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2021-07-04

【相撲編集部が選ぶ名古屋場所初日の一番】進退を懸ける白鵬、苦しみながら白星発進

今場所に進退が懸かる白鵬は明生の外掛けを掛け投げで逆転、復活場所初日を白星で飾った

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白鵬(掛け投げ)明生

1年4カ月ぶりの地方開催となった名古屋場所。照ノ富士の綱取りなど、話題満載で初日を迎えた。成績によっては大関復帰もあった髙安の休場は残念だったが、序盤の注目は進退を懸ける白鵬だろう。春場所を途中休場して右ヒザを手術。名古屋で進退を懸けることになったが、どこまで回復しているのか。こればかりは白鵬自身も、「やってみないとわからない」と場所前に語っていた。

白鵬の初日の対戦相手は新小結の明生。最近、地力を伸ばしている力士だが、正攻法なだけに白鵬としては比較的取りやすい相手だ。

立ち合い、右から張った白鵬だが、これはあまり効かず、明生に踏み込まれて左四つ。両者、上手も取ってがっぷり四つに組み合った。右四つが得意な白鵬だが、左四つでも十分取れる。しかし、明生に両廻しを引きつけられて腰が浮き防戦。明生が右外掛けにきたところをはね上げ、何とか掛け投げで逆転した。

この相撲を見る限り、相当に衰えたなという印象だったが、外掛けを掛け投げで返すあたりはさすがだった。手術をした右足一本で踏ん張れたので、ヒザの不安はあまりないのかもしれない。

春場所は連勝スタートも、リモート取材を拒否した白鵬だが、今場所初日はにこやかに応じた。今場所に懸ける思いを聞かれると、「いろんな思いがあります。しゃべったら今日中に終わらないです」と笑顔を見せる。

東京がオリンピック開催地に決まったときから、「東京オリンピックまで現役」がモチベーションになった。父のムンフバトさんが初めて出場したオリンピックが57年前の東京。自分も何か関わりたいと思うのは自然の流れだった。それが新型コロナの感染拡大で1年延期。延期になっていなければ、すでに引退していただろう。

また、場所前に部屋の兄弟子だった元幕内光法の峯山賢一さんが47歳の若さで亡くなった。光法は誰よりも早く、白鵬の素質を見抜いていた。光法が「大物になる」と進言したことで、三段目時代の白鵬の稽古が厳しくなるのだが、「そのおかげで横綱になることができた」と白鵬は言う。復活する姿を天国の兄弟子に届けたい思いもあるはずだ。

初日の対戦を振り返り、「(明生は)重かったし、外掛けにくるうまさもあったけど、経験で上回ったかな」と白鵬。稽古相手が石浦と炎鵬では、重く感じただろう。勝ったときの表情はどんな思いかを聞かれると、「それは千秋楽に言います」と白鵬は足早にリモート取材から立ち去った。

初日の相撲内容から、千秋楽まで取れるのか不安が尽きないが、白星が一番の薬なので、序盤を乗り切れれば変わってくるかもしれない。白鵬の底力を信じたい。

文=山口亜土

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