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2020-12-02

【陸上】「優勝すればタイムもついてくる」相澤晃が挑む東京五輪

初めてオリンピックの代表選考会に挑む相澤



試合に出られなかった期間を

乗り切れた要因

 実業団初レースが10月になったのは、コロナ禍により試合が行われなかったことに加え、故障の影響もあった。1月の全国都道府県対抗男子駅伝時にもふくらはぎ下部に痛みがあったが、「前年優勝のプライドとチームを引っ張る思い」で7区区間賞の走りを見せた。2月は胃腸炎で試合に出られなかったが、3月末に練習のタイムトライアルで自己記録と同じ28分17秒で走った。しかし5月末に右脚の後脛(ルビ:こうけい)骨筋を痛め、1カ月近くポイント練習ができなかった。好タイムが続出した7月のホクレンDCには間に合わなかった。

──7月に試合に出られなかったとき、焦りはなかったですか。

相澤 出たかったですけど、中途半端な状態で出るのは良くないと思いました。ケガ明けでも28分20秒(日本選手権参加標準記録)は出せる状態で走りたかったんです。たくさんレースができるタイプではありませんから。

──4~5月にコロナで試合がなかった時期や、回復が不十分で試合に出られなかった頃を乗り越えられた要因は?

相澤 大学時代に酒井俊幸監督から「凡事徹底」という言葉を教えていただきました。どんな状況でも当たり前のことを、当たり前にやる。モチベーションが下がる状況を変えることはできませんが、そこでやらないと差が開いてしまいます。強い先輩や、強い学生の選手たちに負けてしまいます。それに学生のうちは学年差があれば力も違いますけど、社会人では年齢に関係なく同じ土俵だと思うので、負けたくありません。

──学生の頃との練習の違いを、どのような点に感じていますか。

相澤 大学ではペース走をみんなと走ることが多く、今思えば遅いペースでやっていました。一番違うのはスピード練習です。大学では駅伝を押していくイメージで、(400m毎)68秒で数多くやっていました。速くても66秒です。今は60~61秒4本を3セットとか、62秒5本を3セットとか、速い設定で練習しています。1本1本をより集中して走っていますね。五輪標準記録の27分28秒00を破ろうと思ったら、66秒を切るペースになります。66秒に苦手意識を持たないようにしないといけません。

──100%ではないなかでも、27分台の手応えも感じての初レースでしたか。

相澤 7月以降は練習を継続してできたことが大きかったです。すごい練習とはいえませんが、夏はペース走と距離走以外は全部スパイクを履いて走りました。それが新鮮でしたし、継続できたことで気持ちの面でも余裕を持つことができたんです。リラックスして10000mを走れると感じていました。走り終えたときも倒れ込むほどのキツさはなかったですし、まだまだイケる手応えがありましたね。日本選手権までの1カ月半弱の期間で、もっと調子を上げていけます。

構成/寺田辰朗 写真/旭化成陸上競技部

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