close

2021-07-17

【陸上】「納得するまで聞く」寺田明日香が指導者との意思疎通で大事にしていること【連載#4】

東京五輪女子100mH代表の寺田明日香(ジャパンクリエイト)

全ての画像を見る


 「痛い」「調子が悪い」が言いやすい環境を

 さて、シーズンインまであと少しという時期に差し掛かり、「なんだか、からだが痛いかも」と、感じている選手も少なからずいるのではないかと思います。

 冬期練習を乗り越え、シーズンインが迫っているこの時期だからこそ、選手の皆さんには自分のからだの声をよく聞いてほしいと思いますし、異変を感じるときはささいなことでも指導者に伝えておくのがいいと思います。

 また、この春から新しい環境で陸上競技を続けていく選手は多くいると思います。

 キャリアの節目の年、特に新しい環境に身を置いた年は、その環境に慣れることから始まり、新しい指導者の練習方法への適応や、コミュニケーションの取り方など、考えなくてはならないことがたくさんあります。

 競技についての不安を少しでも減らすためには、指導者とどれだけうまくコミュニケーションが取れるかということも、大きなカギになるのではないでしょうか。

 まだまだ若輩者の私がこのようなことを言わせていただくのは甚だ恐縮なのですが、指導者の皆さんには、選手がコミュニケーションを取りやすい環境をつくっていただくことが大事だと思います。

 選手にとっては、「痛い」、「具合が悪い」、「調子が悪い」などのネガティブな言葉を表現するのは、意外に勇気がいるものです。練習内容に関しての質問も同様に、向上心と少しの勇気が必要です。

 選手の皆さんは、指導者に自分のことを伝えるときには、自分の状態をしっかりと把握して、正確に伝えることが大切です(かく言う私も、昨年末に無理をして「大丈夫」と言って練習した結果、数日寝込んだことがありました……)。

 選手は誰しも「強くなりたい」と思っているし、指導者は「強くしてあげたい」とすべからく思っているはずです。

 大好きな陸上競技を通して生まれた出会いを大切にしながら、選手も指導者もお互いに納得して練習できる環境をつくっていくことを目指していきましょう!

Profile
てらだ・あすか
1990年1月14日、北海道生まれ。柏丘中→恵庭北高→北海道ハイテクAC(以上、北海道)→パソナグループ→ジャパンクリエイト。小学生時代に全国で活躍し、中学では伸び悩むも、高校では100mHでインターハイ3連覇、3年時は100m・4×100mRとの三冠。2008年の日本選手権では100mHで史上最年少優勝を飾り、10年まで3連覇。09年のベルリン世界選手権に出場。13年に引退し、大学進学・結婚・出産を経て、16年8月に7人制ラグビー転向。18年12月、陸上競技に復帰し、19年9月に12秒97(+1.2)を出し、19年ぶりに日本記録を更新。ドーハ世界選手権に出場。東京五輪イヤーの今季、4月に12秒96(+1.6)、6月に12秒87(+0.6)と立て続けに日本記録を更新。11年ぶりに日本選手権優勝。東京オリンピックでは決勝進出を目指す。

文◎寺田明日香 写真◎BBM

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事



RELATED関連する記事