close

2020-11-12

選手権初出場! 福島の絶対王者・尚志を破った学法石川の守備改革[前編]

福島県代表として、全国高校サッカー選手権大会初出場をつかんだ学法石川高校

全ての画像を見る





「1対1」になる前の準備を重視

――練習ではファースト・ディフェンスを強調していましたが、重要視されていますか?


稲田 相手にどれだけ寄せるかなどを選手自身が考えなければならないファースト・ディフェンスは個人戦術と理解しています。また、個々の選手を融合させてチームをつくり上げていく中、ファースト・ディフェンスがしっかりしてこそチームや組織が成り立つと考えています。カバーリングやインターセプトなどもしっかりしたファースト・ディフェンスがあってこそ成り立つものだからです。緩いファースト・ディフェンスは相手に自由を与えるため、例えば背後を突かれたくないと思った後方の選手がファースト・ディフェンダーから離れればカバーリングは機能せず、インターセプトも狙えません。グループを強化するためにも個の部分も追求しなければならないと思い、基本となるファースト・ディフェンスの強化を図っているのです。

――球際での守備はどう指導していますか?

稲田 十分に予測を立てて判断してほしいため、「1対1」になる前の準備を重視しています。例えば、ボールの移動中に「インターセプトを狙えるか」、「コントロールした瞬間を狙えるか」、「相手がいい状態だから、適切にポジションをとってパスコースを制限するか」など、パスの質や相手の状況によって判断できるようになってほしいです。ボールが相手に渡ってから寄せていては遅いため、判断基準を持ってほしいのです。

しっかりと考えずに相手に寄せると、気持ちが入りすぎて止まれなかったり、手を出してしまったりします。ファウルをせずにボールを奪い、次のプレーにつなげるのは大切なことですが、厳しく寄せて奪いに行くこととファウルをしないことの両方を求めるのは難しい課題です。いずれにせよ、ファウルは相手を利することになりますし、警告を受けたら自分たちの不利益になります。ファウルをしないように意識させていますし、ファウルをしたら「何が悪かったか」を必ず考えさせています。

※後編に続く

プロフィール



稲田正信(いなだ・まさのぶ)/1977年7月30日生まれ、大阪府出身。高槻南高校、大阪体育大学でプレー。大学卒業後、大阪の高校や大学でコーチを務め、2006年から学法石川高校(福島県)の監督に就任、現在に至る。守備の原理原則を浸透させ、近年はインターハイや全国高校サッカー選手権大会の福島県予選で何度も決勝進出を果たし、全国大会の常連である尚志高校と好試合を演じていた。2020年11月、初めての全国の舞台となる選手権出場を手にした


サッカークリニック 12月号 | BBMスポーツ | ベースボール・マガジン社

PART2:技術重視の育成で注目を集める高校の監督が語る「3人目の動き」 PART3:高校サッカーの伝統校が継いできたゴールに迫る連動性の高め方 PART4:全国2連覇した中学校の監督が説く「3人目を活かす2人目の重要性」 PART5:ジュニア年代の成長に合わせた「3人目の動き」の指導法 PART6:日本屈指の理論派指導者・風間八宏と考える「3人目の動き」 特別インタビュー [SPECIAL INTERVIEW] 「変化を見つけたら、褒めて、褒めて、もっと良くする」 Amazing Football Academy「プレーコンサルティング型サマーキャンプ」の誌上再現リポート第1弾 アンダー世代の日本代表キャンプ「JFAが導入した新しい試みとは?」 子供たちによる子供たちのための「フォレストカップサッカー大会」 中学年代指導のカタチ(第8回)パラムンドFC(神奈川県) タウンクラブの指導者が実践する「メンタル」アプローチVOL.2「小学生」後編 ジュニア年代クラブ訪問(第95回)ウイングス(千葉県) 身体操作講座「『前提』を知り、粘り強く獲得に向かう」 スペインで活躍する日本人指導者が聞く「ランデルコーチとの一問一答で考えるスペイン流サッカー講座」VOL.2 今月のテーマ:「3人目の動き」 バックナンバー&次号予告&編集後記 2021年最初の号となる1月号では「ビルドアップ」を特集。 ビルドアップの考え方と指導手順を再考するきっかけにしたい。 柏レイソルU-18& サンフレッチェ広島ユース& 岩政大樹(元日本代表)ほか ◎ 金明輝(サガン鳥栖監督) 「選手の才能の伸ばし方」 ◎ ダビド・ビジャ(元スペイン代表) の「DV7サッカーアカデミー」サマーキャンプの誌上再現リポート

取材・構成/小林健志

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事



RELATED関連する記事