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2021-03-16

【マラソン】今後への布石打つ快走を見せた佐藤早也伽(積水化学)と松下菜摘(天満屋)

名古屋ウィメンズで2位の佐藤(右)と3位の松下 写真/中野英聡(陸上競技マガジン)

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3月14日(日)に行われた「第10回名古屋ウィメンズマラソン」は強風のなかでのレースとなるなか、2位に入った佐藤早也伽(積水化学)、3位の松下菜摘(天満屋)も今後につながるレースを見せた。

果敢に攻めた佐藤が得たもの

 佐藤早也伽(積水化学)が今年も「挑戦」を選んだ。2時間20分台の優勝タイムを想定した第1集団で走ったのだ。記録的な目標は、初マラソンだった昨年の名古屋で出した2時間23分27秒の更新である。昨年は29kmすぎまで先頭集団に食らい付いたが、その後突き放された展開を考えれば、今年は2時間23分台の設定タイムの第2集団で走る選択肢もあった。それでも、昨年に続き「前の集団で行く」と積極策をとった。

 その経緯を野口英盛監督が説明してくれた。

「松田(瑞生・ダイハツ)さんとは合宿が宮崎で一緒でしたが、仕上がりが良いことが分かりました。考えたのは単に負けるのか、チャレンジするか。選考会になると難しいのですが、今回は動かす(自分からスパートする)ことも含め、試してみたいと思いました」

 前回は優勝の一山麻緒(ワコール)に29kmで引き離されたが、今回は勝負することもイメージしての出走だった。

 だが、今年も22kmで松田に引き離された。

「ペースが上がったり下がったりして、うまく自分の走りができないでいたところを修正しようと走っていましたが、気づいたら離れてしまっていました」

 2位には入ったが2時間24分32秒と、前回よりもタイムを落とし、無念の表情を見せてフィニッシュした。

「風が強いなかでのレースでしたが、風に負けないで自己新を出したいと思っていました。それが達成できず、悔いが残るレースでした」

 本人は納得できなかったが、今年の風を考えれば自己新記録の価値はあった。日本陸連の瀬古利彦マラソン強化プロジェクトリーダーは、「1分半から2分」は風の影響があったと見ている。

 野口監督も35~40kmのタイムが、昨年の18分03秒から17分39秒に上がったこと、プレッシャーが今年の方が大きかったことも指摘し、「去年より一回り強くなっています。2回目としては100点」と高く評価した。

 今後の目標を「2時間21分台で優勝した松田さんのように、私ももっと速いペースで走れるように頑張りたい」と話した佐藤。一気に強くなったわけではないが、確実に成長してきた選手である。3回目のマラソンは代表争いをする力をつけて走るだろう。

文/寺田辰朗

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