12月25日、京都の都大路を高校生たちが駆け抜ける。男子は、U20世界選手権を経験し、5000mの高校記録も更新した吉岡大翔(佐久長聖高3年・長野)に注目が集まる。「1区か3区」を希望している吉岡。どちらを走るとしても“先輩越え”を果たすべく、攻めの姿勢で挑むつもりだ。


強さを求め、誰が相手でも「勝ちにこだわる」

11月13日に行われた第300回日本体育大学長距離競技会において、5000m13分22秒99の高校新記録を打ち立てた。従来のものを8秒以上更新する大記録に陸上界は大きくどよめいたが、本人は自身の結果についていたって冷静に振り返る。

「高校記録は狙っていましたが、思った以上に出たなという感じです。しかし今年、ひとつ上の学年で前高校記録保持者の佐藤圭汰さん(駒大1年)がさらに速いタイムを出していますし、その上には田澤廉さん(駒澤大4年)もいます。上には上がいますので、満足はしていません」

この言葉が示す通り、ストイックかつ常に上を見続ける貪欲な選手だ。記録を出したこの競技会でもフィニッシュした瞬間は、まず同じ組を走った大学や実業団の外国籍選手に敗れた悔しさが込みあげてきたという。

「今は高校生ですが、来年になればシニアのカテゴリーでの戦いになります。今のうちから年齢が上の選手や外国の選手に挑戦したいと考えているんです」

今夏にはU20世界選手権に出場。走る前は入賞を目標としていたが、実際7位の結果を手にしても満足できなかった。“世界で戦う”という強い意志を持つ18歳にとって、年齢や国籍は負けていい理由にはならないようだ。

目標は高校最高記録の奪還

その吉岡が12月25日、最後の全国高校駅伝に挑む。

「高校最後の駅伝は絶対に後悔したくありません。チームとしては佐久長聖高校が持っていた高校最高記録を自分が1年生の時に破れられていますので、それを取り返すことが目標です。個人としては1区であれば上野裕一郎先輩(現・立教大監督)、3区では中谷雄飛先輩(現・SGホールディングス)がそれぞれ持っていた日本人最高記録が最近、更新されていますので、それを取り戻したいです」

指導する高見澤勝監督も「個人として高い目標を目指すだけでなく、非常にチーム思いです。それが駅伝でのモチベーションになっているのでしょう」と母校愛の強い選手だと評する。エース区間である1区、もしくは留学生が集う3区のどちらかを担うは間違いないだろう。どこであっても都大路に大きな足跡を残すつもりだ。

高1最高記録13分50秒27、高2最高記録13分38秒96、そして高校記録樹立と順調に記録を伸ばし、世界の舞台にも足を踏み入れた。「佐久長聖高校の環境で先生方や周りの皆さんの力があったからこそここまでの結果を残せました。本当にそう感じています」と謙虚に成長の要因を語る。間もなく卒業し、春からは順天堂大学への進学も決まっている。目指すのは速さではなく、強さを備えた選手だ。

「大きな大会になれば持ちタイムで順位が決まることはありません。勝てるランナー、強いランナーになって、その力を世界の舞台で発揮できる選手を目指します」

その前に3年間の成長を駅伝でも形として残したい。高校最後の大舞台でも圧倒的な強さを見せつけるつもりだ。


5000mで今季、高校記録をマークしたときに履いていた靴を手に笑顔を見せる吉岡(写真/川口洋邦)

よしおか・ひろと◎2004年5月18日生まれ。川中島中→佐久長聖高(長野)。5000mで高1最高(13分50秒27)、高2最高(13分38秒96)を持ち、12月には高校記録を更新。今季はU20世界選手権にも出場し、5000mで7位入賞を果たした。全国高校駅伝には1年時から出走しており、4区区間賞、1区2位と駅伝でも強さを発揮する。自己ベストは、1500m3分47秒50、3000m8分01秒29(高校歴代4位)、5000m13分22秒99(高校記録、以上2022年)。