は経験から学んだのは、自分の力の信頼することです。その上で戦術を組み立て、相手に適応していきます」

 井上も同じ言葉を使った。

「判定でもKOでもすべての戦法に対応できています。リングで向き合って、それから(戦い方を)考えていきたい」

 灼熱の戦いはすでに始まっている。。

「敵地で戦うこと? 戦う場所がどこであれ、リングのなかだけが僕のホーム」(ドネア)

 ドネアのあまりにもかっこいいコメントともに、多くの記者の期待感は着火した。

 両者の力が真正面からぶつかり合う。壮絶なエンディングとともに、たぶん、時代は完全に井上のものとなる。

「世代交代を確実に成し遂げる」(井上)

「リングの上が私のホームだ」(ドネア)

文◎宮崎正博 
写真◎山口裕朗

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