井上尚弥(大橋)への挑戦を熱望していたWBO世界バンタム級チャンピオン、ゾラニ・テテ(南アフリカ)は30日、イギリス・バーミンガムで暫定チャンピオン、ジョンリール・カシメロ(フィリピン)とタイトルマッチ12回戦を行ったが、2度の痛烈ダウンを奪われた末に3回2分14秒TKO負けした。また、アメリカ・ネバダ州ラスベガスでは、トップランク・プロモーションと契約してアメリカ・デビュー戦に臨んだ日本スーパーライト級2位、平岡アンディ(大橋)が本場での初陣をTKO勝ちで飾っている。

上写真=井上との対決も期待されたテテはあっけなく敗れた

偵察戦からカシメロの強打が炸裂

 5つの地域タイトルマッチを従えて4度目の防衛戦のリングに立ったテテだったが、結果は無残だった。サウスポースタンスから長い右ジャブを放つものの、カシメロは乗ってこない。フィリピン人は最初の2ラウンドまでは明らかに様子見に徹し、バックステップを踏んで近づくことはなかった。

 あまりに長い前段階に、観客がじれ始めたやさき、3ラウンドの半ばのことだ。カシメロの右ストレートがアゴを貫く。テテは崩れるようにダウン。立ち上がったが足もとがしびれてよろける。イギリス人レフェリー、スティーブ・グレイは続行を許したが、ここで勝負は決まったも同然だった。すかさず追撃に入ったカシメロの左フックに、テテは再びダウンする。今度はうつぶせに長々と倒れ込んだ。何とか立ち上がるも、カシメロの左フックが当たったところで、レフェリーが割って入った。

 肩を痛めてWBSS(ワールドボクシング・スーパーシリーズ)を離脱したテテは、13ヵ月ぶりの戦いでアゴのもろさを暴露した。28勝(21KO)4敗。これで井上との対戦は絶望となった。1対3の不利予想でリングに立った3階級制覇チャンピオン、カシメロは29勝(20KO)4敗。一撃強打には定評があったが、見事にツボにはまった。

平岡アンディは新天地で好スタート

 同じ日にラスベガス、アメリカでの初戦を迎えた平岡アンディは、ロヘリオ・カサレス(アメリカ)との8回戦に2回TKO勝ちしている。2回にダウンを奪い、その後の連打で仕留めたもの。平岡はこれで15戦全勝(10KO)となった。

 トップランク主催のこのイベントには好カードがそろった。WBO世界スーパーウェルター級暫定王座決定戦では、不敗のホープが敗れる波乱も。18戦全勝14KOのパワーパンチャー、カルロス・アダメス(ドミニカ共和国)がパトリック・テシェイラ(ブラジル)に僅差ながらも0−3判定で敗れたのだ。

 アダメスは持ち前の豪打で攻めつける。サウスポーのテシェイラは両目上をカットしながらもしぶとく応戦した。そして7回、テシェイラの右フックをきっかけにした連打でアダメスはダウン。カリブ人はその後、反撃に転じるが、194センチのリーチを持つブラジル人がまた巻き返す。ほぼ互角のまま突入した最終回をテシェイラが取り、勝利にたどり着いた。

 スーパーフェザー級10回戦では、元世界スーパーバンタム、フェザー級チャンピオンのカール・フランプトン(イギリス)が不敗のタイラー・マクレアリー(アメリカ)に判定勝ち。ボディショットで主導権を握ったフランプトンは、6回と9回にダウンを奪ってフルマークの判定勝ちだった。

バルデスは苦しみながらもスーパーフェザー級初戦をモノにした

 不敗のままWBO世界フェザー級王座を返上し、スーパーフェザー級デビュー戦に臨んだオスカル・バルデス(メキシコ)は、大苦戦の末にアダム・ロペス(アメリカ)を7回2分53秒TKOに下した。

 WBCチャンピオン、ミゲール・ベルチェルト(メキシコ)への挑戦者決定戦と銘打たれた一戦、バルデスの本来の相手アンドレス・グティエレス(メキシコ)が計量で4キロもオーバーし、前座試合に出場するはずだった若手のロペスが急きょ、メインイベンターの相手をつとめることになった。

 当然ながら、バルデス絶対優位を見られたカードだが、2回、ロペスの左フックを浴びてダウンを喫する。その後もポイントをリードされる展開。7回、逆転の強打を決めてダウンを奪い返し、連打でストップを呼び込んだものの、レフェリーの判断が早すぎるという声もわき上がっている。

画像: 同じロシアのブタエフを下し、ベスプーチンが初めての世界王座奪取

同じロシアのブタエフを下し、ベスプーチンが初めての世界王座奪取

ベスプーチンがロシア人対決を制す

 モナコで行われたWBA世界ウェルター級王座決定戦はアメリカで活動するロシアの技巧派同士の対決。ハイレベルなスキルがスリル満点でぶつかり合う好ファイトとなり、アレクサンデル・ベスプーチンラジャブ・ブタエフを3−0の判定で破って、新チャンピオンとなっている。

 サウスポーのベスプーチンはサイドによく動いて手数をまとめる。長身のブタエフは右アッパーのボディショットを連発し、5回には右カウンターでベスプーチンをよろけさせた。だが、ブタエフはスタミナを失ったか、攻め数が落ちていく。ベスプーチンも苦しかったが、左ストレート、右フックできわどくポイントをスチールしていった。

 同じカードに登場したスカンジナビアのボクシング女王、統一世界ウェルター級チャンピオン、セアシリア・ブレークハス(ノルウェー)は、ビクトリア・ブストス(アルゼンチン)を無難にアウトボクシングして、大差の判定勝ち。38歳のブレークハスはこれで世界戦25連勝となった。

文◎宮崎正博 写真◎ゲッティ イメージズ

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